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第4話「色とりどりのスタート」

会議で承認された瞬間、胸の奥に小さな熱が広がる。

だが、スタンプラリー企画は まだ始まったばかり──。

橘は次にやるべきことを思い描き、デスクに向かう。

橘は会議の興奮がまだ胸に残るまま、自分のデスクに戻った。

スタンプラリー企画が正式に承認され、準備に取り掛かれる──という期待と、次にやるべきことへの少しの緊張が入り混じる。


(まずは、スタンプラリーのスタンプデザイン公募からだな)


橘はパソコンを開き、募集ページのメモを確認する。

全国のギフト局を巻き込む企画だから、誰でも参加できる工夫を盛り込みたい──。

ネット応募だけでなく、機械が苦手な人用に郵送も対応。郵送ならギフト局宛で切手不要。ちょっとした気配りだが、誰もが参加できるようにすることが大切だった。


(募集期間は……1ヶ月。

いや、もっと長い方がいいか?

せっかくなら、多くの方に参加してもらいたいし。

そうだ! 先輩に聞いてみよう)


「先輩、募集期間の設定迷ってるんですけど、1ヶ月って短いですかね……」

「いや、長いとスタンプラリー始めるの遅くなっちゃうしね。

もし足りなかったら、第二弾とかでまた募集するのもありかもよ」

「なるほど。第二弾できるって考えたら、1ヶ月でも大丈夫ですね。ありがとうございます!」

「何事もやってみないとわからないからね! 楽しみだね♪」

樋口は、橘の不安をそっと包み込むように微笑んだ。


橘は画面に向かってメモを取り、募集文章や期間をまとめる。

実際のページ制作やフォームの設定は、他部署の担当者に依頼予定だ。


そして、ついに他部署の担当者が募集を開始すると、すぐに応募が集まり始めた。

画面には、色とりどりのスタンプデザインが次々と表示される。


「わあ……可愛い……」

「家族で応募とか、ほっこりするな……」

「これもいいし、あれもいい……」


子どもが描いたほっこり温かい絵、デザイナー顔負けの独創的なデザイン──橘は思わず画面に顔を近づけ、一つ一つの作品に目を凝らした。

応募者の名前やコメントも添えられ、全国の人たちが自分の企画に関わってくれていることを強く実感する。

その実感が、企画への自信と期待を膨らませる。橘の胸は高鳴り、自然と笑みがこぼれた。


締切日の朝、庶務担当の女性がモニターを操作しながら報告する。

「──思ったより、応募が多かったんですよ」


スクリーンに映し出されたのは、社内公募と一般公募のエントリー数。

予想の倍──いや、それ以上の数字に、橘は小さく息を呑んだ。


「締切短かったのに、すごいですね」

「はい。GIFTアプリと特設ページからの応募が中心です。郵送も少し届きましたが、やはりネットが圧倒的です」


橘は画面の数字を見つめながら、胸の奥で温かいものが広がった。

“誰でも参加できるようにした工夫が、ちゃんと届いた”──そんな実感だった。


「次は、台帳の準備ですね」


机の上には、デザイナーが送ってくれた試作の台帳案が並べられていた。

表紙は全部で7種類。最初は2種類の予定だったが、担当デザイナーが気を利かせて5案を追加してくれたのだという。

•ギフ丸(柴犬)

•ギフにゃん(猫)

•ギフ神(鹿)

•ギフぴょん(ウサギ)

•ギフ太 (レッサーパンダ)

•ギフりん(人間の女性)

•ギフすけ(人間の男性)


「どれも素敵……選ぶの、もったいないくらい」


課長が腕を組みながら笑う。

「確かに。どれかに決めるより、全部使う方が面白いかもしれないな」


橘は息を吸い込む。

こうして、自分の企画が少しずつ形になっていく。

人の想いが重なって、“贈る”という言葉の輪郭が、ようやく見えはじめた気がした。


橘は少し考え、メモに「担当デザイナー作成の台帳は、著作権・データ確認済」と書き込む。

こうして、台帳が安全に形になっていることを確認し、次の作業に進める──。

貴重な時間を割いて読んでいただき、ありがとうございました!

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