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15-5

投稿ミスをしてしまって15-4の前に一話入ってます。すいません!

そして次の日。


「え?どういう事ですか、先輩」


全員が集まったところで、アマネはある事をいいだした。それを聞いたカナタが信じられず思わず聞き返したという場面だ。どうも女子だけで集まって色々と話した結果らしい。


「なんだ~、ねぼけてんのかー。だからー、私も協力するから№3の何とかって奴を排除しちゃおうぜって言ったんだ~」


やはり聞き間違えではなかった。思わずカナタは頭を抱えた。


「いや、いくら先輩でも都市相手に喧嘩を売るような真似はまずいっすよ。話を聞く限り搦め手の得意そうな奴みたいだし……実際、俺もやられそうになりましたからね。」


藤堂姉妹から№3の内情を聞いた今、長野や獅童を使ってカナタを陥れて、マザーの素材を奪おうとしたのは、№3。ひいては佐久間の差し金だとほぼ確信している。中身はでっちあげだとしても、一時は合法的に葬られようとしたのだ。そんな相手にルール無用の力押しは悪手すぎる。


「ばかだなー。そんな手に引っかかるのが悪い。いいかー、そんな奴は皆に嫌われてるから、この子たちのオヤジを助け出してしまえば、こっちのもんよ~」


と自信満々の様子でアマネは言う。カナタもそれは考えたが、少し楽観的に過ぎるのではないかと思った。向こうも刺客や暗殺には十分警戒いているだろうし……


「ふふ~」


カナタが考え込んでいると、アマネが楽しそうに笑ってカナタを見詰めていた。


「な、何ですか。その笑みは……お金なら持ってませんよ」


アマネの笑みに後ずさったカナタがそう言うと、風のように動いたアマネはカナタの頭に拳骨を落とした。


「ばかやろー。誰がお金なんか借りるかー!」


「いたた……。もう手が早いんですから先輩は。冗談に決まってるじゃないですか」


「真面目に話してんだー。冗談なんか言ってんじゃない」


そう言ってアマネはもう一度、今度は平手でカナタの頭をはたいた。

アマネにかかってしまえばカナタも形無しである。


「でも、頭をすげ替えなおすって言っても、そんな簡単な話じゃないでしょ。そっちの方がよほど冗談に聞こえますよ」


頭を押さえながら、少し口を尖らせたカナタはそう言った。


「それを何とかするのがアマネさんなんだナ~」


アマネはあまり女性らしさを感じさせない体を逸らせながら言う。


「……なんとかって、……どうするつもりなんすか」


そこはかとなく嫌な予感がしてきたカナタがそう聞くと、アマネはすっと目をそらした。


「それは秘密。かなちんは知らないほうがいいナ。知っちゃうと面倒な事になるかもしれないからなー」


「ちょ、先輩?」


「いいかー。かなちんは予定通り№1に行く。病人を見せに行くだけだろー、ぞろぞろ行っても仕方ないからなー。二手に分かれて、いこー。」


追求しようとするカナタを無視して、勝手に組み分けを始めた。


「はぁ、変わってないな。あの人も」


嘆息するカナタをよそに、さっさと二つのグループに分けてしまった。


№1に向かう組は、カナタをリーダーにして詩織をおぶったダイゴ、スバル。


そして何か企んで、№3に行くのはヒナタをリーダーに伊織とゆず。白蓮さん、それからアマネ先輩。いまだ眠り続ける詩織を除いてきれいに男女に分けられた形だ。


「かなちん、その娘が眠ってる時に変な事したら承知しないからなー」


「しませんよっ!」


強く否定したのが面白いのか、ケラケラと笑ってアマネはヒナタの所に歩いて行った。


「……お前も大変だな。久しぶりに会ったけど相変わらずな人だよな。」


苦笑いしながら近寄って来たスバルが声を潜めてそう言った。カナタは肩を落としてため息をついている。


「それにしても、ほんとに変わらないよね。カナタ君、アマネさんっていくつくらいなの?」


眠っている詩織をおぶっているダイゴがなんとなくという感じで聞いてきた。


「………………」


カナタは無言でダイゴを見る。


「ど、どうしたのカナタ君」


「ダイゴ……いいか、アマネ先輩はぱっと見は小さくてかわいいだろ?それを聞く奴はけっこういたんだ」


何やら真剣な表情になり、語りだしたカナタに、ダイゴは思わず息を飲んだ。


「でも誰も知らないんだ。よく言われてたよ、アマネ先輩は年齢不詳だって。そして年齢を聞いたら負傷だって……」


まるで怪談でも語るかのごときカナタの口調に押されたダイゴは、思わずごくりとつばを飲んで言った。


「カナタ君さっきのセリフは無かったことに……」


カナタの隣で聞いていたスバルも顔を上げると顔色を青くしている。


「ああ、それがいい……」


「何がそれがいいだー」


背後から声が聞こえると同時に、カナタの頭に衝撃が走った。


「いって!」


いつの間にか寄って来ていたアマネがまたしても拳骨をお見舞いしたのだ。


「お化けみたいに言うなー」


腰に手を当てて怒るアマネの後ろで、ヒナタ達も苦笑いしていた。





「結局お前がそうやってからかうから被害をうけるんじゃね?」


№1に向かって、周りを森に囲まれた道路を歩きながら呆れたようにスバルは言った。


「そうかもな、なんでだろうな」


ノリで、という事なんだろうか。つい言ってしまうのである。


すでにヒナタ達の組とは分かれ、それぞれの目的地に向かって歩いている。


「でもほんとによかったのかな?(キザハシ)さん……」


出発してからずっと、心配そうにダイゴは何度も後ろを振り返りながら言っている。

アマネの目的は師匠に言われてカナタ達の様子を見に来るという事だったらしいから目的は達している。ただ、話によればアマネ一人で来たわけではなく、(キザハシ)も一緒だったという。


「キザさんもなー、しょうがないなー。迷子になるほうが悪い。かなちん、途中で見かけたら拾っておいてくれなー」


そうアマネは言っていた。でも、迷っていたのはアマネの方だと誰もが思ったのだが口にする者はいなかった。

さすがのカナタもそれをいう事は憚られたようである。ただ、階を不憫に思うばかりである。


「なんか昔からセットだよね、あの二人。喋った事はないんだけど」


ダイゴがそう言うと、カナタは頷いて答えた。


「そうなんだ、どっちかと言えばアマネ先輩がくっ付いて回っていた感じかな。キザさんも嫌がってはなかったし……」


その頃を思い出しながらカナタは言った。階 大海(キザハシ ヒロミ)。物静かな男性だが、戦い方はえげつない。その場に在る物はなんでも武器にできるし、勝つ事への執念はすごかった。

しかも、見た目はイケメンで女性のファンもいたのだが、当人の心は女性というなかなか癖のある人物だった。物静かなのは、声を出すと低い男の声なのでそれを嫌っていたのと、当時はまだオネエなんて言葉もなかったし、色眼鏡で見られるのが嫌だったのだろう。

確か、当時はアマネ先輩と住居も同じ所をシェアしてたと記憶がある。それくらい仲は良かったのだ。


「結構そこらへんでばったり会ったりしてな」


冗談っぽくスバルが言うが、カナタはなぜだか確信に近い感じの予感がしていた。きっと会うんじゃないか。、と。



読んでいただきありがとうございます。作品について何か思う事があったら、ぜひ教えてくれるとうれしいです。

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