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第7章〜魔法の魅惑〜

 僕は胸からはち切れたその想いを率直に真由ちゃんに伝えた。だが、真由ちゃんはめっちゃ驚いた顔をしていたのと同時に、戸惑いの表情もあった。

「えっ、と、ごめん、聞き間違いかな?今、だいす…」

「うん!言ったよ!大好き!」

 言ったに決まってんじゃん!僕は自分の気持ちに嘘なんかつかないよ!

「…それって、ライクの方だよね?L・I・K・Eのライク?」

「えぇ〜、僕これでも本気だよ??」

 すると、真由ちゃんはすっごく難しい顔をして考え込む。

 えー?なんでだろう?すごく簡単なことなのに。僕のこと好きでいてくれるなら、「私も大好きっ!」て返してくれればいいし、そうじゃないなら、「ごめん、付き合えない」って返してくれればいいのに。まぁ真由ちゃんからしたら二番目のはありえないけど。

 そう考えていると、真由ちゃんがチラッと僕の方を見る。

 お?付き合ってくれるのかな…!?

 そう思ったのに、また難しい顔で考え込んでしまう。

 でもきっと真由ちゃんのことだし悪い答えにはならないはず。信じよう!

「…ありがとう」

 おっ!ってことは…?

「私…星夜くんにそんな風に想ってもらえて嬉しいよ。もし、本当に星夜くんが本気なんであれば夢みたいな話だけど、でも今はまだちょっと早いと思うな…」

「えっ、それって…保留ってこと…?」

「…うん」

「じゃあじゃあ、僕のことは好きって事なんだよね??両思いなんだよね??」

「うん」

「やっ、やったーーー!!!!」

 両思いだって!両思いだって!!僕たちやっぱり運命の赤い糸で結ばれてたんだよ!!

 それに両思いで保留って事は、近い内に僕と付き合ってくれるって事だよね!?じゃあもうカレカノ同然じゃない!!

 すると、真由ちゃんが照れた様子で僕をなだめる。ふふっ、可愛いなぁ。こんな顔してるともっと可愛い顔見たくなっちゃうんだよなぁ…。

 試しに、僕は真由ちゃんの手を握ってみる。途端にみるみる内に顔がトマトみたいに真っ赤に染まっていく真由ちゃん。

 これに追加して。

 僕は真由ちゃんの顔の隣に自分の顔を近づけた。

「別に恋人繋ぎじゃないんだし、これならいいでしょ?」

「え、あ、う、うん」

 顔がこれだけ近くにあるから、勿論、少し真由ちゃんの呼吸が荒くなったのも気づいた。

「後もう一つ」

「な、なに?」

「絶対逃さないから」

「え」

 当たり前。一応これ言って釘刺しとかないと他の男のとこふらふら行かれちゃったら嫌だもん。だって僕ももうそろそろ三十に差し掛かるんだし、折角真由ちゃんみたいな子見つけたんだから絶対逃したくない。

 って言っても、今日一日のこれからの出来事さえあっちゃえば気移りなんて絶対にあり得ないんだけどね!

「ほら!早く!ベイクドチキンレッグ売り切れちゃうよ〜!」

「あ、うん」

 そして僕たちは運命の赤い糸を辿ってデスティニー・アイランドへと向かった。

 デスティニー・アイランドに着き、早速お昼を求めて売店へと向かうと人がたくさんいた。

 凄い。まるで僕の定期公演の出待ちの時の行列並。それをきれいに分けるとこうなるんじゃないかな。

「ねぇ、星夜くん。これ結構待ちそうだけどどうする?並ぶ?他のとこ行く?」

「折角真由ちゃんが提案してくれたんだし、ここがいい!」

「うん、わかった」

 これだけの人数で待ってみるのも案外楽しそう。だって、僕の出待ちの最後尾の人はこれぐらい待ってるって事なんだし、それに何より真由ちゃんが折角選んでくれたメニューなんだから食べてみたいし!まぁ、そんな真由ちゃんが選んでくれたメニューだからこそちょっとした要求もあるんだけどね?

「因みに、食べさせ合いっことかってするの?」

「え?…しないっ!無理っ!恥ずかしくて絶対できない!!」

「えー、じゃあじゃあ、一回だけあーんは?」

「それも…ちょっと…」

 ちっ、こうなったら…。

「お願〜い」

 僕は、初めて真由ちゃんにお願い事をした時と同じように目をうるうるさせて頼んだ。

「…うん、一回だけだよ」

「やったー!」

 やった!楽勝楽勝!

 すると僕たちの順番が回ってくる。

 真由ちゃんが注文してくれる間、ちょっと僕思ったんだけど、これカレカノなら僕から奢った方が良くない?

「はい、お会計は一千百円です」

 僕はお財布を出そうとした真由ちゃんの手を軽く押さえながらお支払いをした。そしてチキンとドリンクのセットをひとつずつ受け取って席へと移動する。

「よーし、冷めない内に早く食べよ〜!」

「あ、あの、星夜くん。さっき星夜くん私の手押さえてまで払ってくれたけど、どうして?」

「え、だって僕、男でしょ?真由ちゃん女の子じゃん。だったら基本食事は奢りたくなるもんじゃない??」

 ってことにしておこう。本当は僕はカレカノって関係だって思ってるんだけどね。

「じゃあほら、あーん!」

「えっ」

「言ったでしょ?一回ならいいって。だから、あーん!」

「あ、あーん…。…美味しい」

 おー!よかった!女の子って、こういう豪快な骨つき肉あんまり好まない傾向あるからどうかなって思ってたけど…。やっぱりこういうのでも遠慮ない子っていいよね!…でも、なんか奥の方気にしてるような気がする…気のせいかな…。

「ほ、ほら、星夜くんも食べちゃいなよ。美味しいよ?」

「真由ちゃんからもあーんして!」

「えぇ」

「一回だけ!」

「…うん、一回だけね。はい、あーん」

「あーん!」

 うーっわっ!!最っ高ッ!ウマっ!ただでさえ美味しいものが真由ちゃんからの「あーん」でさらに美味しくなったわ!これこそ本当の魔法だと思う!!

「じゃ、あとは普通に食べよ」

 なっ…!?でも…仕方ないか。真由ちゃん、あんなに恥ずかしがってたのに一回でもやってくれただけ感謝しなくちゃだね。お陰で最初の一口、めっちゃ美味しく食べれたし。

「うん!」

 そしてお互い美味しく食べ始めた。

 さっきの一口目には勝らなかったけど、やっぱりボリューミーで肉汁もすっごくあって美味しい!

「ねぇ、次のアトラクションどこ行くの?」

「えっ!?このタイミングで?ちょっと待って」

 すると、真由ちゃんは一回チキンをお皿に置いて園内マップを取り出す。真由ちゃん、食べ方すごい工夫してるから片手全然汚れてないみたい。すご。

「えーとね、今デスティニー・アイランドにいるから、この近くにあるのは深海三千海里とエンド・オブ・ヴォルケーノだね」

「そっかー、じゃあ高いとこ行かないのは三千海里だし、それでいいんじゃない?そろそろショップとかも寄りたくない?」

「んー、この近くにあるのは、バーニクル・インサーションぐらい?品揃えもそこそこだし、星夜くんとかは好きそうな感じかも」

 おー、真由ちゃんほんとすごいな。いくらマップ広げてるとは言え、ちょっとした細かい情報まで頭の中に入ってるんだ。

「いいね!じゃあ、この後は三千海里行った後、バーニクル・インサーション寄るって感じにしよっか!」

「うん!あ、その後私、マジカル・ヴェース・スクリーン行きたいんだけど、いい?」

「え?いいけど…どうしてそんなこと聞くの?」

「え?忘れちゃったの?星夜くんがまだここで働いてた頃、夏のイベントでイマジーネ・アークラやってたじゃん?それで、タラーザさんとコラボってたじゃん。そんなタラーザさんの前に現れたらどうなるのかなって!」

「あー!なるほどねー!面白そう!僕やってみたい!!あの人、どんな反応するんだろう?」

「うん!そうこなくっちゃ!」

 そして、僕たちのこの後のルートとちょっとしたいたずら計画は決まり、ごちそうさまをして席を立とうとした、その時だった。

 二人の女性が真由ちゃんに近づき、何かを質問しているようだった。その問いかけに引きつった表情を浮かべる真由ちゃん。

 どうしたんだろう…。それにこの人たち誰だろう…。

「ねぇ真由ちゃん、この人たち知り合い?」

「あー…いや、えっと…。知らない人ではあるんだけど…」

「あの!!もしかして…」

「ファンキャスト宮澤さん…ですか?」

「あっ、僕??」

 …なるほどね。僕がファンキャストさんだと見破ったから、聞きやすい同行者の真由ちゃんの方に聞いたって訳、か。ふーん。確かに、僕のこといろんな人が好きでいてくれてるのはすっごく嬉しいけど、僕ももちろん人間だし、休む時間だって欲しいし、大切な人との時間は大切に過ごしたい。それを、名も知れないような人が邪魔する権利って無いよね?真由ちゃんもこんな寂しそうな顔してるんだし…。僕しか、真由ちゃんの笑顔は守れないなら尚のこと。追っ払うしか、ないよね。悪いけど。

「うーん、やっぱ僕ファンキャスト宮澤さんに似てるのかなぁ。僕、よく間違われるんだよね。だから僕もその人のファンになっちゃったんだけど。でも僕は違うよ、僕ね、橋下優っていいます。職業は、憧れて大道芸人やってるの。得意なのはディアボロとバルーンアートだよ」

 そんな人、いないんだけどね。こう言って真由ちゃんの笑顔守れるならいくらでも嘘なんてついてやる。

「橋下優さん…?じゃあ人違いかなぁ…」

「ごめんなさいね、失礼しました」

 それだけ言うと、二人の女性はすごく残念そうに立ち去って行った。

「…星夜くん…なんで…?本当のこと言ってもよかったのに…」

 去っていく二人を見送る僕を、真由ちゃんは目に涙を溜めながら聞いてきた。

「ふふっ、真由ちゃんはおバカさんだなぁ、僕が数時間前に言ったこと忘れた?『僕はただ目の前にいる人を笑顔にしたい。それだけだ』って言葉。さっき目の前にいたのは真由ちゃんでしょ?さっきの二人じゃない。それに、真由ちゃんにあんな寂しそうな顔されたら僕だって男として守ってあげたいって思うよ」

 もちろん彼氏として、ね?

「ありがとう…。ほんと…ありがとう…」

「ほらー、泣かないでー!僕そんな凄いことしてないからー!」

「だって…だって…。こんなに家族以外の人に大切にされたの初めてで…嬉しくて…」

 そして、真由ちゃんはいよいよ我慢できなくなったのかボロボロと涙をこぼし始める。あぁ〜さっきの二人に感謝だなぁ、こんな可愛い真由ちゃん見れたのもあの二人のお陰だなぁ〜。でもここは男らしく、彼氏らしく、元気出させてあげてから涙拭ってあげようかな。

「うんうん、そっか。でも、それは僕もおんなじだよ」

「…え?」

「だって何度も言うようだけど、エレベーター・ディセントの時に暖かく包み込んで僕のことを守ってくれたのは真由ちゃんでしょ。だから、僕もおんなじだよ。…さっ、いつまでもここにいたら他の人にもばれちゃうかもしれないし、早く行こ?ほら、涙拭いてあげるから」

 僕は、ポケットからハンカチを取り出し、真由ちゃんの涙を拭う。

 あ、顔熱い。

「よしっ、これで元の可愛い真由ちゃんに戻ったね。じゃあ、行こう!」

「…うんっ!」

 今回もお読み頂き、誠にありがとうございました!

 今回の胸キュン展開、いかがだったでしょうか?もし、モデル様が実際にそんな事を言ったらなぁ、と考えるとなんだかソワソワします…。

 そして、なぜ折角の星夜の告白を真由は保留にしてしまったのか。気になった方は「マジックの種は夢の中で」本編をご覧ください!本編は現在、「第11章〜二つの世界〜」まで更新しております!お時間ある方は是非!

 それでは、改めて、最後までお読み頂きありがとうございました!

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