シリルの入学試験 前編
入試当日。
「魔力制御とイヤーカフはぜってぇーはずすなよ。 あと、合成はつかうな。 闇も浄化もだめだぞ。 使っていいのは、火と風のみな」
俺は、入試を受けに行くシリルに、注意事項を伝えている。
「了解だぞ、師匠。 魔力制御の腕輪ついてるぞ。 イヤーカフもついてるぞ、魔術も了解だぞ」
「よし。 あと、学園内で殺しと血がでる怪我させるのはダメだかんな。 あいつらみんな人の命のほうが重いって思ってるしな」
「了解だぞ!」
そう言っているシリルは、なぜか敬礼している。
「学園内は結界はってあんから、転移は使うなよ。 だけど、誰もいねーとこだったら転移つかってもいいかんな」
「うん、わかったぞ。 いってくるぞ」
そう言って、元気よく食堂を後にしたシリルだった。
が、数分でもどってきて、「受験票わすれたぞ」といって部屋にはいり、受験票をもって「いってくるぞー」と行くのだった。
俺らは、そんなシリルを見て爆笑している。
「あいつ、なんで抜けんだろうな」
「ああ、些細な事がぬけてんすよね」
「うん、我も同感」
学園着く時に気付くよりは良かったのか?など思いつつ俺たちはそんな会話をしていた。
◇◇◇
Side:シリル
受験票忘れたけど、なんとか遅刻せずに入試会場に着いたぞ。 俺は、受験番号の書いてあった教室にはいると、既に殆どの生徒が指定された席に座っていたぞ。 俺も自分の番号の席に座ったのだ。 少し周りを見ると、各自誰かと話したりはしていなくて、教材なのか本を開いて復習しているようだぞ。 俺は、学科試験の教材は持ってきてないから、ボケーっと外を眺める事にしたぞ。
しばらくして試験官が、筆記試験の問題と解答用紙をくばる、全教科がまとめて受けられて、終わったら提出して退室してよいらしい。 4教科で、3時間半が制限時間だった。
試験官の合図で問題を開いた。
。。うん? 簡単だぞ。 でも、師匠にいつも抜けてるって言われてるから、気をつけないといけないぞ。。と俺は心の中でつぶやいて、1問1問丁寧に回答を書き込む。
ちょうど2時間半かけて回答を書き、30分で見直しをした。
その頃には、ちらほら退出者もいたから、俺は席を立って、回答用紙を試験官に渡した。
他の受験者は昼休憩で、食堂に行っているみたいだ。 俺は、食堂に行きたくないし、師匠がお弁当作ってくれたから、中庭の隅にあった程よい木の上の枝に座りながら堪能する事にしたんだぞ。
食後は、午後の実技まで時間があったらから、魔方陣の本を読んでいた。 ステータスカードの解析のため、魔術書以外にも魔法陣の本も読むようにしたんだぞ。 ただ、師匠に、学園で魔術書とか読む場合は背表紙は変えておけって言われたから、背表紙を地理にしてあるんだぞ。
こうして、シリルは、木の上で午後の実技試験までの時間をつぶしているのだが、本人は気配を消しているので、わざわざ本の背表紙を変える必要が無い事にきがついていないのであった。。
午後の実技は、剣術と魔法実技だ。
シリルは、剣術が先で、順番が呼ばれるまで別の部屋で待機していた。 他受験生の力量など見学する事は出来ないのであった。
よばれ訓練場にいくと、実技担当の先生が木刀を渡してくる。
「魔法はなしで、身体強化できる奴は身体強化をつかっていい。 5分間打ち込んでくればいい。 負けても素質があるやつは合格だからな。」
木刀を受け取ったシリルは木刀を下におろしたままである。
審判の掛け声で始まる。
身体強化で相手の懐にはいり、木刀を飛ばして、自分の木刀を相手の首元に着けるのだった。 その時点で終了の合図となる。
実技担当の先生が驚愕しつつ、冷や汗をかいている。
「ご、合格だ。」
「うん。ありがとうだぞ。」
困惑している審判や先生は放置して、うーん、あっという間だったぞ、俺は思いつつ、次の試験会場へ移動した。
次は魔法実技だ。 待合室で待っている。 今度は複数名の受験者がまとまって呼ばれているようだった。
「ここに、カーティス君はいるかな?」
そう言ってきたのは、試験官らしき人だった。
「俺だぞ」と立ち上がると、「君の場合、違う訓練場で受ける事になったのでついてきてくれ」と言われたシリルはそのままついていった。
連れてこられた場所は、小さめな訓練場で、案内してくれた試験官の人に中へ入るように言われて、入ると、そこには50代ぐらいの男性がいた。
「君が、シリル・カーティス君じゃな。 君の保護者より、魔術を使うと聞いておるため、儂がみることにしたんじゃ。 初級と中級の攻撃魔術をあの的にあててくれ」
「うん、わかったぞ」
シオンは初級魔術で風の刃で的に無数の切れ込みをいれる。 別の的には、炎の槍を数本だして的を貫く。
「威力も申し分ないのじゃ。 合格じゃよ」と言ってニッコリ笑う50代の男性だった。
「うん、ありがとうだぞ」
これで、シリルの入学試験は終了だ。 あっさり終わった感があるシリルであった。
学園を出てから、途中誰もいない事を確認して、食堂の中庭に転移するのだった。