召喚の儀の魔法陣
それから1か月が経過。
シリルはカフェと食堂の店員として働く。
その日、金曜日のお昼にいつものようにキース達も来るのである。
シリルが食堂で働いているという噂を聞いた、第二王子と聖女、そしてシリルの幼馴染だった2人や第二王子もとい聖女の取り巻き3人を含む6人が来店しようと食堂を探すのだが、彼らは店にたどりつく事なく帰っていくのである。 貴族の面倒ごとに巻き込まれたりするのは、嫌なので、基本上流貴族やシュンが嫌いな魔力の質をもつ人は魔術で店自体認識できないようになっている。
夜の営業になり、閉店近くにモーリスが「シュン殿、あいてるか?」といって、来店してくるのであった。
「いらっしゃませだぞ」といって、モーリスをカウンターに案内すると、「シリル君も元気そうじゃな。」というと、「うん、元気だぞ」と返事をし、モーリスは座りながら「いつものじゃ」というと、リンがワインの小樽をもってくる。
シリルは、空いた席の片付けをし、他の客も会計を済ますとリンがドアの看板を”Close”にする。
俺がモーリスの前に「太るぞ」といいながら、フライドポテトとピザをだす。 シリルとリンで他を片付けている間、モーリスはたべはじめる。 片付けが終わると、リンとシリルに賄いを渡し、事務所に2人は移動する。
俺が賄いと数本のエールをもってタバコを加えて、モーリスの隣に座るのであった。
「こんな時間にくるってぇー事は、用があんだろ?」
「ああ、例のコピーじゃが、手にはいったんで、渡しにな。 じゃが、儂の入手した情報じゃと毎年微妙に違うらしいのじゃ。 このコピーは今年のじゃ」といって、モーリスが懐から紙をわたす。
俺はタバコを加えながら、「わりぃーな」といって紙を受け取った。
コリーより、頼りになるじゃねぇーかよ。
「今の王は愚王じゃ。そして、皇国もじゃ。女神の啓示とやらに振り回されそうじゃ」ってモーリスが愚痴る。
「人間っていうのは、本当歴史をまなばねぇーな」
「そのようじゃな。 ちなみに、儂が入手した情報じゃが、来年のどこかで再召喚の儀というのを15歳~18歳を対象にやるそうじゃ。つまり学園で行うってことじゃな」と言われ、「ふーん、そうか。」と俺は返事する。 コリーの情報は正しかったんだな。
俺の反応が薄いのか、モーリスが「第二王子たちがこの店にこようとしたが、入れなかったようじゃな。儂がつけた間者がいっとったぞ」と苦笑いされ、「当たりめぇーだ。 なんで、俺が道楽でやってぇんのに、面倒な人間の相手しなきゃいけねぇーんだよ」と言っておく。
モーリスが「そうじゃな」と笑うのだった。 その後談笑し、会計をすませて、千鳥足で帰るモーリスだった。
その後、シュンは部屋の作業部屋でモーリスにもらった紙を広げる。
タバコをふかしながら、「ち、やっぱ駄女神が。」と愚痴るのであった。