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1話:親友と探索

「…っ、こ、ここは…」

ここは…何処だろうか…

辺りを見回してみると…何処かの山奥の様だ…

「ギャーーーーーーーーー!!!!!!!!」

「っ?!」

これは…日向の声だ!

声は、少し遠くからから聞こえてきた

俺は急いで日向の声がした方に向かった

こんな何処かも分からない山奥で親友の悲鳴…

何があったのかとても不安だ…

裸足の為、折れた木の枝や小石が足に刺さったりして痛いがそんなのは関係ない

あと少しで日向の声の発生した場所に着く…

…着いた!

そこで俺が見た光景は…




「俺のチャーーーハーーーン!!!!!!」

項垂れながら炒飯を食べれなかった事を

嘆いている親友の日向の姿だった…


「………」

正直殴りたかった


「炒飯が…消えた…炒飯…が…」


………


見なかった事にしよう

俺はその場から去ろうとした

しかし日向に見つかってしまった


「あ!日向!もう1回炒飯作ってくれ!

俺の炒飯が無くなったんだ!!」


………俺は思いっきり息を吸い


「今はそれどころじゃ無いだろうが!!!!」

俺はこの日過去最高に日向を叱った





「スマン…炒飯が急に無くなって気が動転してた…」

日向はちゃんと反省している様子だ

こんな状況でそんな理由で動転してる日向は馬鹿なのか大物なのか…

「ハァ…もういいから…それよりも現状を整理しよう」

「そうだな…」

そう言って俺と日向は真剣な顔になった



「まず、俺達が知らなければいけないのは

周囲に街か何かがあるか

次に此処が何処か

そして最後に俺達は帰れるのか

…今の所、俺が思い付くのはこんだけだ」

どうするか…3つとも言ってみたはいいがキツイ気がする…

周りに街がある確証なんて無いし

街に着けたとしても此処が何処か分かる保証も無い

そして…もしも俺達は2度と帰れないって分かったら…


それに今の俺達は部屋着で裸足だ…

こんな山奥をこんな格好で彷徨くのは危険なんじゃ…


「…行くか!」

そう言って日向は立ち上がった

「は?」

「3つとも俺らが動かなきゃ始まらない!

だったらさっさと動こうぜ!」

…日向は何も考えていないのだろうか…

死ぬかもしれないのに、絶望するかもしれないのに…

何でここまで自信があるんだろう…

……何でだろう…

日向のこの謎の自信がある顔を見てると

悩んでるのが馬鹿らしくなってくるな…

「…あぁ、行くか」

俺の本心は2つに分かれてる

死や絶望への恐怖と…日向を信じる心

俺は…日向を信じる心を…俺の心を信じたい

恐怖に打ち勝ちたい、一緒に日向と帰りたい

そんな事を思いながら俺は立つ

俺は背伸びをし日向に言う

「絶対…一緒に帰るぞ」

「おう」

俺と日向は笑いながら周囲を探索し始めた









「うーん…何もねぇな」

「そうだな…」

あれから…2時間位だろうか

その間俺は日向と周囲を探索していた

しかし、分かった事はあまり無い

「…おっ、ミツー!開けた場所があったぞー!!」

どうやら日向が森の出口の様な場所を見つけたみたいだ

僕は日向の方に向かった

「っ………」

日向は何かに驚いているようだった

俺は日向が何に驚いてるのか気になり歩く足を早めた

そして俺が日向の居る場所に着いた時…

俺は日向が何に驚いていたのかが分かった


「何だよ…これ…」

俺の目に映し出された光景は…

延々と続く地面、そしてそこには…

明らかに地球の生物では無い何かが生きていた

その姿は醜悪で俺達の世界で言う所の…ゴブリンやオーク、よく分からない物もいた…

ここで俺は俺達は、ここが…この世界は異世界だと気付いた…

「……………」

日向も絶句している様だ

無理も無い誰でも驚…

「スッゲー!」

え?

「すっげぇよな!!この風景!!

いやぁ、すげぇ眺めじゃん!!」

…何で日向は風景を満喫しているのだろうか…

普通はあの化け物達に驚くとこだろう…

「えっと、あの日向?

それよりも何か化け物がいるけど…」

「ん〜?…あ!ホントだ、何か…危なそうなのがいる」

良かった、ちゃんと危機を認識してくれた

「うーん…なぁ、日向、此処ってもしかして…異世界か?」

「…以外には考えられないな…」

「やっぱりかー…」

…俺の心が少しドキドキしてるのが分かった…

俺は異世界転移や転生系のラノベは好きだ

先程の恐怖等は一時忘れてしまっていた

そして、気が緩んでいた

だからだろうか近くまで迫って来ていたそいつに気が付けなかった



ガサッ…

「ん?何か今音が」

そう日向が言った瞬間

茂みから何かが俺に向かって飛び出して来た

「ギギギィ!!!」

そう奇怪な音を発しながら俺に近づいて来たのは

ゴブリンだった

分かっていた筈だった

ここは異世界なのだ、何が起こっても不思議じゃない

そう、化け物に襲われる事も例外では無い…

そう後悔している俺に向かって近づいて来たゴブリンの動きが変に遅く見えた

けど、動けない

何でだ!?何で動けない!?

俺は恐怖から混乱した

あと少しでゴブリンが手に持っている棍棒が俺の頭に当たる

そう認識した瞬間俺の頭に走馬灯の様なものが走った

そして思った

今、俺の側には日向がいる

俺はもう助からないだろう…

だけど…日向は…助かって欲しい



そう思った瞬間目の前のゴブリンがいきなり吹っ飛んだ

「…え?…」

ゴブリンはどうやら吹っ飛ばされた時に頭を木にぶつけて気絶したようだ

一体…誰が…

俺はゴブリンが吹っ飛んだ方向と逆を見た

「…ふ〜…良かったぁ〜…

ギリギリ助けられた…か?」

そこには手で額の汗を拭き安堵している様子の日向がいた

俺は日向がゴブリンをふっ飛ばして俺を助けたのだと日向の様子を見て分かった

日向の手にはゴブリンの物と同じ様な棍棒が握られていた

「…日向…ありがとう…」

口から自然と感謝の言葉が出てきた

「ん?良いって良いって

今度美味い炒飯作ってくれればな」

日向は何でも無い様にそう言った

ん…でも此処って炒飯の材料あるのか?と日向が小声で言っているのを俺は聞き逃さなかった

「気にするとこ…そこかよ…」

俺は自然と笑っていた

「ん〜?どうしたんだ、ミツ?」

「いや、何でも無い」

ホント日向は何だか頼りになる

「そうか…で、どうするよこれ」

日向は俺にこのゴブリンをどうするか聞きたいようだった

「そうだな…」

また襲われたくないし此処で殺したい

ただ…何故なのかは分からないけど…

俺は何故かこのゴブリンを殺したくないと思った

その理由はゴブリンが目覚めてから分かった









「グギギィ…」

「っ!」

ゴブリンが目覚めた

俺も日向も今度は油断せずゴブリンの挙動に注意していた

「グギ…」

ゴブリンが俺に向かって来た

しかしそこに先程までの恐怖は感じなかった

…?どうしたんだこのゴブリンは…

急に俺に向かって…懐く様な感じを見せ始めた

「どういう事だ…?これ…」

【種族名:ゴブリンとの従魔契約を結びますか?】

        【YES・NO】

唐突に変な声が聞こえた

頭の中に直接響く様な変な声が…

そして目の前に変な表示が浮き出た

「お、おい。どうしたミツ?」

日向には聞こえても見えてもいないのだろうか?

心配した様子でそう聞いてくる

俺は日向に変な声の事そして謎の表示の事を伝えた



「ふーむ…それでどうすんだ?」

「え?…」

どちらを選ぶかということだろうか…

…いや、それ以外有り得ないか…

俺は…先程の感覚を思い出した

このゴブリンを殺したくないという気持ちを…

その気持ちは今もある…

日向は嫌かもしれないが…俺はYESを選ぶことにしよう


それを聞いた日向は

「そうか…頑張れよ!」

そう言って日向は俺の背中をバンッと叩いた

嫌がる様子を見せなかった事が有難かった

そして、俺はYESを凝視した

何となくこれで合ってると思った

【種族名:ゴブリンと従魔契約を結びました】


───────────────────────

個体名:無し

種族名:ゴブリン

魔法:無し

能力:悪食Lv3・怪力Lv1

種族固有能力:・繁殖

状態:従魔

───────────────────────

これは…ゴブリンのステータス…?

何だか…酷いの多いな…

「ミツ、出来たか?」

「うん、出来たよ…」

「おぉ!すげぇ!!」

そう言って日向は俺を褒めた


「…で?何か変わったか?」

やはり日向も気になるようだ

「あぁ…ステータス?っぽいのが出てきたよ」

「へぇ〜」

…日向にはこのステータスも見えてないのか…

俺は日向にゴブリンのステータスを伝えた

「酷いの多いな」

そう言う日向の顔は苦笑いだった


「…なぁミツ」

日向が俺を呼んだ

「ゴブリンにもステータスがあるならさ…

俺達にもあるんじゃないか?」

…確かにそうだ、でも

「どうやって確認するんだ?」

「さぁ…?」

日向は首を傾げた



「あ…」

もう夕方だ、日が沈む

「ん?どうしたミツ?」

「いや、もう夕方だなって…」

「え?、あ!ホントだ!」

そしてそこで俺は思い出した

「なぁ日向…」

「ん?どしたミツ」

「…俺ら…何処で寝んの…?」

「あ…」

寝床が無い事に…

(グゥ〜〜)

腹も空いている事に…






「ふぅ…良かった、何とか用意できたな…」

結論から言うと食料は何とか用意できた

寝床は日向が食料は俺とゴブリンが

火なんて物は無い為、生でも食える物しか無い

そこら辺の木の実をゴブリンに毒味させ大丈夫かどうか確認した

ゴブリンには悪食という能力があるらしい為、鵜呑みには出来ないが参考にはなるだろう


俺と日向そしてゴブリン3人だったら十分な量が集まった

そして俺とゴブリンはあの開けた場所に戻る事にした


俺とゴブリンは開けた場所に戻って来た

日向はどんな感じの寝床を用意しただろうか

不安と期待が入り混じる中俺が見た物は…


「おっ、ミツおかえりー」

やり遂げた感じの日向と、謎の葉っぱ小屋があった

「どうだ、見掛けは悪いけど雨風ぐらいなら凌げそうだろ!」

「確かに…それに中も中々広そうだし…葉っぱでクッションも敷いてる…」

これなら足もこれ以上傷めなくて済む

正直、結構やばかったのだ

流石にこんな環境でこれ以上裸足はキツイ…

てか、ホント凄いな…もうちょっと変なのになるかと思ってた…

「で、ミツ達はどうだった?」

「あぁ、3人だったら十分なぐらい集めてきたよ」

「おっ!確かにこれだけありゃ十分だな」

ただ…美味そうでも不味そうでも無さそうだな…

それは日向も同じ気持ちだったようだ

だがここはこれで満足するしか無いんだろう



そして俺達は味気の無い木の実等を食べ終わった

水は俺がゴブリンと探索中に開けた場所から案外近い所に小川があった

一応飲めそうだったのでそこで喉を潤した


ゴブリンは少し残念そうだった

理由は恐らく肉が無いからだろうが…

火を使える様になるまでは肉には手を出したくない

食中毒等でダウンしてしまったらヤバイからな…

そして俺達は葉っぱ小屋に入り寝る事にした

寝る前に少しだけ明日と今後の予定を日向と話し合った

今後は此処は異世界の為、人が居るかも分からない

だから不用意に動き回らず此処で暮らしながら帰る方法を探そうと決まった

良い案と言う訳ではないがこれ以外に俺も思い付かなかった

そして明日は食料集めと…また襲われても大丈夫な様に

身体を鍛えたりするらしい

日向がスパルタで教えてくれるらしいが…

日向のスパルタは本気でヤバイからな…

頑張ろう…

話し終わった後、俺と日向はすぐ眠った

やはり疲労が溜まっていたようだ…

…明日もこれからも日向と生き延びよう

眠る前に心の中でそう誓った

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