光の騎士
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うす暗かった空がだんだんと茜色に染まり、ビルの谷間から輝く太陽が登り始める。
アレックス・アークナイトは、アークシティ西地区にあるイーストサイド警察署の2階の窓からその光景を眺めていた。
昨夜、いつものように街のパトロールをおこなっていたアレックスは銀行に侵入しようとしている怪しげな一団とでくわした。
その連中・・・ありていにいえば単なる銀行強盗だったのだが、こいつらはアレックスに見つかったことに驚き混乱し、彼から逃げようと銃を乱射しながら街中を逃げ回る、などといった暴挙にでた。
見過ごすわけにもいかず強盗団を追跡したアレックスだったが、彼等が激しく抵抗したために街のあちこちを破壊してしまい、強盗団を拘束したところにやってきた警察に諸共に連行されてしまった。
いつものようにサンダーランド警部に怒鳴りつけられ、ネチネチと嫌味を言われるかと思ったのだが、なにやら事件があったらしく彼は不在だった。そうして事情聴取やらなんやらで一晩を警察署で過ごしてしまったのだ。
「あれ、アレックスさんまだいたんですか?もう帰ってもいいですよー」
マグカップを片手に、刑事課に入ってきた犬頭の刑事がのんきそうにアレックスに声をかけてきた。
「いや、僕はここで呼びにくるまで待ってろって言われたんだが」
「ああ、あれッスか。あれは部長が光の騎士殿は反省してないよーだから、しばらく部屋の隅に立たせてろって。もう、朝だし帰ってくれてもいいですよ」
そんな理由で5時間も待たされていたのか。アレックスは思わずため息をついてしまった。
「やれやれ、ガイギャックス部長をそんなに怒らせていたとは思わなかったな」
「なに言ってるッスか」
そう言って犬頭の刑事は、泥のように不味いと有名なイーストサイド署名物のコーヒーをすする。
「部長に会うなり、壊したものの弁償は僕のポケットマネーでやっておくから気になさらないで、なーんて言うからですよ」
「それが問題なのかい?」
「大アリッスよ。弁償すれば、なに壊そうが構わないだろって言ってるように聞こえますよ」
「いや、僕はそんなつもりは・・・」
「そりゃあ、アレックスさんのことは署のみんなはよく知ってるから、そうは思いませんよ」
「けどね、知らない人が聞いたらそう取られかねないってことッス。特に悪意あるブン屋さんとかがね」
なるほど、言われてみればその通りだ。昔から、なにげない一言で相手を不快にさせてしまうのがアレックスの悪い癖だった。妹のサラも顔を合わせるたびに、兄さんは場の空気が読めないんだからよく考えてものを言わなきゃだめよ、と言っていた。
「・・・気をつけるよ。じゃあ僕はこれで」
「ういッス。お疲れさんッス」
挨拶を交わし、部屋をでようとするとなにかを思い出したのか、犬頭の刑事がふりむいた。
「あ、そうだ。今サンダーランド警部が戻ってきたんッスけど、見ても声かけない方がいいッスよ」
「なんでだい?」
「機嫌が最悪なんッスよ。昨夜あった殺しが相当面倒なヤマみたいッス」
「殺し?誰が殺されたんだい」
「えっと、特定の能力者を狙ったヤツみたいで昨夜だけでも3件・・・おっと」
奥の部屋の窓から、いつの間にやらガイギャックス部長刑事がジロリと自分に視線を向けているのに気づき犬頭の刑事はあわてて口を閉じた。
「ともかく、首を突っ込むのはなし。大人しく帰って寝てくださいよー」
そう言ってすごすごと退散していく犬頭の刑事を見送ってから、アレックスは刑事部屋を後にした。
階段を降り、警察署の玄関口に来ると、割れた電灯の破片をぶつぶつ文句を言いながら片づけている巡査を見た。
どうやら、話に聞いた通りサンダーランド警部の機嫌は最悪らしい。
「殺し、か・・・調べてみるか」
そう呟きつつ屋上の扉をくぐって表へとでた光の騎士は、ふわりと宙に浮遊すると自宅のあるアークタワーを目指して飛び去っていった。




