第7話「全国をつなぐ、橘の提案」
全国のギフト局でスタンプを集める新企画。そのアイデアは、一社員・橘の発案から始まった。
翌日、取材クルーが訪れ、企画は世間に向けて動き出す。
小さな思いが、全国の人々をつなぐ大きな一歩になる――。
橘は少し緊張しながら会議室に入り、資料をデスクに置いた。
今日は、全国のスタンプラリーをアプリで展開する初打ち合わせだ。
「それじゃ、アプリの説明を澤田くんからお願いしよう」
課長の言葉に澤田は、にっこり笑いながら立ち上がった。
落ち着いた声が会議室に響く。
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「今回のアプリは、2種類の遊び方をご用意しています」
タブレットを操作すると、スクリーンに地図が映った。
「まず1つ目は、実際にギフト局へ行ってスタンプを集める『GIFTスタンプラリー』です。
押したスタンプは、そのままアプリの台帳へ記録されます。
現在、全国の局に2,500種類のスタンプが配置されており、こちらはアプリでもすぐに遊べます。
なお、残り21,500局分のアプリスタンプは順次追加予定です」
ギフトマークが光るアニメーションが映る。
橘は感嘆の声を漏らした。
「そうだよね……
2,500でも相当大変なのに、こんな短期間で本当にありがとう!」
澤田は少し照れながら答えた。
「クリエイティブ課の人たちの引き継ぎデータのおかげかも。2,500局分は、俺を中心にチームでアプリ版に作り上げたんだ。
残りも、1局追加するごとにアプリとGIFTで“◯局追加しました” って報告するよ」
「それいいですね!
近くの人は行けるし、行けなくても日に日に増えて澤田さんたちの頑張りも伝わるはず」
画面がスライドする。
「2つ目は、自宅からでも楽しめる
『GIFT旅ゲーム』です。
ボードゲーム感覚で日本全国を巡り、バーチャルでスタンプを集められます。
入院中や外出が難しい方、遠方の方も参加できるようにしました」
課長が満足げに頷く。
「なるほど、出不精の人や病気の方でも楽しめるわけだね」
澤田は、さらに続ける。
「どちらも基本無料。
広告収入と任意課金で便利な機能を追加できますが、無課金でも十分楽しめる仕様です」
橘は胸の奥で熱を感じた。
――私の提案した企画が、ここまで具体的に形になって…。
澤田への感謝が体中に溢れていた。
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会議が終わり橘が席を外した後、会議室は少しだけ落ち着いた空気になった。
「樋口さん、はじめまして。澤田 幸人です」
「澤田くんね。よろしく」
澤田は笑顔で続ける。
「橘が言ってたんです。
『樋口先輩ってめちゃくちゃ謙虚で憧れる』って。
しかも、GIFT の提案者が樋口さんだなんて。
今では欠かせないツールですよ。本当に凄いです」
樋口は柔らかく、少し照れた表情になった。
「橘ちゃん、自分のことは謙虚なくせに、周りをすごく褒めてくれるの」
「それ、樋口さんもですよ(笑)」
軽く笑い合う。
樋口は、そっと視線を落として言った。
「ありがとう。橘ちゃん……ほんと、頑張り屋さんなの」
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翌日、本社・ギフト局にはテレビ番組の取材クルーが入っていた。
広報担当がカメラに向かって話す。
「弊社の社員が企画したスタンプラリー企画が、本日からスタートします。
全国のギフト局でスタンプを集められる企画です。
2,500局のスタンプラリーは、実際に足を運んでスタンプを押すのと同時に、アプリでもお楽しみいただけます。
残り21,500局分については順次アプリにて追加予定ですので、ご期待ください。
また、24,000局分のシールは、誰でもネットで購入可能です。是非お楽しみください」
取材を聞いていた記者の一人が感心してつぶやく。
「アプリもあるんですね。素敵な企画。どんなアプリなんですか?」
広報担当は、にこやかに答えた。
「はい、アプリは2種類ございます。
1つ目は実際にギフト局へ行ってスタンプを集める『GIFTスタンプラリー』、
2つ目は自宅からでも楽しめる『GIFT旅ゲーム』です。
位置情報を活用しておりますので、営業時間外でもお楽しみいただけます。
多くの方々に楽しんでいただければ幸いです」
「あと、この台帳も可愛いですね」
「ありがとうございます。
こちらはネットでも、2,500局のギフト局どちらでも購入できる商品となっております。
サイズが2種類、デザインは7種類ありますので、自分好みのものを選んでもらえればと思います」
橘は少し微笑みながら、台帳をそっと手に取った。
――私の提案が、こうして形になっていくんだ。
全国のどこかで誰かがスタンプを押して、楽しんでくれるんだと思うと、胸が熱くなった。
貴重な時間を割いて読んでいただき、ありがとうございました!




