5話:親友と家作り
「痛ぇ…」
昨日の地獄のせいだろう、少し身体が筋肉痛だ
だが、慣れなければいけないのだ
これからはあれが普通になるのだから
「おはよぉ」
「おう、おはよう」
日向は既に筋トレを始めていた
俺もやっておくか…
俺は日向と少し離れた所に位置取り、地獄を始めた
ゴブリン達も起きた様だ
早速地獄をやっておいてもらおう
ゴブリンはもう分かっている様で素直に地獄を始めた
今日はゴブリンが何だか嬉しそうに見えたが…気のせいか?
ソーサラーは魔法の練習だ
ソーサラーは魔法の練習も楽しくやっているようで
ソーサラーと日向だけが楽しんでいる
少し不満だが…これも必要な事だ
なに、地獄の後に楽しめばいい
そう思いながら俺は地獄を乗り越えていった
「ふぅ…終わったぁ…」
俺は手で額の汗を拭いながら風を浴びていた
運動をした後に浴びる風はとても心地良い
日本にいた時でたまに運動した時に何回も思った事だ
何時までも浴びていたいが今日は予定があるし今はそんなに余裕は無い
いつか、少しは安心して暮らせる様になったらまた浴びよう
「ミツ、そろそろ木を切ろうぜ」
「そうだな」
休憩も充分したしそろそろやろう
俺と日向はゴブリン作の斧を手に持ち周りにある木を切り始めた
「結構…切れっ…るなっ!」
「確か…にっ!」
木を切り始めてから1時間経った
信じられない事に木が大量に切れている
このゴブリン作の斧が良いんだろうか?
ちなみに日向の木を切った数は当たり前だが俺より多い
そしてゴブリン達の家を作る速度等もおかしい
俺達が切った木を加工そして組み立てるまでが異様に短く
もしかしたら今日で家が出来るのでは?と思う程だ
実際、木を切る俺の目の端には3分の1位出来上がった家がある
一体どうやって…
そんな疑問を抱きながらも俺達は木を切りそれをゴブリン達が加工し組み立てていく…
「「………」」
木を切り始めてから5時間位だろう
昼飯もそこそこに食べずっと木を切っていました
没頭していたので最初気付かなかったが
いつの間にか家、出来てました
ハイ、驚きましたよ
いつの間にか出来てんだもん
家が出来た後も気付かず木を切ってたせいで大量に木、余ってるし
それ使ってゴブリン達家具作ってるし
…俺と日向は顔を見合わせ同時に
「「ハァ…」」
ため息を吐いた
「にしても、これどうやって作ったんだよ…」
「ホントに…もっとちゃんとした道具いるだろ…普通…」
ゴブリン達はやりきった様子だが俺達は疑問しか浮かばない
別に品質に文句があるとかじゃない
ただ、今用意できる道具で作れる品質じゃないと思っただけだ
ゴブリン達は途中でナイフを作ったようだがそれでもおかしい
コイツらにちゃんとした道具を与えたら…
何となくやばい物が出来上がりそうだと感じた
ちなみにゴブリン達が作り上げた物を解説すると
恐らく縦2.5m横4mのテーブル1つ
縦横1mのテーブル4つ
俺達とゴブリン達にピッタリの大きさのイス8つ
何か妙にオシャレなタンス、引き出しが小さいのが4つ大きいのが6つの物だ
次は恐らくだがベット台みたいな物だろう
大きさはダブルと言った所だろうか?
そんな物が4つある
コイツら布団無いのにこれ、作ったのか…と思ったのだが…
これだけでも充分寝れそうという事実
ハッキリ言おう
やり過ぎだ!!!
多分、日向も同じ事を思っている気がした
「…ハァ、家の中見ていくか」
「おう…」
俺達は家の中を見ていく事にした
今日からしばらくここで暮らすのだ
問題が無いかどうか見て回る趣旨もある
今までのゴブリン達の様子を見てると心配は要らなそうだが…
一応念の為だ
ちなみにどんな間取りにするかは昨日、ゴブリン達に伝えてあった
俺達がゴブリン達に伝えた間取りは
全員分の個人部屋、俺達四人が入っても大丈夫な大部屋、この2つだけだ
ゴブリン達に個人部屋を与えるかどうかは悩んだが
役に立ってくれてるし良いだろうと日向と話したのだ
という訳で見て回ろう
…部屋数多くね?
要望通りだと5部屋の筈なのに…9部屋ある…
4つのドアが対になってて奥に1つドアがある
外から見た時は何かデカイなとは思ったけど…
まさかコイツら…
俺達はゴブリン達を見てみると
ドヤ顔(何となくそう思った)でこちらを見ているゴブリン達がいた
…やりやがったアイツら
…ハァ、まぁ、いい
部屋が多くあっても困ることは別に無いしな
物置にでもしたらいい
そう思っていたのだが…
「「………」」
此処…作業部屋…?
俺達が最初に入ったのは右側の玄関近くの部屋は工具等が置いてあり明らかに作業部屋だった
てか、まだ家具作ってたのか…
俺は先程のゴブリン達の様子を思い出す
…ドヤ顔をしていた理由はあれだけじゃなかったって事か…
この分だと他の部屋も心配になってきたな…
取り敢えず此処はもういいだろう
他の部屋に行こう
…このドアどうやって作ったんだ…
此処は…個人部屋か
窓はガラスなどが無い為吹きさらしだが別にいいだろう
この世界は蚊の様な鬱陶しい虫が居ない様だし
ふむ…問題は…無いな、次に行こう
此処も個人部屋
此処も個人部屋だな
此処は最後の個人部屋だな
左側のドアは全部個人部屋か…
個人部屋は全部同じ構造だが別にいいだろう
問題は残りの部屋だな…
一体どんな部屋なんだか…
俺達は作業部屋の隣の部屋に入る事にした
「此処は…」
此処はどうやら食糧庫のようだ
今までに集めて貯めていた木の実等が保管されている
なるほど、確かに食糧庫はいるだろう
此処は問題無いようだ、次に行こう
次は食糧庫の隣の部屋だ
「物置っぽいな…」
此処は物置の様だ
昨日、ゴブリン達が作った道具などが置いてある
結構考えてんだな、アイツら
俺はゴブリン達を少し見直した
此処も問題は無い、次だ
次の部屋は何だろう、そう思いながら次の部屋に向かった
物置の隣の部屋に入ったのだが…
「…?分かんねぇな…」
此処は…何だろうか?
ぱっと見何も置いてないが…物置だろうか?
まぁ、いい
問題は無い様だし、此処も物置でいいか
さて、最後は奥の部屋だけか
恐らく要望の大部屋だろう
大部屋用の家具も作ってたぽいし
見に行こうか
「ようやく最後だな」
「あぁ…驚きまくって疲れた…」
「俺もだ…」
俺達は二人とも疲れた様子を見せる
これが終わったら即寝たいとこだが…
まだ夕方にもなってない、生活リズムを崩す訳にはいかないだろう
話してる間に奥のドアに着いた
いよいよ最後だ…
どんな部屋なんだか…
そう思いながら俺はドアを開けた
「…普通だ」
「…普通だな」
大部屋は普通だった
…まぁ、そりゃそうか
俺達は謎の納得をしながら一旦家から出た
「家具を入れるか」
「そうだな」
家具入れはすぐ終わりそうだな…
「終わったー」
「ふぅ、少し休憩するか」
「りょうかーい」
家具入れは予想通りすぐ終わった
今からどうしようか…
そこで俺は魔法の練習をしているソーサラーを見てふと思った
この世界って魔法に詠唱って要らないのかな?
ソーサラーはいつも何も言わず魔法を発動している
ラノベとかだと無詠唱ってかなり高等技術だけど…
そこら辺はどうなんだろ…?
てか、俺も魔法を使ってみたいな…
そう思った俺は少しソーサラーの魔法を発動する時の様子を見ながら自分も真似する事にした
「やっぱ出来ねぇか…」
あれから少しソーサラーの真似をして魔法を使おうとしてみたが…使えなかった
ソーサラーは水魔法の練習をしている様だったので
それっぽい詠唱をしてみたりもしたが出来なかった
その時に日向に俺の詠唱を結構笑われた、ちくしょう
…ただ自分の身体の中で…ドロっとした物が動く感触があった
今思うとそれはもしかしたら…魔力なんだろうか?
俺は何となくそう思いその魔力の様な物を動かそうとしてみた
「…………………」
おっ、今ちょっと動いた
魔力を動かそうとしてから2時間経った
今は確信を持って言えるが魔力の様な物、あれは魔力だな
動かそうとしてる内に何となく分かった
今では結構普通に認識できる
魔力もちょっとならたまに動かせる様になってきた
この分ならもしかしたら…
ちなみに俺が魔法を使う為に頑張っている時、日向が何をしていたかと言うと
筋トレだ、あれからずっと筋トレしてるとは…
本物は違うと思った
それはさておき、もうちょっと頑張ってみるか
「……………」
うん、中々だ
あれから3時間計5時間
魔力もすいすい動かせる様になってきた
今では片手間で出来る程だ
これなら…魔法も使えるかも?
そして俺は魔法をもう一度試してみる事にした
「うーん…」
出来ない、やっぱり詠唱とかがいるのだろうか?
…そういえばラノベとかの魔法ってイメージが大事とか何とか言ってた気が…
やってみよう
魔力を水に変える…イメージ…
魔力を集めて…水に…変える…
「………………………………………………」
バシャッ!
「出来た!!」
「え?」
日向が何も分かってない様子でこちらを見ている
てか、日向まだ筋トレやってたのか?怖っ
「ミツ、何が出来たんだ?」
「魔法だよ!」
「おぉ!!すげぇな!」
日向はとても感心している様子で俺を見ているが…
俺が魔法の練習を始めたのは7時間前
それと同じ時間筋トレしてたコイツの方がすげぇよ
そういや、ゴブリン達は何をしてたんだろう
そう思い俺はゴブリン達の方を見てみると
ソーサラーは魔法の練習だ
魔法の威力が高まっている気がする
ゴブリンは…?
「……………」
筋トレしてやがるしかも笑いながら…
まさかアイツ…日向と同じになったのか…?
そういえば朝も少し喜んでた様な…
…そうか…そっち側に行ってしまったか…ゴブリンよ
何だか少し寂しかった
もう夜だ、だいぶ時間が経ったな
夕飯を食べよう
今日出来た家の中で食べよう
俺達は家の中に入り夕飯を食べる事にした
大部屋に入り席に着く
皿などは無いがどうせ木の実だ
別に無くてもいい
…何かゴブリン達が目を光らせたような…
…皿も近い内に出来るのかも知れない…
夕飯を食べ日向と明日から何をするか相談する事にした
「なぁ、日向」
「ん?どうした、ミツ」
「明日から何するよ?」
「うーん……動物探し?」
「でも、多分居なくないか?」
「そうだよなー…うーん…」
「ふーむ…」
明日、何するかの答えが出ない…
「………あっ!そうだ」
「ん?」
日向が何か思いついた様だ
「俺達が行った事無いとこ行ってみないか?」
「なるほど…」
此処の森は何処まで続いているのかとか俺達は知らないしな…
そういうのを調べるのもいいだろう
「そう…だな、明日は探索範囲を広げよう」
「おう、まぁあいつに見つからない様にだな…」
「そうだな…」
あの声の正体にはまだ勝てる気が何となくしない
遭遇しないようにしなければ…
「まぁ、明日の予定も決まった事だし…
筋トレして寝ようぜ」
「お、おう」
地獄の始まりだ
「終わったぁ」
今日は少し楽に感じてきたな
少しは強くなっているのだろうか?
あまり実感は沸かないが…いいだろう
「さて、寝るか」
「そうだな」
ちなみに俺達に部屋割りは
玄関一番近くは俺の部屋
隣が日向、その隣がゴブリンでゴブリンの部屋の隣がソーサラーだ
俺達は自分の部屋に入り寝る事にした
明日は探索範囲を広げるのか…
あいつに見つからなければいいんだが…
…今、心配してもどうにかなる事じゃない
もう寝よう
そう思い俺は意識を手放した…
ゴブリン達をここまでにする気は無かった…