入学式
食堂とカフェは入学式の2週間前に開店した。
今日は、シリルの学園の入学式の日である。
シュンが朝食を準備していると、シリルが制服に着替えたみたいだが慌てている。
「師匠、俺、ネクタイの縛り方わからないんだぞ。 教えてほしんだぞ」
そう言っているシリルは、ネクタイを首に巻いて悪戦苦闘している。
その様子をみた俺は、タバコに火を付けながら苦笑いしていた。
「はぁー お前、ほんと抜けてんな。 昨日のうちに聞けよ。 とりあえず、メシだ、運べ」
と言って、シリルにとりあえず朝食をテーブルに用意させる。
そして朝食後、コーヒーをのみながら、俺はタバコに火をつけて一服する。
「コリー、お前ネクタイの縛りかたしってるか?」
「俺、しらないっすよ。 いつも町人風の恰好っすから」
「だよな、どっすかなー」
「シュン知らないのか? 学生の時にネクタイしてたたのに。。忘れた?」
そう言ったリンは、驚いていた。 そりゃ、かなーり昔の学生任務の時やらでネクタイしていたし。。
「ある意味忘れたな。 魔術で着替えてるからよ。」
「「「あー、面倒だから」」」
って全員でツッコまれた。 しかもなぜか棒読みだ。 手で縛ったのって、数日程度だったし、それにもう数千年以上の前の話だ。 興味もないし覚えてないって。 って心の中でごちておいた。
「うん? ってことは俺、どうすんだ?」
と困った顔をしているシリル。 そりゃ、そうなるよな。
「シリル、こっちこい。 今日は大丈夫だ」
といってシリルを俺のほうにこさせて、俺はネクタイをシリルから受け取って、魔術でネクタイを縛った。
「な、魔術での縛り方はわかんだが、手で使って縛る方法をわすれてんだ」
「おぉーーーその魔術教えてほしいぞ」
「まだ、お前には難しいからだめだ」
って俺がいうと、残念そうな顔をしているシリルだった。 特定で改良すりゃいいけど、それはそれで、シリルのためにもならんしなぁ~。 なんて考えていた。
「シリル、遅刻するっす」とコリーがいい、「お、ギリギリだぞ」と言ってシリルは慌てて荷物を取りにいき、「いってくるぞー」と食堂を後にするのだった。 そして、数分後戻ってきて、「学生証わすれたぞー」といい、部屋にとりにいきまた「いってくるぞー」と食堂をあとにするのだった。
俺とリン、コリーは爆笑しながら「「「抜けてんなー!」」」と言っておいた。
◇◇◇
Side:シリル
シリルは、入学式の講堂に遅刻することなく到着する。 というか、間に合わないので近くまで転移したのだった。
席はクラス毎にわかれており、シリルのクラスは1-Dだ。 すでに席は大分うまっていたので、シリルは最後尾の席にすわる。 ボッチのシリルなので、誰か知り合いがいるわけどもない。。
入学式が始まると長くつまらない話でシリルは眠くなり、そのまま爆睡。 気付いたら、入学式が終わっていたのでそのまま教室へ向かうのであった。 ボッチのシリルだ、誰か起こしてくれるわけでもない。。 教室に入ると、席が決まっており、確認すると、窓側の列の最後尾だったのでその席に座るシリル。 絶好の位置である。
席に座るシリルに、隣の席に既に座っていた、短髪赤髪でやんちゃな顔の中肉中背の男子生徒が声をかけてきたのだった。
「おれ、キース・サイモンっていうんだ。 平民だ。 このクラス、貴族もいるっていうけど、心配してんだ。 俺の事はキースでいい。 お前は?」
「おれは、シリル・カーティスだぞ。 平民で、すげード田舎にいたから敬語はなせないぞ。 おれも、シリルでいいぞ。」
キースのお陰で、ボッチ脱出?かのシリルであった。 とは言っても、シリルは特定の人間と仲良くしようとも考えていない、というより、興味が無いのである。 この学園に来たのも、義務であり、また他学園よりは面白そうだからという理由だけだった。
そんなシリルだったが、キースは笑顔で話しを続けるのだった。
「よろしくな、シリル!
そういや、入学式の代表って第二王子だったろ。 俺、王族みるの初めてでよ。 やっぱ、すげー顔も整ってるし、王族となるとやっぱちがうよなー。」
そういうキースは、興奮している模様だ。
「ふーん、そうだったのか。 おれ、爆睡してたから、見てもいないぞ」
「まじかよ。 なんか、お前、変わってんなー」と言われるが、意味が理解できないシリルは首を傾げるのだった。
すると、教室が開き、短髪茶髪で瞳も茶色で190CMの中肉だが筋肉は引き締まって、やや顔つきが聡明なのに無精ひげを生やした30代中旬の男性がはいってきた。 教師らしい。
「席につけ!」
この声を聞いて、席を立ち友人同士なのか話していた生徒達が席につくのだった。
「入学式、おつかれさん。 はじめましてだな。 俺は、グレッグ・ポーターだ。 おもに、体術、剣術やら実技全般と魔法は攻撃と防御の実技担当だ。 学科は別の先生となる。 来年の専攻によって1部選択する学科と実技が違うから、各自の机の中に冊子があるから確認しとけ。
んじゃ、恒例の自己紹介だ。 専攻予定科目と職業をいってくれ。 では、窓側の前列から初めてくれ」
そう、グレッグが言うと、生徒が立ち上がり自己紹介がはじまるのだった。
シリルの前の生徒の紹介が終わり、シリルの番となる。 興味がないので、他生徒の紹介など聞いていないシリル。
「シリル・カーティス。 専攻予定は冒険科だぞ。 職業も冒険家。 すげー田舎にいたから敬語は話せないぞ。 あと、一般常識も疎いぞ。 よろしくだぞ」
そう言って、すぐに座るシリルだ。 他の生徒達は、自己アピールなど盛り込んで、周りの生徒から質問されたりだったが、簡潔な紹介のシリルにえ?ってなっている他生徒であった。
そんな状況だったが、グレッグが、
「お前が、カーティスか。 この後、学園長に呼ばれているから、お前荷物もって俺といくぞ」といい、シリルは「うん、了解だぞ」と答えるのだった。
周りの生徒は、初日で学園長に呼ばれる、シリルに注目が行くが、興味の無いシリルは気にもせず窓の外を眺めていた。 その後、グレッグの合図で、キースの番だ。 が、シリルは、退屈になりまた爆睡するのだった。
そんなシリルに、キースが「おい、シリル、おきろよ」と小声が聞こえ、シリルが起きると、キースが「もう、自己紹介終わるぞ。 お前、先生に呼ばれてるだろ」といわれ、「お!そうだった」と小声で返事するのだった。
自己紹介が終わり、グレッグが、
「選択科目の提出は明日までだ。 明日から午前・午後の授業あるからな。 あと、今週の金曜日は午前がギルド見学で午後が学生任務だ。 討伐任務ではないが、各自動きやすい恰好で登校してくれ。 あと学生任務はグループで受けるから、最低4名~6名のグループを作って木曜日まで申請してくれ。 なお、金曜は学生服じゃなくていいからな。 以上、解散だ!」
という合図、各生徒達は、帰る準備なり、周りに声をかけあっている。 目的はグループ作りがメインだ。
キースもシリルに声をかけようとするが、
「カーティスいくぞ!」というグレッグ声で遮られ、シリルは荷物をもって、グレッグと共に学園長室へむかうのであった。