第1章〜迷子は魔法で導こう〜
あー、久しぶりのトラストでのパフォーマンスだ。ちょっと緊張…。でも、二つの笑顔のため!絶対失敗できない!!やるぞ、僕!
「どうしたの?大丈夫?僕は宮澤星夜。君の名前は?」
「僕…久喜原優介。あのね…。パパとママがいなくなっちゃったの…。僕のこと嫌いになっちゃったのかな…」
「そんなことないよ、きっと今も、優介くんのパパとママは必死になって優介くんを探してるよ。じゃあ、それまでは僕が取っておきを見せたげる!」
僕は、それだけ言ってどこかパフォーマンスができそうで目立ちそうな場所を探した。無論、僕が目立ちたいとかじゃない。優介くんを目出たせたい。それにとっておきのパフォーマンスと言えば…。
「おいで!」
うん、ここがいい。
さて、まずは手始めに窓拭きのパフォーマンスで元気出してもらおうかな。
「行くよ?よーく見ててね」
そしてそのまま、あの時と同じように窓拭きの動作をする。
「すごい、すごい!!どうなってるの!?もっと!他のも見せて!」
やった!予想通りの反応だ!ここまで来たら、後は僕お決まりのあの果物…!
「いいよ。じゃあ、優介くんの洋服の中から〜…バナナ!」
「きゃはははははっ!!」
おっ!予想以上に良い反応!これでこそやりがいというものを感じるんだよねっ!
すると…。
「あっ!優介!!ここにいたのね!心配したじゃない!」
えっ?もしかしてお母さん??
「ママ〜!あのね、あのね、すごいんだよ!このお兄ちゃんは魔法使いで、このお姉ちゃんはラッフィとお友達なんだよ!!ママも一緒に見て欲しかったなぁ〜!」
なるほど、やっぱり優介くんのお母さんか!やっと再開できた訳だ。よかったぁ〜!
「そうだったの。どうもありがとうございました!優介がお世話になりました。私が優介を見つけられたのもおニ人のお陰です。本当に有難うございました!」
「いえいえ、僕たちは何も。ただただ、優介くんを楽しませたかっただけです。じゃあ、優介くん、もう迷子になっちゃダメだよ?この後も楽しんでね!ばいばい!」
そして、優介ママは何度も丁寧に頭を下げながら優介くんを連れてインディアンロードへと歩いて行った。
あ、すごい今更感あるけど、さっき僕あの子もひっくるめて『僕たち』って言っちゃった。まだ一言も話してないのに。申し訳ない事しちゃったかな…。じゃあ、攻めてここはしっかり僕の自己紹介ぐらいしてちょっとおしゃべりしたらカッコよく立ち去ろう!うん!
「さてと。えーと、改めて自己紹介するね。僕は宮澤星夜。君の名前は?」
「真由です。天藤真由」
「そっか真由ちゃんね。真由ちゃん、さっきの全部見せてもらってたけど、あれ凄かったね!真由ちゃんの子供に対するあの優しい接し方は本当に見てて心が暖かくなったよ。だから僕も優介くんに声がかけやすかった。本当にありがとね」
僕は、思ったことをありのままに『真由ちゃん』に対して伝えると、何やら彼女はとても驚いたような顔をしていた。
そういえば僕がパフォーマンスをしている時も何か驚いていたような…?
「ど、どういたしまして。そう言ってもらえて嬉しいです。そ、それで、つかぬ事をお聞きしますが…」
うん?なんだろう。急に改まって。
「うん?どうしたの?」
「もしかして、ファンキャスト宮澤さん…?ですか…?」
えぇぇぇぇ!?うっそぉ!?何でバレたの!?絶対この服ならバレないって思ったのに!
「えー!?なんでわかったのぉ〜!?僕今日この感じならバレないかなって思ってチョイスしたのに〜…」
まぁ…でも、名前も明かしたしパフォーマンスもしたらそりゃあ服装変えた所でバレるか。
「うん…まぁ…バレちゃったなら仕方ないね…。正しくも!僕がそのファンキャスト宮澤です!今日はね、ただただ遊びに来たわけじゃなくて今度の公演の下見に来たんだ。ただ、それがお昼からだからそれまではパークで過ごそうと思って。あ、そうだ!ねぇ折角だしさ、僕と一緒にパーク周らない?」
最初は一人で周ろうって思ってたけど、折角こんな気が合いそうな女の子見つけたんだし、絶対見逃しちゃったら損だよね!
「僕が相手じゃ嫌…?」
目を少しうるうるさせて真由ちゃんを見てみる。おねがーい!
「とっ、とんでもないです!!すっごくすっごく嬉しいです!私で宜しければ是非!!」
「うん!じゃあ行こう!」
やったぜ!作戦成功!そう思いながらも、僕は真由ちゃんの手を取り、人混みの中を歩き出した。




