魔王候補? 前編
それから、300年が経過しても、まだ魔王種は生まれていなかった。
だが、魔界は現魔王の治世がよく大きなトラブルもなく平和であった。 とはいっても、10年ごと各エリアの長との情報交換をおこなっている。 この日は10年に1度の情報交換の会議最終日であった。
四天王の1人が「特に議題はないようなので、また10年後ですね」というと、エリア長が「議題じゃないが、魔王種はいつになったら生まれるんですかのう、魔王様」といわれる。
ほぼ毎議会の最終の話題がこれだ。
「そればっかりは、わからぬ。 生まれることを願う」とだけいう現魔王。
「うむ、確かにそのとおりだが、魔王種でなくとも魔王候補としてあげておくのはいかかじゃ?」というのは他のエリア長の1人だ。
その話題も何回目なんだろう。 だが、自分の年齢を考えると、もうこれ以上の先延ばしは無理かもしれない。
「魔王種でないと、魔族の統制はとれぬ。
ただ、現状を考えると、四天王候補になりえる子供を王城で育てるというのはどうだ?」というと、皆「それもそうですな」と合意する。
こうして、6歳~14歳で四天王候補になれる可能性がある少年10名が魔王城に集められ、日々鍛錬をつみまた魔術など特殊訓練および四天王としての勉強をしていくのである。
◇◇◇
それから、数年後のある日、現魔王が執務室にいると、廊下から大魔王の声で「おい、シリル走るな!」という声と、少年の声で「おれ、早く模擬戦したいのだぞ」といい、「大魔王さん、この扉か?」という声が聞こえる。
大魔王が「ああ、そこだ」という声で、執務室の扉が開き、追いつた大魔王と一緒に168CMで銀髪で瞳の色はこげ茶ので人間の少年が一緒にはいってきたのであった。
大魔王が魔王に紹介するのだった。
「ルファ、こいつが前にお前にもいった変わったやつだ」
「変わったやつじゃないのだぞ。 シリルだぞ」といい、大魔王が苦笑いしながら「こいつなシリルだ。」と魔王にいう。
「あー、前にお父さんが、シュン殿が保護している子ですか」
「うん、そうだぞ。」っていうシリルの目を輝かせている。
「なーな、魔王さん、模擬戦しようなのだぞ」というのである。
「まて、シリル。 我はルファと少し話があるんだ。」といい大魔王が、魔王に「四天王はどこにおる? あいつらに、まず相手させておこうと思ったのだが」と聞く。
「あー、今四天王候補の子らと、外の第2訓練場にいますよ」といって立ち上がった魔王が窓から外をさすのだった。
「シリル こっちこい」といい窓のほうに大魔王がシリルを呼ぶ。
「おう、なんだぞ」といい大魔王の所にいくシリル。
「ほれ、外の訓練場に子供が10人おって、4人魔族の大人がいるだろ」
「うん、見えるぞ」
「あの大人たちが四天王だ。 模擬戦してこい」
「おおー、いいのか? 楽しそうだぞ」といって、窓を開けて外にでようとするとシリル。
「シリル、もし子供らとやるときは、魔術は禁止だぞ」
「うん、わかったぞ。 遊んでくるぞ」といって窓から飛び降りて向かっていったシリルである。
「どうなるか、楽しみだ」という大魔王はニヤリと笑う。
「お父さん、話って、シリルって子は確か人間でしたよね?」っていう魔王。
大魔王がシリルの様子をみながらも「お前が気づくか心配だったが、きづいたか。」と笑い、「シリルは、魔族になるんだとさ。 笑えるだろ」といって爆笑している。