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アバターシノビブレイカー_対電忍【小説家になろう版】  作者: 桜崎あかり
第30話『ガーディアンの切り札』

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第30話その3

 8月も30日になった。夏休みの宿題に追われるような学生もいるだろうが、様々な場所では学生が目撃されている。


 今のタイミングでいる場合は夏休みの宿題を早い段階で終わらせ、残りは日記か植物の自由研究か……と言う具合だろう。


 埼玉県某所にあるゲーミングパソコンショップ、そこでも学生の姿は散見されていた。


 しかし、ゲーミングパソコンを購入する年齢層を踏まえれば、大抵が高校生か大学生か……その辺り。中学生でゲーミングパソコンは早いのかもしれない。


(ここ数日の客の入りようは、何かあるのか?)


 春日野(かすがの)タロウも若干困惑する位には、来店客が増えているのだ。


 ゲーミングパソコン需要で客が増えているのは今に始まったことではないが、ここ数日の客足は異常である。


 新品のパソコンやARガジェットも販売しているので、店の販売品で在庫が切れたりする事はないだろうが……。


 一応、本日の天気は晴れという事でARゲームフィールドなどにも通常以上のギャラリーはいるような気配である。


 そこで使用するARガジェットを確保しよう……という動きで客足がプラスされていると判断してもよさそうだが、売れているのがゲーミングパソコン関連が半数なので、それはないだろう。


「店長、この商品の在庫確認をお願いします」


 バイトの男性店員が店長にゲーミングパソコンの在庫確認を尋ねるが……。


「この商品は……?」


 商品の電子値札を確認すると、確かに中古品在庫ありという表示になっている。


 しかし、昨日に在庫を見た際は現品限りだったような気がしたのだが……どういうことなのか?


「値札の間違いはないようなので、しばらくお待ちを」


 在庫確認のために在庫ルームへといそぐタロウ。駆け足ではなく、早歩きと言うべきか。



「いつの間に……?」


 在庫を確認に在庫ルームを見ると、確かに該当のパソコンは在庫があった。しかも、複数である。


 昨日には中古パソコンを売却にやってきた客がいたが、ここまで大量にパソコンを持ってきていたのか、と。


 盗品ではないことは確認済みなので、この中古品在庫を売ることにする。


「ウェルウィッチア、この本体はチェック済みかな?」


 タロウはインカムでパソコン修理班のウェルウィッチアに問い合わせるが、問題はないらしい。


 そういったこともあり、この中古のパソコン本体は無事に売られることとなった。


(あのパソコンを持ち込んだ人物も検索するべきか……)


 タロウはふと、中古パソコンを持ち込んだ人物が怪しいのでは、と思い始める。


 仮に盗難品とは違う、別の出所を持つパソコンだったとしたら……?


 倒産した会社からの品だとしたら、それこそ事件になっていても……と言う個所はあるかもしれない。


 盗品であれば他の店に持ち込んでも引き取りはしないだろう。警察に通報されるのがオチだ。


 倒産した会社、それもリアルダンジョン関係の運営で使用していたパソコンだったとしたら……。


 その辺りは、さすがに考えすぎだろう。そして、タロウは在庫のパソコンを荷物運搬用の小型カートに載せ、商品をお客のもとへと運ぶ。



「リアルダンジョン閉鎖の背景を探っていたら、このようなことが……」


 ガーディアン秋葉原本部を尋ねた春日部支部のホップは、あるデータを本部長に手渡した。


 何故に手渡しなのか……その事情を本部長は察している。もしかすると、そういう事情もあるのだろう。


 本部長がいたのは本部長室で、この部屋には本部長ともう一人の人物しかいない。


(やはりというか、炎上勢力が裏で操っていたのか)


 本部長はホップから手渡されたデータの数々を見て、更に察する。これを手渡しで持ってきた理由が、次の資料にあったからだ。


(こちらが手を出せなかったブラックバッカラ……そういうからくりだったのか。この資料を見る限り、は)


 ブラックバッカラ事件、これに関してはガーディアンは手を出さなかった、というカバーストーリーにはなっているが、実際は違っていた。


 別の理由で手を出せなかったのである。その元凶が、ネットガーディアンなのだが……。


「ネットガーディアン自体、すでに組織は解散しており、その詳細は……」


「その辺りは問題ない。放置しておいても特に現状のスケジュールに遅延はないだろう」


「スケジュール、ですか?」


「そうだ、スケジュールだ」


 ホップも本部長の言うスケジュールと言う単語には理解できなかったが、あの資料を見ての反応を踏まえると、そういう事なのだろう。


 ガーディアンの運用しているパワードスーツや大型ロボット、そうした部類を投入しなければ、おそらくは次の敵を倒せない、そういう意味でも。


(制作委員会、遂に姿を見せるか。しかし、今まで姿を見せなかったのは一体……)


 本部長も制作委員会の存在を知り、スケジュールの遅延は許されない……そう考えた。


「この件は新宿支部にも伝えたのか?」


「えっ? いいえ、これは本部にだけ伝えてほしい、と草加支部長から指示があったもので」


 まさかの単語を聞いて、ホップの方が若干驚いている。


 この資料を本部長に渡すように指示したのは、草加支部長のアルストロメリアだからだ。


 何故、彼女が秋葉原本部へ渡すように指示したのか……その真意は分からないが。


「なるほど。そういう事情か。新宿支部は、すでに独自でたどり着いた情報をこちらにも提供する……草加支部、その狙いは何だ?」


 本部長は、ホップに対してアルストロメリアの真相を尋ねる。なぜ、このようなことをするのか、と。


「あくまでこちらも把握していませんので、推測の範囲……でよければ」


 ホップも今回の件に関して、アルストロメリアに尋ねても何かを語ることはなかった。


 それを踏まえると、全てが憶測になるだろう。それを踏まえたうえで、彼女は語る。


「アルストロメリアは、秋葉原本部が新宿支部と対等になるよう、バランス調整をしているのかもしれません。制作委員会のシナリオとは異なるエンディングにするために」


 どうやら、制作委員会の存在を知ったガーディアンは一握りではなかったようだ。


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