表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編

メフィストルデのバレンタインデー

作者: 神通百力

 惑星――メフィストルデは数年前から地球の恒例行事とも言えるバレンタインデーを取り入れていた。数年前にネノーゼ長老が地球へ訪れた際にバレンタインデーという行事に感銘を受け、惑星に持ち込んだのである。

 ただ残念なことにメフィストルデにはチョコレートがない。仕方なくチョコレートの代わりに名産品のサヴァルテトロンを使用している。サヴァルテトロンはぶよぶよとしており、弾力がある。齧ると口の中に甘味が広がる。ネノーゼ長老曰くチョコレートとは似ても似つかない食感だが、甘味という点では同じとのことだ。

 バレンタインデーはメスがオスにチョコレートを渡す行事のようだが、メフィストルデにはメスしかいない。地球には単為生殖たんいせいしょくという言葉があるらしく、メスだけで子を産むことを指すようだ。私たちはまさにそれに分類される。

 それゆえにメフィストルデのバレンタインデーはメスがメスにサヴァルテトロンを渡すことを指すのだ。地球でいうところの友チョコというものになるのかもしれない。ここでは友サヴァになるのだろうか?

 私は今、マーケトルデ――地球で言うところの市場――でサヴァルテトロンを選んでいるところだ。渡すのなら、良いものを選びたい。一際大きいものを選んで購入した。

 私はそのままネノーゼ長老の家に向かった。バレンタインデーという行事を持ち込んでくれたお礼をするためだ。

 家が見えてきた時、ネノーゼ長老が出てくるのが見えた。

「ラールじゃないか。ちょうど良かった」

 ネノーゼ長老は駆け寄ってくると、サヴァルテトロンをくれた。

「ありがとうございます! 私も用意してきたので、受け取ってください。バレンタインデーを持ち込んでくれたお礼です」

「ありがとう。うちで一緒に食べようか」

「はい」

 私はネノーゼ長老の後をついていき、家に入った。

 それから仲良くサヴァルテトロンを食べた。

感想頂けると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 微笑ましいですね。 争い事のない、優しい惑星を想像しました。 バレンタインの風習が、時空を越えて、宇宙にまで広がっていく……。 愛や感謝といったプラスの感情のイベントですから、是非本当に…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ