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転校先の清楚可憐な美少女が、昔男子と思って一緒に遊んだ幼馴染だった件【2026年アニメ化決定】  作者: 雲雀湯@てんびん2026年アニメ化決定
第8章

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372/376

372.行っちゃえ!


 茉莉が歌で春希と戦うことに決めた後、それはそれとして本日最初の趣旨である〝茉莉と遊ぼう〟の写真を撮ることにした。

 沙紀も継続して手伝うものの、顔は映していない。あくまで茉莉がメインの形だ。

 そして無事、今日も茉莉が納得するものが撮れた。もちろん前回と同じように、ポテチの袋を開けようとして中身をぶちまけたり、座ったところに泥が付いててスカートのお尻の部分を汚して涙目になっている、残念な姿もばっちりだ。

 隼人は沙紀が感心したように呟いた「あ、本当に天然さんなんだ」という言葉に、悪いと思いつつもツボに入って大笑いしたりも。

 一通り撮り終えた後は、沙紀と軽く歌に関して振り付けの打ち合わせもした。

 撮り終えた後、沙紀が春希のパートを務める形で、変更した振り付けを確認する。

 変更された茉莉は、春希のパフォーマンスを目立たせるための裏方といった印象だ。

 正直なところ地味なイメージがあるにもかかわらず、どうしてか不思議とそこまで埋もれたりするといった感じもしない。

 沙紀が緩急付けて役割分担どうこうと説明してくれるが、よくわからなかった。

 だが茉莉本人は手ごたえを感じていたので、正解なのだろう。

 そして沙紀の実力を認めた茉莉は、急速に沙紀と打ち解けていった。仲良くなった茉莉と沙紀はこの日以降も、2人でよく話したり会ったりしているらしい。

 ティンクルのハーフアニバーサリーの件もほどなくして告知され、世間の期待もどんどん高まっていく。パフォーマンスの変更に関しては、実際ある程度形にしてからプロデューサーに働きかける予定を組み、日々練り込んでいるのだとか。

 隼人としても、茉莉にはなんとかうまいこといって欲しいという思いがあるが、精々自分にできるのはSNSの写真投稿の代行くらい。

 ちなみにそちらの方も、主に隼人が撮った残念な茉莉の方がバズっており、茉莉の人気もじわじわ上がっているのを肌で感じる。

 そうこうしているうちに時が過ぎ、ハーフアニバーサリー当日の日曜日。

 空はからりと晴れ渡る、絶好の屋外イベント日和だった。太陽も朝から燦々と輝き、立ってるだけでも汗ばむような陽気だ。

 隼人はといえば、早朝から御菓子司しろでのバイトだった。

 開店準備をしていると、伊織が作業をしながら話しかけてくる。


「そういやさー、今日って二階堂のハーフアニバーサリーイベントだなー」

「あぁ、ネットじゃどこもかしこもその話題ばっかだな。学校でも、チケットが中々取れないみたいな話をよく聞くし」

「倍率えぐかったらしいね。もし二階堂に頼めば、オレらもチケットもらえたかな?」

「もらえただろ。けどそんなことしたら、友達じゃなくなりそうでできないけど」


 隼人が神妙な顔で苦笑して言うと、伊織は目を何度か瞬かせた後、「だなっ」と言って歯を見せて笑う。そして伊織の傍にいた恵麻が、しみじみといったふうに呟く。


「霧島くんって、春希ちゃんがどうなろうと、あくまで対等に見てるよね」

「そりゃ、春希は春希だからな」

「ははっ、ホント隼人ってそこはブレな――うん?」


 あっけらかんと肩を竦める隼人に、伊織が愉快そうに相槌を打っていると、まだ施錠されている入り口をドンドンと叩く音が聞こえてきた。

 一体何ごとかと目を向けると部屋着につっかけ、スマホ片手に慌てて飛び出してきたといった体の沙紀が、血相を変えた表情でガラス戸を叩いている。

 今日の沙紀はバイトの予定はない。どうしたことかと伊織がすぐさま鍵を開けると、沙紀は弾かれたように隼人の前に駆け寄り、息を切らせつつ叫んだ。


「春希さん、ピンチッ! 今日のイベントっ、茉莉ちゃんから電話っ! 頑固で、助けてって!」


 隼人はその言葉を聞き逃せないと瞠目する。

 どうやら春希周りでなにか重大なトラブルがあったようだ。それも茉莉が自分じゃ手に負えないとなって、沙紀に連絡してくるほどのことが。

 何が起こっているのかわからない。

 だけど、春希が困っている。

 ならば隼人にとって、撮るべき行動はひとつだった。


「わかった、今すぐ行こう!」

「はいっ!」

「隼人っ!?」「霧島くんっ!?」


 勢いよく頷く沙紀に、驚きの声を重ねる伊織と恵麻。そしてすぐ近くで話を聞いていた伊織の姉、沙緒莉がおかしくてたまらないといった様子で笑い出した。


「あは、あははははっ! いいね、うん、青春って感じ! 行っちゃえ、霧島少年!」

「っと、これは……?」


 そして沙緒莉はある鍵を投げて寄越す。

 反射的に受け取った隼人がどういうことか訝しんでいると、沙緒莉はにやりと笑って親指で店の裏手を示す。


「私のバイク使いな! 近くに予備のヘルメットもあるし」

「沙緒莉さん、ありがとうございます! 行こう、沙紀さんっ!」

「ええっ!」


 隼人が手を伸ばせば沙紀は迷いなく掴み、一緒になって店を飛び出し春希の下へと走り出す。


 ――アイドルでなく、友人の窮地を助けるノリで。


これにて第8章終わりです

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― 新着の感想 ―
あれ?始まる所で終わっちゃった。 とぅーびーこんてにゅーど
相棒である春希さんのためなら、どこへでも駆けつける隼人さん。これまでならひとりで向かっていたのでしょうが、自然と沙紀さんに手を伸ばしているので、これも変化なのでしょうね。
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