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転校先の清楚可憐な美少女が、昔男子と思って一緒に遊んだ幼馴染だった件【2026年アニメ化決定】  作者: 雲雀湯@てんびん2026年アニメ化決定
第8章

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344.沙紀とアルバイト


 隼人たちは白泉先輩にお礼を述べた後、周囲より遅れてそれぞれの教室へと戻った。

 幸いにして、隼人たちの勝手な行動に気付いている人はいないようだ。

 その後、担任教諭からいくつか細かい注意事項を告げられれば、本日の学校は終了である。

 担任教諭が去れば、早速教室内は騒めき出す。

 周囲の話題はやはり、入学式のサプライズで登場した春希について。

 やはり噂の有名人が目の前に現れ、身近にいるということに、興奮が隠せないようだ。


(……春希)


 先ほど話した限りでは、これからちょくちょく学校に顔を出すつもりらしい。

 しかしもはや、春希がただの高校生として過ごすことは不可能だろう。

 一体どうなることやら。隼人が難しい顔で考え込んでいると、トンッと肩を叩かれた。


「おいおい、久々に二階堂に会えたっていうのに、辛気臭い顔をしてんじゃねーぞ」

「伊織……」

「まっ、さっきは巫女ちゃんに全てもったかれた感があったから、気持ちはわからなくもねーけどさ」

「ははっ、伊佐美さんと別クラスになった時の今朝の伊織ほどじゃねーよ」

「うぐっ」


 隼人がツッコミを返すと、伊織がしてやられたと芝居がかったバツの悪い顔を作る。

 どうやら伊織なりに、隼人のことを気にかけての軽口のようだ。

 思えば伊織のこういうところに、随分救われてきた。特に、春希が全く顔を出さなかった3学期は。

 隼人は改めて伊織に訊ねた。


「で、伊織。どうかしたか?」

「どうしたもなにも、アレ」

「うん?」


 伊織が指差した方向へ目を向ければ教室の入り口の前にいる恵麻と、彼女に連れられてやってきたと思しき沙紀の姿が見えた。

 沙紀は上級生の教室に来ているためか、やけに緊張した面持ちをしており、しかしやる気に満ちているのか胸の前で両手で握りこぶしを作っている。

 こちらの視線に気付くと恵麻がにこりと笑って手を振り、沙紀はこくりと頷く。

 隼人はそんな沙紀に頬を緩ませながら手を振り返し、伊織に言う。


「あー、伊佐美さんに沙紀さんも来てるし、俺らも帰るか」

「おいおい」

「うん?」


 すると伊織から呆れた声が返ってきたので首を傾げると、代わりに近くへやって来たみなもが答える。


「ほら隼人さん、今日は村尾さんがアルバイトデビューする日ですよ」

「あっ!」


 言われて初めてそのことを思い出す。今日は沙紀が御菓子司しろでバイトを始める日だ。沙紀自身、受験が終わってからずっと、宣言していたことでもある。

 今日は春希のことがあってすっかり忘れていて気まずい顔をする隼人に、伊織はやれやれと肩を竦め、みなもは苦笑を零す。

 隼人は気恥ずかしい表情をしつつ、それを誤魔化すように、帰宅の準備をしている一輝に声を掛けた。


「っと、一輝も一緒に帰るよな?」


 すると一輝は少し考え込んだ後、申し訳なさそうな顔を作る。


「ごめん。今日はこの後、用事があって」

「ふぅん。なら仕方がないか」

「それから元々僕は正式なアルバイトじゃなかったからアレだけど、これからはあまり手伝えなくなるかも。……その、姉さん絡みで色々あってね」


 一輝の姉、百花は今を時めくカリスマモデルだ。相変わらずMOMOとして、各所広告で活躍している姿を見ることが多い。

 去年は春希絡みで遊びに行く際のカモフラージュに付き合って貰ったりと、それに現在も芸能界で春希のことで何かあったら教えて欲しいと頼んでいたりと、何かと世話になっている。

 一方で百花は自由気ままというか奔放な性格で、周囲を引っ掻き回すことも多い。

 もしかしたらまた(、、)何かやらかしたのかも。

 どこか困った顔をする一輝を見て、隼人だけじゃなく、伊織とみなもも苦笑を零す。

 そして隼人はなんとも曖昧な笑みを浮かべて答えた。


「そっか」



 隼人は伊織とみなも、そして恵麻と沙紀の5人でバイト先である御菓子司しろへと向かう。

 すると店に着くなり待ち構えていた伊織の姉・沙緒莉が沙紀の姿を捉えるなり、喜色満面で駆け寄りその手を握りしめてきた。


「おっ、巫女ちゃんだ! この日を待ってたよ! うんうん、可愛い女の子のバイトはいくらでも欲しいからね!」


 相変わらず遠慮のない沙緒莉の距離感に、沙紀は一瞬たじろぐもののすぐさま気を取り直し、硬い表情で言葉を返す。


「が、がんばりましゅ……うぐ……」


 しかし沙紀は緊張し過ぎたのか、つい舌を噛んで涙目になってしまう。

 周囲からほほえましい笑い声が上がり、沙紀は顔を真っ赤に染め上げる。

 とはいえ、沙紀は今日がバイト初めてなのだ。肩に力が入るのも、致し方ない。

 隼人は沙紀を安心させるよう、努めて優しく声を掛けた。


「沙紀さん、何かあったら俺らでフォローするし、気楽に行こう」

「お兄さん……そうですね。皆さん、今日からお世話になりますっ」

「おうよ!」「任せてねっ」「頑張りましょう!」「期待してるよーっ」


 沙紀がふにゃりと笑顔で頭を下げれば、皆から異口同音の歓迎の声が重なった。


あいこい3巻発売、コミカライズ企画進行中です!

連載開始はもうちょっと先になりますが、楽しみにしててください!

発売中のてんびん9巻、ここカノ1巻もよろしくね!

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― 新着の感想 ―
目まぐるしく変わる環境。時間は待ってくれないですね。
学年が違う分、沙紀さんにとってバイト中は隼人さんと一緒にいられる貴重な時間ですからね。隼人さんは隼人さんでバイト初日の沙紀さんに、頼れる兄貴分なところを見せられるチャンスでもありますね。
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