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アバターシノビブレイカー_対電忍【小説家になろう版】  作者: 桜崎あかり
第23話『新宿支部の狙い』

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第23話その2

『トップニュースは、こちらです。先日の新宿駅で起きた電車の運転見合わせとなったトラブル、原因がサーバーであることが判明しました』


 女性キャスターが新宿駅で起きたトラブルの詳細を伝える。これは、発生から翌日のことだ。


 まさか、トラブルの原因がサーバーだったとは……だれが予想しただろうか?


 確かに定期や電車の切符も電子マネーで購入し、電子チケットで発行されるようなシステムが確立した。


 それから数年が経過しようという中で、このようなトラブルが起きるとは……という声もある。


 今まで起きなかった方が不思議であるのだが、それまでに何が起きたというのか?



 そのニュースが報道された日、ガーディアン秋葉原本部では定例会議が行われていた。


 議題は、当然のことだが昨日の新宿駅の件である。


「松原団地の件、見事だったというべきか」


 秋葉原本部長も、この件に関しては手際の良さを評価している。被害も最小限、けが人なし、目標のサンプルも入手できた。


 唯一の難点があるとすれば、それを実行したのは出禁をかけられている草加支部であることだろう。


『しかし、出入り禁止処分の草加支部が実行したのは納得できません』


『それこそ我々、北千住支部が出れば……』


 千葉支部と北千住支部の幹部が草加支部に関して否定的な意見をする一方で……。


「他の支部の戦力で、あれを被害最小限にできる支部はないでしょう。渋谷支部も、ある戦略兵器を投入しようとしていましたし」


 秋葉原本部の会議室に、ある意味でもVIP優遇扱いで姿を見せていたのは、何と新宿支部の支部長だ。


 これに関しては他のテレワークで参加している支部長たちも動揺している。


『戦略兵器? ARガジェットを戦略兵器、と? 確かに足立区のガーディアンが運用している部類は、そう見られても仕方はないですが』


 これに反論するのは、当然だが渋谷支部だ。他にも、あの場面で新型ガジェットなどを導入していた支部もあった。


 それを踏まえれば、些細なことだ……と新宿支部には説明する。


「戦略兵器といっても、その目的は敵の鎮圧に使われるものです。しかし、相手の殺傷を目的としたものではない。それは他のガーディアンもご存じでしょう」


「殺傷兵器が使われたという話自体、松原団地では報告されていませんが……使用される可能性があったのは懸念されることと思います」


 新宿支部長の発言を聞き、周囲にも同調することが出始める。


 ガーディアンの目的としても力で強引に流れを変えるのは違法だという認識で一致はしていた。


 やっていること自体はごり押しなのではないか、という突っ込み待ちかもしれないが。


『ARゲームに関係した事件は警察もスルーし、ガーディアンへ任せる事案が発生している。それは今もそうだ』


『我々がやっているのは、警察の手が出せない事件の後片付けではないのだぞ』


『ジャパニーズマフィアの勢力が大幅に減った中でも、特殊詐欺などは発生し続けている。そうした事件でもガーディアンが動くべきだ』


 様々な話題が出てくるが、どれもこれも今回の一件とは関係がなく、周囲の状況を止めたのは意外な人物だった。


「今の会議では、あくまでも松原団地の事件ではなく、新宿駅の一件であることをお忘れなく。自分が直接来た理由は、それですからね」


 まさかの止めた人物は新宿支部長である。確かに彼がいつもはテレワークであるのに、今回は直接来ているのには理由があるのだろう。


 秋葉原本部の幹部は特に話をそらしていないが、他のテレワーク組が話をそらしているようにも思える。



「それに、北千住支部は偽物のガーディアンにブラックバッカラを襲わせた理由を説明してほしいものです。あれがフェイクであるならば」


 この新宿支部の発言に対し、北千住支部は……。


『コスチュームは違法に作られたものという確認はできているだろう。こちらも偽物が現れたことに関して言えば、被害者なのだ』


「ガーディアンの偽物自体、何度か目撃事例があります。闇バイトの感覚で偽物が現れては、こちらもどうしようもないのです」


 新宿支部長は、とある物を持参しており、それが入ったアタッシュケースを秋葉原本部長に手渡す。


 本部長がケースを開けると、そこに入っていたのは、特撮ヒーローの変身ベルトにも似たような意匠を持つガジェットだった。


 これを見て、本部長はため息を漏らすが、別の意味で驚いたのは神奈川支部と渋谷支部である。


『それを、本当に実用化したのか?』


『ブラックバッカラ事件でも使用されていた、ARアーマーの即時装着を可能にしたベルト……新宿支部、お前は何を考えている?』


 両支部の反応は既に百も承知だ。


 他のテレワーク組も新宿支部が試作したガジェットには、言葉が出ない、驚く、中には情報収集を急がせるように指示、といった反応が出ている。


 新宿支部は、ガーディアン内でも戦力強化が必要という話を聞いており、そこで必要と考えたのが、このガジェットだったのだ。


「ガーディアンは時給換算でも破格の職業とは言われているのに、どうして新人募集が少ないか?」


「その答えが、これにあります。ある意味でも変身ヒーローを募集するのです。そうすれば、忍者構文の忍者にも対抗できましょう」


 まさかの発言に対し、周囲は動揺する。北千住支部も、これに関しては言葉にできない。


 新宿支部の目的は、もしかするとガーディアンの乗っ取りなのではないか、と。


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