第6章〜夢の始まり〜
そして、僕たちは再びトラスト・アクアへと戻ってきた。先程のお姉さんの所に行き、手の甲にライトを当ててもらうと、見事にスタンプがくっきりと浮き出し、僕たちは入園することができた。
とは言っても、真由ちゃんはかなりビクビクしてたみたいだったけど。それは見てる分には面白いし微笑ましいし…。ほんと、見てて飽きさせないんだよね。多分、得体の知れない謎のスタンプに怖がってるんだろうから、説明してあげようかな。
すると、手荷物検査を終えた真由ちゃんが僕の元へと向かってくる。それから、あの謎のスタンプの正体を明かす僕。
「そうなんだ!じゃあさ、午後のトラスト・アクアは星夜くんスペシャルで案内してみてよ!お勧めとか、見所とか教えて!」
「うんっ!わかった!僕に任せて!!」
と、言う事で午後は僕が中心になってトラスト・アクアを案内することに…。内心、やっちゃったと思ってる…。正直、余り自信ない…。一方的に「ここがおすすめですよ!」って言ったりとか、多少のジャンル聞いてから「その場合、ここいいですよ!」とかはできても、一人でコースを全部考えるとなると…キツイな…。自分だけが楽しむ分には簡単なんだけどね。真由ちゃんを満足させられるか、心配。
でもまぁ、まずはポップコーンでも買いながら考えようかな。
「じゃあ〜、まずはこれが定番!トラスト定番のキャラメルポップコーンでも買おうか!」
「うんっ!……ぷっ」
えっ、何今の。なんで今吹いたの??
「ん?」
「いや?なんでもない〜」
いやいや、なんでもなかったら吹かないでしょ。絶対なんかある!なんだろう、なんかおかしいかな…。
「ね、星夜くん。ポップコーンバケットでさ、ラッフィのバケットがあるのって知ってた?」
「…えっ!?」
「マンツァーノにね、ホワイトチョコ味のポップコーンワゴンがあるんだけど、そこにラッフィのバケットがあるの。確か…青と白の灯台のすぐ近くに」
「うっそぉー!?知らなかったー!!えー!僕、ここでファンキャストさんやってた時たまにそこ通ってたよ!?」
嘘だーー!僕がそんな可愛い物見逃す筈がない!絶対にそんなものは無かった筈!そう信じたい!
「じゃあ、そっち買いに行く?」
「うん!行くー!」
勿論行く!行って、「ほらー、ないじゃーん」って言ってやりたいから行く。僕が勝つ確率は二分の一だけどね。
着いた。結果…あった。見事、完敗。
かなり悔しいけど、でも可愛いグッズとの巡り合わせは超嬉しい。なるほど。この遠巻きに見た感じからすると、ラッフィフレンズが全キャラクタープリントされたポップコーンのレギュラー容器型のバケットと、ラッフィのぬいぐるみの形のバケットがあるんだね。僕的には…絶対ラッフィのぬいぐるみのバケット!
「真由ちゃんはどっち?」
「断然、ラッフィの形してる方!」
「だよねーっ!」
凄いことに、この後ラッフィ熱で待ち時間ほとんど使った。多分、十分ぐらい。列を抜け少し待っていると、真由ちゃんが戻ってきた。
買ってきてくれたポップコーン入りのポップコーンバケットを見るとやっぱり可愛いデザインだった。ラッフィの瞳が太陽の光を反射して、キラキラと輝いている。因みに、僕が列を抜けた理由。それは列が嫌いとかそう言うんじゃない。ワゴンにいたキャストの女性。その人が…。実は僕の大先輩だった人。そして、僕のことをめっちゃ可愛がってくれてた人。年齢的には五個ぐらいしか離れてないんだろうけど、僕からしたらお母さん的存在で、「彼女はー、彼女はー」って良く聞かれてた。
まぁ、お節介焼く代わりに色々教えてくれてたし、差し入れもしてくれてたからいいんだけどね。そんな僕が!今になって女の子引き連れてまた戻ってきてたら、やばいっしょ!大騒ぎしちゃうっしょ!だから、列を抜けて、代わりに真由ちゃんに買ってきてもらったってこと。
「はい。お待たせ!美味しいよ、ポップコーン」
「…うん」
僕にとってはある意味このポップコーンはお母さんの味になる訳なんだけどね。
「あと、あの売店の人?すごく綺麗だった!三十代ぐらいなんだろうけど…肌めっちゃ綺麗だったよー!」
「…ゴフッ!!」
「あれ?どうしたの?」
タイミングッ!ポップコーン詰まっちゃうじゃんっ!…いや、まぁ真由ちゃんはあの人と僕とのこと知らないからしょうがないんだけど。
「そ、そうだったんだ…。とりあえず、ポップコーンだけじゃお腹満たされなさそうだし、このままフィッシュ・タイドラントでお昼にでもしよう…」
「おー!いいねー!フィッシュ・タイドラントのどこで食べるの?」
よかった…ひとまずは話すり替えられたみたい。でも、そうだなぁ、勢いでお昼にするって言っちゃったけど僕が知ってるフィッシュ・タイドラントのレストランなんてあのトラストプリンセスをモデルにしたお店ぐらいしか知らないんだよな…。まっ、そこも可愛いし、雰囲気あるし、そこでいいか!
「うーん、僕が知ってるお店はあのシャチがおっきく口開けたのがあるお店しか知らないから…。あそこにしない?あそこなら、スーベニアカップのデザートもあるし、なによりも、あのトラストプリンセスをモチーフにしたお店の内装が可愛いんだよね!」
「うん!凄くいいと思う!そうと決まれば、レッツゴー!」
「おーっ!」
よし!真由ちゃんにも気に入ってもらえたし、これなら存分に楽しめそう!二度目の真由ちゃんとの食事…しかもちょっとムードもある…ふふっ、楽しみだなっ!
そして、いよいよ着いたそのレストランで事件は起きた。
「あ、席…空いてない…どうする?」
僕が着いてすぐ店内を見回すと、トラスト内でのお昼時に丁度差し掛かっていたため、席がひとつも空いていなかったのだ。
「ん〜…そうだなぁ〜…じゃあ、デスティニー・アイランドにベイクドチキンレッグがあるから、それ食べようよ!あれなら、それなりにボリュームもあるし、味もピカイチだし。飲み物が欲しいなって思ったら近くにあるドリンクワゴンで買えばいいしさ」
「おーっ!その手があったかー!真由ちゃんすごいね〜、物知り〜!!」
「えへへ、それほどでも」
すごーい!真由ちゃん、食べ物の知識に関しては僕よりもあるかも…!うーん…悔しいけど、僕はパークを巡回してただけだったからなぁ…内面的なとこは劣っちゃってるんだよなぁ…。アトラクションと、イタフロ(イタリアン・オーシャンフロー)内のことなら強いんだけど。
そして、真由ちゃんがデスティニー・アイランドへと歩き出す。その瞬間。僕の目に、一つのアトラクションが飛び込んできた。ティーカップのようなのに、ジェットコースターのように激しく動き回るアトラクション。
何あれ。凄い。メッチャ楽しそう。乗りたい。絶対、乗りたい…!
「あ、待って!」
「ん?」
「僕、あれ乗りたい!」
僕はそう言って、ティーカップのようなアトラクションを指さした。確か、ケルプ…なんとかって名前だったはず。
「うん、いいよ!乗ろー!」
それに対して即答してくれる真由ちゃんは結構優しい人だと思う。このアトラクションは、待ち時間はそこまで長くなく、大体十数分で乗れた。
もしかしたら、タイミングも合ったのかもしれないけどね。
待ち時間はあっという間に終わり、ワクワクしながら貝殻に乗り込む。座面に座ると、中央にハンドルが付いていて、いかにも「回してー!」って感じの雰囲気を醸し出している。すると、貝殻が動き出す。乗ってると予想以上に振動とかが来るし、景色も目まぐるしく変わる。
思ってたより…楽しい…!
「…た、楽しい…!ねえ、これ、動かしていいっ!?」
「うん!ただ、回しすぎると目回るから気をつけてね?」
なーに変な心配してんだろ、こういうのは一気に回してなんぼだってのに…!
グルグルグルッ
僕がハンドルを回すと同時に貝殻も勢いを付けてフル回転する。
わぁ、超楽しい!けど、真由ちゃんをチラッて見てみたらちょっと怯えたような顔してた。それはそれで可愛い…!
「あははははっ!!」
グルグルグルッ
やばい、楽しくてやめらんない。
「楽しぃぃぃ!って言うか、めっちゃ目回るね、これ〜」
「…それは…星夜くんが回しまくるから…」
知ってる。けど、楽しいし、真由ちゃんが滅入ってるのを見るのがすごく楽しいもんでやめらんないね。
「そうなの?でもついやっちゃう」
グルグルグルッ
「うわぁぁぁっ!」
そしてその後、一分少しぐらいアトラクションを堪能した後、僕と真由ちゃんはゆっくりと貝殻から降りた。
真由ちゃんの方を見ると、エレベーター・ディセントの時の僕以上に足がふらふらになっていた。
あ、やばい、やっちゃった…。
「あぁ!真由ちゃんごめんねっ!大丈夫?ちょっとそこの椅子で休む?」
「…うん…」
どうしよ…僕の悪い癖…楽しくなっちゃうとすぐ周りの人振り回しちゃうんだよね…。今も真由ちゃん、ちょっと気持ち悪そうだし…。
「…ごめんね。僕、楽しいとついはしゃぎ過ぎちゃう癖があって。それでよく、周りの人達振り回しちゃってたりして…。それでまた、真由ちゃんにも迷惑かけちゃって…本当にごめんね…」
「大丈夫、だよ、なんか逆に楽しかったもん」
えっ、なんで?どうして…?僕、あんなに真由ちゃんに大変な思いさせちゃったのに…。なんでそんな風に思えるの??
「えっ…?本当に…?」
「うん。本当に」
そう言った真由ちゃんの瞳は本当に真っ直ぐで、絶対に嘘をつくことの無いような目をしていた。
…嬉しい…!やっぱり、真由ちゃんは僕のことを大切に思ってくれてた…!
「僕…そんな風に言われたの初めて…!嬉しい!やっぱり、僕、真由ちゃんの事大好き!!」
今回もお読み頂き、誠にありがとうございました!
いよいよ…星夜が攻めに転じて来ましたね!この告白に対し、真由は承諾するのか否か。この先のトラスト巡りはどうなって行くのか。見所です!
お時間ある方は、これからも二人の関係を温かく見守ってあげてってください!
それでは、改めて、最後までお読み頂きありがとうございました!




