シリルへのいじめ それよりも 後編
学園長室にきたグレッグとシリル。
ソファー席に座り、グレッグが学園長に経緯を説明する。
モーリスはフムフムと頷きながら聞いていた。
「カーティス君を目立たさない為にしておったんじゃが、そういう状況になるとは想定外じゃった。 とりえあすじゃ、ギルドの学生任務については、こうなった以上、カーティス君は単位取得済みで免除じゃ」というモーリス。
俺、シリルは免除になって嬉しいけど、グレッグが納得していないみたいだぞ。
「学園長、学生任務はギルドの記録に残ります。 それに、カーティスは冒険科専攻希望です。 ギルドのランクが上がってないままですと、専攻にも響きますよ」と学園長モーリスの判断に苦言するのであった。
そんなグレッグに、モーリスは苦笑している。
「ポーター先生にも言っておらんじゃったが、実はカーティス君は本カードを持ってるんじゃ。 うちの学園の生徒はみな持っておらんからな。 じゃから、ダリスに頼んで特別に作ってもらっておったんじゃ。」
「はぁ、そういう事ですか。」と納得しつつも、「本カードあったとしても、15歳で取得してふつうはEかDですよ。 だからといって免除ってことには」というグレッグだった。
そこで、モーリスがなかば会話の蚊帳の外になっていた俺に話をふってきたぞ。
「カーティス君、今のランクはなんじゃ?」
「ランクBだぞ」といって、俺は銅のギルドカードを見せたぞ。
なんか、グレッグが頭抱えだしたぞ。
「カーティス、お前いつランクBの試験うけたんだ?」
「この学園の入学式の前だぞ」と答えた俺だぞ。
「ちょっとまて、お前もしかして、仮カードもっていてもありえないランクだぞ。 それに、もしかして、初等教育もうけてないのか? いや、初等教育なしで、この学園に。。 いやいや、おい、おまえってなんなんだ」ってなんか混乱しているグレッグ。 なんか変なのかだぞ? わからないぞ。
そんなグレッグを、モーリスは温かい目で笑っている。
「ポーター先生、忘れてはいけないのじゃ。 カーティス君は魔術を習っておるんじゃ。 つまりじゃ、普通の常識をあてはめてはいけないのじゃ。 という事で、免除については納得してもらえましたかのう?」
「そうでした、カーティスは魔術師でしたね。 知識では知っていますが、これだけの差があると思うと正直驚いてしまいまして。。 ええ、免除については学園長のおっしゃる通りです。」
「という事じゃ。 今日から金曜の午後は自由にしてくれてかまわのじゃカーティス君」言われたぞ。
「お、助かるぞ。 魔術の勉強ができるぞ。 んじゃ、俺は帰るぞ」といって学園長室を退室する。
俺の当初の目的が達成だぞ。
◇◇◇
シリルが退室した学園長室に残るグレッグ。
「カーティスが既にランクBとは驚きました。 つまり未成年のうちに盗賊討伐の経験もあるという事を考えると、彼は精神的に大丈夫なのか心配になります。」
シリルの異様さには気づいたいたが、まさか15歳、未成年がランクBという現実になかなかついていけないグレッグだった。
「ははは、大丈夫じゃ。 カーティス君の保護者は、そんな柔な精神で育てておらんのじゃ。 我々は見守ることしかできんのじゃよ。」とモーリスがグレッグの心配を一躍してしまう。
そう言われてしまえば、グレッグは「そうですね」と返事するしかなかった。
金曜の午後は空いたシリルはルンルンで食堂の中庭に帰宅する。
午後は、勉強または訓練にあててよいという事になり、基本読書をしたりする時間にあてるのである。