一章エピローグ
「ふう……ようやくか」
№3を発って二週間。№4に戻って来た。今回は途中で感染者との遭遇くらいはあったが、大きな問題にあたる事もなく無事に戻ってきて、№4のゲートもID提示一発で通過できた。
「これだよ、毎回こうであるのが普通なんだよ!」
誰に言うでもなく熱く語る。今までがおかしかったんだ。任務に出ればマザーと遭遇したり、なんなら一戦まじえたり、他都市のトラブルに巻き込まれたり…帰って来たら誰かの陰謀に巻き込まれたり。事あるごとに事件に遭遇してきたからな…普通はそうそう大きな出来事に会う事はそうそう無いんだよ!
あまり熱を入れるとあからさまにおかしな奴として通報されるので、ほどほど加減をきっちり把握しておく必要があるな、うん。少し落ち着こう。
周りにいる人たちが意図的に視線を合わせないようにしている事から目を背け、久しぶりの我が家にたどり着く。門には№4守備第十一番隊隊舎と書いてある。
近所の商店のおじさんおばさんたちがカナタの姿を認めると手を挙げて挨拶してくれるので軽く会釈をしておく。彼らにはいつもお世話になっているのだ。
門をくぐり、玄関の扉を開けると奥からトタタと足音が駆けてくる。
「おかえりなさい、カナタさん!」
そう言って飛びついてくる花音を抱きとめる。しばらく会わないうちに大きくなったように感じる。こうして抱き上げた時に感じる重みもだいぶ増している。口が裂けても言葉に出しては言えないけど……
花音は気にしなくても他のお姉さま方からおしかりを受けるのだ。
花音を片手に抱き、居間のほうに向かうとみんな揃っていた。
「「「お帰り」」」
声をそろえてそう言ってくれた。こういった普通の事がなんだかうれしくて仕方なくなる。
けして大げさではなく、かといって惰性でもなく。当たり前にそう言ってくれるという事がうれしくなり、カナタは破願して返した。
「ただいま!」
一応ここまでで一章完結とします。このあとの想定もあるのですがストックもないので、ぼちぼち書き溜めるか、他の物語も書いてみたくはあるしなぁと考え中です。ご意見ご要望などがもしあればぜひお伝えください!思っていたよりも回り道してしまいましたがBiodefenseの一章を読んでいただき本当にありがとうございました!




