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転校先の清楚可憐な美少女が、昔男子と思って一緒に遊んだ幼馴染だった件【2026年アニメ化決定】  作者: 雲雀湯@てんびん2026年アニメ化決定
第8章

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367.テスト結果



 この日、中間テストの成績票が配られるや否や、教室には悲喜交々の声が広がった。

 そんな中、隼人は受け取った成績票を見て、密かにガッツポーズをする。

 251人中、28位。これまで平均点あたりだったことを考えると、大躍進だ。勉強に力を入れるようになったのは、姫子の受験結果に触発されたというのも大きいだろう。兄として、妹に負けていられない。それに来年は受験だ。成績が良ければ、それだけ選べる大学の幅が広がる。選択肢は多い方がいい。

 隼人が自分の席に戻ると、やけに機嫌のいい伊織がやってきた。


「聞いてくれ、オレ今回赤点無しだったぜ!」


 そう言って得意気に見せてきた伊織の成績票を見ると、173位の数字。

 隼人は目を丸め、感心したように言う。


「すごいな伊織、順位もかなり上がってるじゃないか」

「おうよ、いつも下から30番以内だったからな!」

「それは威張れることじゃないだろ」

「ははっ。で、隼人はどうだ――え、うそ!?」


 隼人の手からひょいっと取り上げた成績票を見て、伊織は驚愕の目を向けてくる。

 それに対し、隼人はにやりと笑う。


「俺もちょっと、勉強に本腰を入れようと思ってな」

「ぐぬぬ」


 伊織が悔しそうに歯軋りをしていると、通りかかったみなもが声をかけてくる。


「隼人さんに森さんも、成績を伸ばして何よりです。私は少し下げてしまいまして……」

「お、三岳さんはどうだったんだ?」

「えっと、これです……」


 下がったという言葉を聞いて、どこか嬉しそうな顔をする伊織。隼人は伊織のやついい性格だなと思いつつ一緒になって、みなもがおずおずと差し出してきた成績票を覗き込み、そして感嘆の声を上げた。


「へぇ、39位。下がってこれってことは、いつもは?」

「一応、ずっと30位以内をキープしていましたので、内心ちょっとショックでした。けど隼人さんと森さんが頑張ってるのを聞いたら、私も負けてられませんねっ!」


 そう言ってむんっと胸の前に両手で握りこぶしを作るみなもに、隼人は挑発的な笑みを浮かべて言う。


「じゃ、俺は次回も勝てるように頑張らないとな」

「ふふっ、今度は負けませんよ」

「くっそー、隼人も三岳さんも雲の上の会話をしやがって……ってあれ、一輝?」


 隼人とみなもが闘志を燃やす隣で、少し疎外感を覚えた伊織が拗ねたように悔しがっていると、ふいに怪訝な声を上げた。一体どうしたことかと思って伊織の視線を追えば、成績票を手に固まる一輝の姿。

 それを見たみなもが、不思議そうに呟く。


「あれ、一輝さんどうしたんでしょう?」

「さぁ? とりあえず面白い顔をしてるから、写真に撮っとこ」


 隼人は反射的にすかさずスマホを構え、パシャリと鳴らす。

 一方、一輝の普段は見せない姿を怪しんだ伊織は、近寄って気遣わし気に肩を叩く。


「おーい、どうしたんだ一輝?」

「っ! あぁ伊織くん。なんでもないよ、なんでも、うん」


 すると我に返った一輝は慌てながら成績票を後ろ手に隠す。

 それを見た伊織の目が、きらりと光る。


「へぇ、なんでもない、ね。で、成績の方はどうだったんだ?」

「うん、特になにもないから。いつも通り?」

「なら見せてくれよ」

「い、いやぁ、ちょっと恥ずかしいというか……」


 のらりくらりと言い訳を口にして、じりじりと伊織から距離をとる一輝。

 伊織はにやにやしながらにじり寄り、隼人とみなもは顔を見合わせ苦笑い。

 一輝は明らかにまずいといった表情をしている。いつもはどこか飄々としているのに、ここまで感情を露わにするのも珍しい。少しばかりの興味と悪戯心も湧くというもの。

 隼人はみなもの少し困ったような視線を受けつつ、伊織に注意が向いている一輝の背後にこっそり忍びより、ひょいっと成績票を取り上げた。


「隙ありっ」

「は、隼人くんっ!?」

「どれどれ…………え?」


 そして中身を確認した隼人も、一輝同様まずったなといった表情で固まってしまう。

 隼人の反応を見た伊織とみなもやってきてその手元を覗き込み、2人もまた、頬を引き攣らせて言葉をなくす。具体的な数字を口にするのも憚られるほど、散々な結果だった。

 一輝は羞恥で顔を赤く染め、目を逸らしている。

 気まずい沈黙の中、隼人は気を使いながらも言葉を選ぶ。


「あーその、モデルの仕事がそんなに忙しかったか?」

「そ、そうだね。思いの外、仕事で覚えることが多くて、手が回らなくなって」

「お、おぅ。けどなんていうか、補習まみれになるとモデルの仕事に支障でないか?」

「うぐっ」


 痛いところを衝かれ、二の句を告げなくなる一輝。なんだかんだ、高校生の本文は勉強なのだ。一輝もそれがわかっていたからこそ、先ほどの反応なのだろう。

 如何ともしがたい空気の中、みなもが流れを変えようとポンっと手を叩き、明るい声を上げた。


「そ、そんな忙しい中、勉強の方もしっかり結果を出してる春希さんって、すごいですよね」

「確かに。1年3学期の時も、1位掻っ攫ってたしなぁ」


 伊織もまた、感心した声で答える。するとみなもも、しみじみといったふうに呟く。


「今回もきっと1位なんでしょうね」

「ははっ、芸能仕事と両立するコツがあったら教えて欲しいね」


 そこへ一輝が肩を竦めながら呟くと、隼人はごく自然な感じで提案した。


「なら、これから直接本人に聞きに行こうぜ」


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― 新着の感想 ―
一輝さん、慣れない環境の影響で学業が後回しになったんですね。そして春希さんに聞きに行こうと、気安く提案出来るようになった隼人さん。何か取り巻く環境が変わったようですね。
あれ。こんなにあっさり(笑)。
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