表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Death games  作者: タキン
序章 変わり果てた日常
4/17

3

耳元を通り抜けた銃弾は、背後の木に着弾した。


おそらく警告の1発なのだろう、わざと頭の横を通したとしか思えない。

だが、その1発だけで僕の勇気は針を刺した風船のようにしぼんでいった。


体が硬直し、たったの1歩も踏み出せない。

背中に冷たい汗が流れる感覚がはっきりとわかる。

今の1発で居場所はわかった、移動もしていない。

だから、今ならまだどうにかできる。

だが、どうしても体が動かない。

僕はこの時初めて死を覚悟した。





ーーーーーー

ーーーー

ーー




こたつの中に隠れていたりせは、発砲音を聞いて本能的な危険を感じた。


「なに…?今の音……」


こたつから這い出て、玄関に向かう。そして近くの小窓から外を伺うと、彰人さんが立ったまま小刻みに震えていた。


りせはこの時初めて銃声を聞いたので、何が起こったかは判断できないが、りせにもわかることはあった。


「彰人さん……怖がってるのかな………?」


銃声がしたにも関わらず、1歩もその場から動かない。

それなのに、手に持った銃は離していない。

つまり、


「さっき急に現れた男の人が音の原因……?」


さっき現れた人が銃を持っていたとすると、それを危険に感じた彰人さんが私を家に入れるように声をかけたことと辻褄があう。


つまり、今彰人さんはピンチなのだ。


りせはそう捉え、近くにあった柱時計を勢いよく倒した。





ーーーーーー

ーーーー

ーー



死を覚悟し、手から銃が落ちそうになったその時。


家の中から何かが倒れる大きな音(・・・・・・・・・・)がした。

何が倒れたのかわからない。

しかし、その音が僕の張り続けていた緊張の糸を一瞬緩ませた。

音に反応したのはこいつも同じようで、家に向けて発砲し初めた。

おそらく音の原因はりせちゃんだろう。


どこにいるのかわからないが、今は無事でいることを祈るしかない。

あいつの意識は今、家の中に集中している。

つまり、今しかチャンスがないということだ。


りせちゃんのおかげで死への恐怖がわずかに薄まった。

体は震えているが、まだどうにか落ち着いて狙える程の震えだ。


M70を構え、堂々と銃を撃ち続けている奴の頭に照準をあわせる。

再度改めて深呼吸を数回おこない、トリガーに指をかける。


「はぁー……」


大きく息を吐き出し呼吸を止め、僕はトリガーを引いた。


発射された銃弾は照準通りに真っ直ぐ進み、およそ30M先で銃を撃ち続けていた人のような機械のこめかみ部分(・・・・・・)を撃ち抜いた。


発砲音が止み、今までの銃声が嘘のような静けさに戻る。

おそるおそる近づき、銃口で体をつついてみる。

反応が無い。

死体を仰向けにして、銃を回収する。

僕はおじいちゃんが持っている銃のことしか知らないので、名前などはまったくわからないが、ウィンチェスターのような単発の銃でないことはわかった。




死体から離れ、りせちゃんの安否を確認するために家に入る。


「りせちゃん……?」


大声で呼び掛けてみるが、返事がない。

まさかと思い、あわてて玄関近くの書斎に入る。




そこには肩から血を流し、小刻みに震えているりせちゃんがいた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ