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転校先の清楚可憐な美少女が、昔男子と思って一緒に遊んだ幼馴染だった件【2026年アニメ化決定】  作者: 雲雀湯@てんびん2026年アニメ化決定
第8章

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351.アイドル研究会



 新学期が始まり、早くも半月が過ぎた。

 桜の木もすっかり花を散らし、若々しい緑色。

 入学式に春希が顔を出したことにより、これまで停滞していた状況が少しずつ変わり始めた中、隼人はいつも通り待ち合わせた沙紀や伊織、恵麻と通学路を歩く。

 周囲を見渡せば、まだまだ真新しい制服の生徒の姿が目に入る。

 入学当初は緊張気味だった新入生たちも、今日のような週明けの月曜日ともなれば、気だるげな顔で欠伸を噛み殺していた。それだけ新生活にも慣れてきたようだ。

 校門を抜けると、部活の勧誘でビラを配っている人たち。朝から部活の勧誘も活発で、校内の掲示板の各所には多種多彩なポスターが貼られていることを思い返す。

 その中でも一際精力的に勧誘している部活があった。


「キミもこのペンライトを振らないか!?」

「うちわに推しのプリントを!」

「ぬい作りがアツい!」

「衣装の再現したい人、集まれーっ!」


 彼らを見ながら、伊織が感心したように呟く。


「今日も熱心だなぁ、アイドル研究会」


 すると恵麻が苦笑しながら相槌を打つ。


「あはは、確かに。騒がしいよね~。今年できたばかりなんだっけ?」

「らしいな。なんかもう、うちの学校で昔から一番勢いがあるみたいな顔してるけど。ま、これも二階堂のおかげというか、せいというか……」

「でもドル研の人たち、悪いやつらじゃないんだよなぁ」


 隼人が苦笑しながら答えると、伊織も眉根を寄せつつ「だな」と返事をする。

 伊織の言う通りアイドル研究会は、つい先週、今年になって発足した新興の部活だ。

 表面上はアイドル全般についての活動という体裁を取り繕っているものの、その内容は春希の推し活についてがほとんど、らしい。

 やはり発足のきっかけは、入学式での春希のライブ。

 生の迫力、というべきだろうか。スマホやモニター越しでしか知らなかった、目の前の春希の存在感を全身で浴びせられ、魅了されてしまったようだ。それを裏付けるように、部員は1年が多いという。

 また教師陣の中にも熱烈なファンがいるらしく、顧問には複数人が立候補してひと悶着あったとか。

 正直、春希を応援することだけに正式な部活が作られるということに、胸中複雑なところがある。

 しかし彼らが春希にとっても、決して悪くない集団であることも知っている。

 当たり前の話だが、春希は今人気絶頂のアイドルである前に、学生だ。

 アイドル活動を始めた1年の3学期こそ、出席日数も足りていたので姿を見せなかったが、今年は入学式で沙紀と約束した通り、ちょくちょく学校に顔を出している。

 ちょくちょくというのは、やはりアイドル業が忙しいらしい。二時限目から登校したり、五時限目前に帰ったりしていることも多く、隼人たちと登下校のタイミングが合わない。一応は、出席日数とかは計算してのことらしいのだが。

 生徒たちの間では、春希の顔を見られた日はラッキーだなんて言われたりして、すっかりレアキャラだ。

 だからそんな春希が学校に姿を現せば、一目見ようとファンが殺到しそうなもの。

 しかしそうした人たちを抑制し、春希の学園生活を守るために尽力しているのが、アイドル研究会の面々でもあった。春希と同じクラスの恵麻が言うには、教室内では平穏そのものらしい。

 しかしその一方、外部からの春希への接触が厳しく制限されている状態になっており、隼人は学校で春希の姿を見ても、ロクに喋れていなかった。入学式の時のいつもと違う春希の反応が、胸にわだかまりとなって残っている。だから一度じっくり話したいと思うものの、学校以外で会うのも難しくて。だからこの状況は痛し痒しだ。

 とにかく、アイドルをしつつも登校をするようになった春希を取り巻く環境は、またしても変わってしまった。

 そして春希以外にも、これまでの生活と変わってしまった人がもう1人。

 沙紀はアイドル研究会の人たちを見て、憂鬱なため息を吐いた。


「私、あの人たち苦手です……」

「あ、あはは……」


 隼人はなんともぎこちない笑いを零す。伊織と恵麻も、何とも言えない曖昧な顔で苦笑い。

 一応、外部からの干渉は避けられている春希だが、春希から外部に接触する分にはなんの制約もない。

 その春希は登校する度に沙紀を訪ねては、話に花を咲かせていた。またその内容は、春希の仕事に対する愚痴ばかり。

 春希が沙紀に対する態度は、アイドルになっても変わらない。まさに親しい友人そのもの。そして周囲にも同郷の出だと伝えている。

 おかげで今の沙紀は、周囲からあのアイドル二階堂春希の親友と見られていた。

 そうなるとアイドル研究会の矛先は沙紀に向かい、沙紀が春希の代わりに色々と質問攻めになるのは必然。

 沙紀が彼らに辟易としてしまうのもわかる。学年が違うだけにフォローできないのが心苦しいというもの。それに隼人としても、春希の現状がある程度知れるので、口出しすることもできなくて。


(春希が俺のところに来てくれたら……っていうのは無理なんだろうな……)


 今やスター街道まっしぐらの春希に、特定の男子が仲良くしている姿を見せるわけにもいかない。沙紀、それに恵麻も女子だからこそ、学校で親しく話せるのだ。

 隼人は先日、入学式の時に沙紀が言っていた、隼人が男子で春希が女子、そして沙紀も女子という性別の壁を、ひしひしと感じるのだった。



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― 新着の感想 ―
他人の色恋なんて当人同士に任せておけばいいのになあ、といつも思います。 応援してる方々がくっつくと他人事ながら嬉しくなりますが。
隼人さんと春希さんが話す機会がないのは、ある意味いいことなのかもしれませんね。
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