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神界都市アレンテス(7)

「ここ……です」


 なんとか剣蟷螂を倒し、ドロップアイテム『剣蟷螂の前脚』と『魔石 (小)』を手に入れた俺達は、いよいよ隠された秘宝を手に入れるべく目的の場所に来ていたのだが


「壁……なんだが?」


「壁ね……」


「ルゥ。本当にここか?」


「まちがいない……です」


 何か仕掛けがあるのか? それとも裏の部屋って可能性も? だが回り込んでる時間はないし、今までとは違うランクのモンスターも居たことからここで間違いなさそうだが。


 壁を入念に調べてみると何かをめる窪みらしきものがある。


「ここに何か填めればいいのか?」


「でも鉱石ぐらいしか無いわよ?」


「いや、流れからいってさっきの魔石だろう」


 先程入手した魔石を取り出し、窪みに填めると


 ゴゴゴゴッ・・・・・・


 一部の壁が崩れて部屋が現れる。


「開いたな……」


「やったわね!」


「やった……ですっ」


「早く行きましょう!」


 パーナが我先にと走り出す。


「おい! 罠とかあるかも……」


「ちょっと! 凄いわよ! マサヤもルゥちゃんも早く来て!」


 どうやら罠とかは無いらしい。 魔石を回収して、俺もルゥを連れて部屋へと進む。


 そこには煌びやかに宝石をあしらわれた宝箱が鎮座していた。壁にはいくつもの鉱石が光っている。


「これは凄そうだな。しかもこの鉱石の数、さながらボーナスステージか……」


 ルゥは宝物が好きなのか耳と尻尾を忙しなく動かし、キラキラした目で宝箱を凝視している。


「ねぇ! 早く開けましょう!?」


「待て、これを見つけられたのもルゥのお陰だ。これはルゥが手に入れるべきだろう。俺達は鉱石を集めれば10P集まる」


「いいの……です?」


 ルゥはそういって遠慮がちにこちらを見上げてくる。


「ああ。遠慮するな」


 俺は笑って頷いてやる。


 ルゥは宝箱に手をかけ、中を開け中に入っている物を取り出す。


「きれい……です」


 中には直径10センチ程の淡い光を放つ、赤い球体が入っていた。


「これが隠された秘宝か……」


 なにか凄い効果がありそうだ。


「時間が無い、パーナ。 早く鉱石を集めよう」


 残り時間は5分を切っている。 俺は既に12Pだが、パーナはまだ6Pだ。 パーティで20Pを確保していればいいのか解らない今、二人とも10Pにしておいた方がいいだろう。


 鉱石を集め終えると同時にウインドが開き、終了までのカウントダウンが始まる。


「なんとか間に合ったな……」


「マサヤ! あなたのお陰で私も突破できたわ! 本当にありがとう!」


「まー様。ありがとうございますです!」


「俺も二人が居なければ危なかっただろう。こっちこそありがとう」


 カウントがゼロになり、俺達は光に包まれる。


 目を開けると、最初に目覚めた場所に戻ってきていた。


 その場にいたのは俺達を含めて12人。6人で固まっている男4女2のグループと銀髪の青年と執事風の老人、耳の長い眼鏡をかけた利発そうな青年。あの人はエルフというやつだろうか?


『まずは試練突破おめでとう、諸君。惜しくも失敗した物達は既に出発している。君達には報酬と質問の権利を与えよう。順に奥に進みたまえ』


 声が聞こえ、奥から扉が開く音がする。


 まずは銀髪の青年と老紳士が進んでいく。神に聞けることは1つだけだが、知りたいことはたくさんある。俺は情報を集める為に6人組のところに向かう。


「あの! 少し話を聞かせてもらいたいんだがいいか? 俺は田所正弥ってもんだ。こっちはパーナとルゥ」


 二人がペコリと頭を下げる。


 すると一人のガタイのいい男が前に出る。こいつがリーダーか。


「俺はキャバルだ。良くそんな軽装でクリアできたな……。それで? 何が聞きたいんだ?」


「まずはそうだな……。キャバル達はみんな同じとこから来たのか?」


「あぁ。俺達はみんなバルス大陸で冒険者をしていた。クエストの途中でモンスターの大群に襲われてな。気付いたらここで目が覚めたんだ。お前は違うのか?」


 どうやら、ここに居るのは俺以外みんなバルス大陸というとこから来ているらしい。


「俺は地球の日本という国から来たんだ。聞いたこと無いか?」


 キャバルは首を横に振り、後ろの5人を見やるが、皆一様に首を振る。


「悪いが聞いたことは無いな」


「そうか……。レベルやスキルは? 以前と変わっていたか?」


「レベルは皆1になっていた……。スキルも消えたものと残っているものがある。悪いがこの先どうなるか解らん。内容は明かせない。」


『次の者、先へ進め』


「いや、こちらこそすまない。色々ありがとう。外がどうなっているかは解らないが機会があったら飯でも奢らせてくれ」


「あぁ。楽しみにしていよう。俺達は6人だ。先に行ってくれ」


 俺はエルフらしき男を見るが動こうとしない。なら俺達が先に行くか。


 扉の先は神殿のような場所だった。奥の台座らしき場所に一人の幼女が腰掛け、その隣に天使の輪っかを頭の上につけた女性が立っている。


「我が神だ。よくぞ試練を突破した。これが報酬だ」


 この子は何を言っているのだろうか? 神? この子が? 電波系というやつか?


「むっ。なんじゃその顔は!? 妾が神であることに何か不満があるのか!?」


「神様。口調」


 いきなり不機嫌そうにまくし立てる幼女を横の女性が窘める。


 どうやら本当に神様らしい。


 神様は咳払いをし、精一杯威厳を持たせた声で問う。


「それで?質問は?」


 ここはあまり機嫌を損ねない方がいいだろう。俺はかしこまり、決めていた質問を投げかける。


「はい。先程は失礼を致しました。私は日本から来た、田所正弥と申します。質問は私の他に二人、田所花苗と六式里美というものがこちらに来ているかを知りたくあります」


 神様は驚愕に目を見開き、俺を見ている。


「どうかいたしましたか?」


「い、いや。なんでもない。少し待て」


 そういって目を瞑る。


「ああ。来ている、来ているぞ! そうか……三人も……」


 来ている! 今来ていると言ったか!?


「どこにいるか教えてはもらえませんか!?」


「質問は一つだけじゃ。じゃが良かろう特別にヒントじゃ。妾の世界には4つ都市がある。そこのどこかに居よう」


「神様。口調!」


 再度窘められる神様を尻目に、俺は考えを巡らせていた。


 この世界には都市が4つ。ってことは俺達みたいに集められた人たちが他の都市にも居るってことか。なら花苗も里美もどこか他の都市で同じような説明を受けてるのか。これはいち早く合流した方が良さそうだな……。


「次の者!」


「私はルゥという……です。神様、ルゥのお母さんとお父さんはぶじですか?」


 神様は再び目を瞑ると


「ああ。無事だ」


 ルゥは少し安心した顔と切なそうな表情を浮かべる。


 ルゥはまだ子供だ。だが何かの事情で親元を離れてしまったのだろう。


「次は私ね! 私はルインダルト・パーナシア・アイリアット・マルティス・ゲイラゲン三世よ!質問は貴方に問える質問を増やしてにするわ!」


 ・・・・・・。


 パー子。お前は本当にパー子だな……。それは質問じゃ無くてお願いだろう? しかも願いだとしても絶対に通らないやつ。


 パーナはどや顔で俺のことを見ている。


「それが質問で良いのか?」


「ええ! いいわ!」


「その質問の答えは『いいえ』だ。以上、先へ進むがよい」


「ちょっと! なんでよ! 何で駄目なの!?……離してよ! マサヤ!」


 俺は騒ぐパーナを引っ張り、外へ続く扉を開ける。 パー子さん本当に勘弁してください。

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