合同合宿へ
最終学年の前期が始まり、約1か月が経過する。
シリルは上級ダンジョンを50階層まで攻略が進んでおり、コリーがいる時は食堂の手伝いはせず、ダンジョンに行くか、訓練場で訓練するか、魔術書、魔方陣、召喚、結界の本などの読書をして過ごしている。 たまに、黒竜の所に遊びにいったりするのである。
魔族化にも徐々にだが進み、シリルの魔力は増え、現在魔力制御の腕輪は10個になった。 シュンとの模擬戦は、相変わらずシュンは武器なし、身体強化なしだが、シリルがボコボコになるまで20分はもつようになる。
そして、今、シリルは海洋都市の学園との合同合宿のため迷宮都市から出る飛行船にのっている。
引率の先生は、グレッグだ。
人数の関係とシリルの事もあるので、グレッグがシリルと同じ船に乗船して合宿を見守る事となる。
合宿の試験官は、同行するギルド隊員達である。
飛行船は2日間かかり、シリルの同室はグレッグである。 暇なシリルは、読書をしている。
グレッグが各生徒の状況など確認して部屋に戻ってくるのだった。
「カーティス、いつも読書してるな。 何を読んでるんだ?」ときかれ、「今は魔術の本だぞ。」と読書しながらいう。
「へー。 俺、魔術の本ってみたことないんだ。 かなり昔に廃れたし、もう本としても存在が少なくてな。 みせてくれないか?」
「ああ、いいぞ」といって、別の魔術書の本をグレッグに渡す。
グレッグが本を開き読もうとするが、人語で書いてあるのにまたく理解できない内容だ。
シリルにグレッグが「おまえ、これ理解できるのか?」といわれ、「うん? ああ、理解できるぞ」といいながら、本を読んでいる。
「俺はまったく理解できん。 ちなみに、俺の知識だと、魔術は魔法陣を組んで発動するから無演唱という理解だが、違うのか?」
「うーん、師匠曰く魔術はおのれの魔力のみで、自然の理を理解し、ロジックを組んで発動するっていってたぞ。 そのロジックの最終形態が魔法陣だぞ」
「自然の理を理解していうのはなんだ?」
「説明が難しいぞ。 例えば、水が何度で沸騰するのかとか、水がなにで構成されているのかを理解するって事だぞ」というと、グレッグが「水は水だろ」という。
「水の構成式は化学でいうとH2Oだ。 水素2個と酸素で構成されているぞ」というと、グレッグが「はぁーなんだその化学とか構成式とかって」と言われ、シリルが「うん、それが理解できないと、魔術は理解できないぞ。 だから、説明が難しいぞ。 それがある意味魔術が廃れた1つの要素だって師匠がいってたぞ」というと、「なるほどな」といって本を返しながらいう。
「俺が今から学んでも習得はできなさそうだな」というのであった。
「うん、そうだぞ。幼少期の頃から勉強して、最低でも並行思考になる必要があるぞ。」
「なるほどな。 演唱魔法も難しいが、さらに難しいな。 使い魔魔法や、演唱魔法が主流になるわけだ」と独り納得するのだった。
「グレッグ先生は、魔力量は多いほうだぞ。 子供の頃からなのか?」
「ちがうな。俺の家系は次元使いが多いからな。9歳の時に固定されるといわれているが、稀に俺みたいな特殊能力がある奴は増えるんだ。 ステータスが変更して気付くがな。おかげで、まだ完璧なステータス主義じゃなかったから冒険者になれたがな。 てか、お前魔力量わかるのか?」
「魔術習うと、自分の魔力量把握しないといけないぞ。 だから、だいたいだがわかるぞ」
「さっきいってたな、おのれの魔力でって。 魔術ならっている奴はやっぱ常識とは違うな」とまた独り納得するのグレッグだった