シリル、1年目の長期休暇 前編
行軍後のシュン達の日々は相変わらず平穏だ。
シュン達は食堂経営に、シュンとリンは夜中のダンジョンの間引きをする。
シリルは、学園生活以外は日課、魔方陣解析やら結界やら勉強したり、シュン達との模擬戦をしたりし、週1のダンジョンに通う。 ただ、なかなか1日では40階層まで到着できず未だに35階層となっている。
そうこうしているうちに、前期テストも終了し、6割の回答でテストをし総合131位でおわるシリル。
なお、非公式のテストもしており、そっちは総合1位であった。
◇◇◇
長期休暇前に遡る。
師匠がタバコをふかしながら「シリル、お前休みの間なにしてぇーんだ?」と聞かれ、「ダンジョンもいいけど、魔の森にいきたいぞ♪」と俺がいうと、最初の2週間はそのままダンジョンに潜り40階層まで目指し、それ以降は食堂も休業して魔の森に行く事になった。 久々の魔の森だぞ。
という事で俺、気合いれて、朝から晩までダンジョンに通い、魔術を駆使していったおかげで、1週間で40階層までたどりついたぞ。
「師匠! 40階層までいったぞ! だけど、41階層以降はきっと大変だぞ。 5階層ごとを考えると、魔力も増やさないと攻略無理だぞ。」って、俺はうれしいけどこの後の攻略を考えて師匠に相談した。
すると、師匠が、タバコふかしてニヤリ笑っている。
「41階層以降はそうなるよな。 んじゃ、転移使っていいぞ」と言われたぞ。
「うん?なんでだ。 あ! まさか、ダンジョンって転移魔法陣がダメで、無属性と風と闇の合成の転移はいけるってことなのか?」 ちょと驚きながら聞いてみたぞ。
師匠がハリセンを出し軽く俺の頭を叩きながら、「お前ってよ。 そいういう所の理解は早いくせに、なんで抜けるんだ?」と聞かれたぞ。
「そんな事言われてもわからんぞ。 でも抜けるんだぞ」と頬をかきながらいう俺に、師匠たち3人も苦笑いだぞ。
「ダンジョンの転移は、裏技だ。 あと、41階層からは、お前独りでいけ。 ただし、行くのは後期からだ。 んで、都度いった階数報告するんだぞ」と師匠に言われて、「了解だぞ」と返事する。 いままで、師匠たちの誰かが同行だったから、ちょっと独り立ちで嬉しいぞ。
こうして、予定より早くシリルが40階層に到着したので、食堂も休業し、魔の森へ行くのであった。
◇◇◇
魔の森での生活はあまり変わらずで、朝食後は日課して、その後は模擬戦や魔術の練習、昼食後は魔の森の間引きをしたり、読書や勉強をする。 夕方から夕食までの間に模擬戦をし、リンのデザートまで反省とう名のしごき。 その後は就寝までは読書と勉強というサイクルだが、シリルは楽しんでいるのである。
魔の森で生活して3週間が過ぎたころ、俺シュンとリンが神獣竜界と魔界に行くため3週間不在になる。
シュンがいつもの指定席でエールとタバコをふかしながら「シリル、俺ら3週間いなくなるぞ。 その間、今も遊んでもらってんが、ルシファとセバスチャンと遊んでもらえよー」というと、大魔王と元竜王に模擬戦でボコボコにされながら楽しんでるシリルが、「うん、了解だぞ。 師匠もリンさんもいってらっしゃいだぞ」と返事をする。
そんなシリルを見つつ、俺がエールを呑んでる。
「シリルって戦闘狂だよなー」ってボソッというと、「ああ、あいつは戦闘狂だ」ってリン。
「リンも結構シリルの事気にってんなぁー」って、リンの表情みながら聞くと、「ああ、われはシリルが気に入ってるぞ。 なんせ、いい奴で面白いからな」って言っている。
確かにな。 いままで、いない奴。「だな。」といいながら俺は、エールを飲みタバコをふかすのであった。
そして、シリルが俺の所にきて「師匠、本貸してほしいぞ」という。
本なら、いくらでもある。 まぁ、分野は偏ってるけどな。
「何の本よみてーんだ?」
「ステータスカードの魔法陣解析に、召喚系も勉強する必要があると思うぞ。あと結界も読みたいぞ」
ほうほう、召喚系に結界ときたか。 なるほどな。 だから俺はニヤリ笑っておく。
「いいぞ、あとでお前の部屋においといてやる。 召喚も結界も結構もってんだ。」って言っておいた。
そして、翌日、シリルが朝起きると100冊以上の分厚い本がおいてあり、シュンのメモには『召喚と結界だ。あと魔法陣もな まだほんの一部だ』と書いてあり本の量にがっくりしつつも、貸してくれといった手前あきらめず読むシリルである。