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Death games  作者: タキン
序章 変わり果てた日常
3/17

2

塗り立てのコンクリートのような灰色のボディーに、カメラのレンズのような紫色の眼、そして手に持った銃。


誰が見ても普通の状態ではなかった。


「りせちゃん、家の中に入って隠れてて」


「知り合い…?」


「ううん、知らない人」


りせちゃんを一旦家の中に隠す。もしこいつが銃を撃ってきた時に被弾でもしたら大問題だからだ。


「………………………………………」


「………………………………………」


20M程の距離でにらみ合う。

おそらくここで後ろを向いた時、こいつは撃ってくるかもしれない。

推測に過ぎないが、もしもそうなれば成す術はない。



視線を切らないように1歩ずつ後退りを始める。

どうにかしてじいちゃんの部屋に行くことができれば僕の勝ちだ。

しかし、こいつが何をしでかすかわからない為、安易に家の中に入れない。

こいつはまだ最初の立ち位置から1歩も動いていない。

どのくらいの身体能力があるかわからないが、普通の人間位であることを願う。




じいちゃんの部屋は玄関から左にある通路の突き当たり。

走ればおよそ6秒程だろう。


「一か八か……」


覚悟を決め、玄関目掛けて一気に走る。

石造りの玄関なので普通なら躊躇する所なのだが、痛みを我慢し、スライディング。


撃ってこない。


杞憂だったのかも知れないが、今はそれよりも先に部屋へ向かうことを優先する。









襖を開き、衣装棚へ飛び付く。

幼い頃に見せて貰ったじいちゃんのコレクション。

下から2番目の引き出しを引っ張ると出てくるそれは、生前のじいちゃんに長年連れ添った愛銃(・・)


『ウィンチェスター M70』。


重量は4,3kg、装弾数4発にボルトアクションと、じいちゃんが愛してやまない銃だ。


1番上の段の引き出しの奥に弾のケースがある。

初めて見たときは絶対に触るなと言って怒られた、懐かしい物だ。

だけどごめんよじいちゃん、じいちゃんは必死に隠してたけど、僕は1回片付ける所を見てたんだ。




厳重なケースの中には50発程の弾が残ってあった。

その全てをポケットに詰め込み、4発だけ弾を込めて、玄関に向かう。






玄関ではりせちゃんが扉を開けて外を見ていた。


「ねえ、あの人どこに行ったの?」


「え?」


「いなくなってるよ?」


まさかとは思ったが、りせちゃんの言うとおりでどこにもあいつはいなかった。

勝手にいなくなったならいいのだが、銃を持っていたので、急に襲われる危険性がある為、排除できるまで安心することができない。


この家に2階はないので、高所から見渡すことはできない。


「りせちゃん、台所にある、こたつの中に入って隠れてて」


「こたつ?」


「うん、ここはちょっと危ないから」


「?、わかった……」


何が起きているのかまだ理解していないのだろう。

怖がる様子もなく、素直に言うことを聞いてくれる。





家の全ての出入口に鍵をかけ、玄関から堂々と外に出る。

家の中の方が安全だが、引火するのが怖いため、外で戦うことにした。


家の周りは木が多いため、非常に隠れやすく、また、探しにくい。


また、この銃はボルトアクションなので、1発撃つ度に、手動で薬莢を出さなければならない。

つまり、最初の1発だけが勝負なのだ。


セーフティを外し、深呼吸をする。













その瞬間、耳元を1発の銃弾が通り抜けた。


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