ランクB試験③
盗賊のアジトを作っている森に到着した、シリル達即席パーティー。
シリルとパーティーメンバーの男性の2人は、盗賊のアジトの正確な位置と下見のためにアジトがある程度目視できる場所に来ている。 他のメンバーは、野営の拠点を作っている。 なぜ、この2人なのかというと、理由は簡単だ索敵ができる面子だからだ。
盗賊のアジトは洞窟で、外に見張りがいた。
それぞれが、索敵をして現在の人数を把握するのだった。
「あの中には10名弱って感じだね。」と男がいう。
「違うぞ。 9名だぞ。 5人が固まってるぞ。 1人は別、3人が固まっているぞ」
そんな曖昧な数いったら師匠達に怒られるんだぞ。 なんで、細かく索敵しないんだ?と考えているシリルだ。
「シリル君、そこまでわかるのか?」
「わかるぞ。 でも、中の構造まではわからないんだぞ。 ちょっと、見てくるぞ」といい、男が止める暇もなく、シリルは気配を消して盗賊のアジトの中に入っていってしまったのだった。
10分後にもどってきたシリルが「確認してきたんだぞ。 拠点にもどるんだぞ。」といって、男が唖然とするのも無視し、男の事を気にする事なくテクテクと拠点へのほうへ歩きだすシリルだった。
◇◇◇
シリル達2人が戻ると、野営の拠点は出来ていた。
各々張ったテントの近くで、雑用をしていたり、軽く運動していたが、シリル達が戻った事で、みんなが集合するのだった。
「戻ってきたか。 アジトはどうだった?」
と聞くのは傭兵団の男で、シリルと一緒にアジトの下見に行った男に聞くのだった。
「シリル君から報告してもらったもうがいいよ」という男の言葉に、他の人達は不思議な顔をしている。
「うーんと、まだ、午後だからアジトにはあまり人がいないけど、アジトは洞窟だったぞ。 洞窟の前に見張りがいて、3人立っていたぞ。 アジト内にいる人間の数は、合計で9人だったぞ。 で、洞窟の中は、左側が宴会場で、その隣がボスの部屋だぞ。 さらにその奥に倉庫があって武器とか食料とか盗品があったぞ。 で倉庫のとなりがキッチンで料理を作るのみだったぞ。 右側には4つほど相い部屋があって一部屋6人ねれる寝室だったぞ。 で、更にその奥に牢屋があって、女性が5人摑まってたぞ。 多くても30人弱だぞ」
と報告するシリルに、周りは唖然としている。 コリーはクスクス笑っている。
「やけに細かいが、坊主、中にはいったのか?」と傭兵団の男に聞かれ、シリルは「うん、そうだぞ。 気配消したから気付かれてないぞ。」というと、傭兵団の男も含めみな絶句するのだった。
傭兵団の男が我に返り、「えーと、ツッコミどころはあるが、此処までの情報があるとありがたいぜ。 今夜決行で問題ないな」と周りを見渡してから、各自の役割を決めていく。
各自役割を決めている間、試験官とコリーが話しているのだった。
「コリーさん、シリル君って。。 年齢間違ってませんよね。」といいつつ詮索する試験官だった。
「シリルは、15歳っすよ。 なんか、問題でも?」
「いや、ただ、彼はこの試験受ける意味がないような。。」とボソリいう試験官にだった。
「そんな事よりも、人質のほうは試験範囲じゃないっすけど、どうするんすか?」とこれ以上詮索されないようにするコリーに、我に返った試験官が「そうでした。 ギルドに連絡しなくては」と言って、どこかへ連絡しに行くのだった。
コリーはコリーで、討伐に行く前に各自夕食を取るという事で、シリルに変に目立たないように注意しないと考えていた。 面倒毎になった場合、シュンに何言われれるか分からないからだ。。
役割が決まり、シリルとコリーは、ウサギと鳥を狩って、捌き、シュン特製タレをつけて石を鉄板代わりにして炒めて料理をしていた。 出来上がると、コリーは、シュンからもらったエールを飲んでいる。。 が、周りの目もあるため、シリルは呑めず不貞腐れていたのであった。