第13話その3
ダンジョンにおいて密かに巨大ロボットが作られていた事実、それはガーディアン以外の組織にも拡散されていた事を意味している。
ガーディアンの運用していた巨大ロボットはＡＲフレームと呼ばれるＡＲゲーム用の技術を転用したものだが、あちらは違っていた。
どのようなタイミングで、ダンジョンに巨大ロボットが現れたのか？ あちらはガーディアンと無関係の偶然ではないのか？
何でもかんでもガーディアンと結び付ければ承認欲求を得られるとＳＮＳで投稿し、拡散していたインフルエンサーなどが虚偽情報拡散の罪でガーディアンに拘束されているのを踏まえると……かもしれないが。
『そもそもの忍者構文とは何なのか？ それはガーディアンが情報を隠すための手段なのでは……という情報も拡散しているでしょう』
『しかし、あのＡＲフレームの技術は応用すれば脅威となることは、ガーディアンの巨大ロボットを見れば一目瞭然』
『それだけの技術を持ちながら、ガーディアンはＳＮＳ炎上阻止のためにしか技術を使わない』
『それこそ技術の無駄遣いと言わざるを得ないでしょう』
『これだけの技術があれば、日本が……』
これはとある男性配信者の動画なのだが、途中で途切れている。
その理由は、配信内容が虚偽情報拡散に該当するという事らしい。後に、この配信者は配信が中断してから数十分後に拘束された。
「これらを見てもらえればわかるが、ガーディアンのやり口は間違っているといわざるを得ない」
「彼らにとっては不利な情報を実力行使で拡散を防止し、真実を明かそうとはしないのだ」
「この配信切り取り動画を見ていただければ、ガーディアンのやり方があまりにも……というのはわかっていただけるだろう」
先ほどの動画を紹介したのは、別の男性配信者である。
拘束された配信者とは顔も見たこともないし、初めて見る名前なのは間違いないが……ガーディアンのやり方が間違っている、という個所は共感していた。
「彼らはＳＮＳ炎上を煽るような勢力や個人のインフルエンサー、転売ヤーなどのような勢力を摘発し、ＳＮＳの正常運用を望んでいるように見える」
「確かに転売ヤーに関しては、被害の実例が多く、果ては強盗傷害事件や特殊詐欺なども起きるようなレベルで社会問題となっているので、そこは理解できるだろう」
転売ヤーに関する事件に関しては、彼もガーディアンのやり方はやりすぎとは思いつつも、向こうもそれをやられても文句は言えない状況を生み出したので、自業自得と語る。
そこに関してだけは理解している一方で、やはり巨大ロボットなどを使用した炎上勢力の一掃作戦には同意できない箇所があった。
彼の発言内容やテンションを踏まえると、それもわからないでもないのだが……それをダシにして炎上を煽っているようにしか見えない。
「しかし、それを差し引いてもガーディアンは放置できないのだ」
【ガーディアンに通報した】
配信の途中、視聴者の１人がガーディアンへ通報し、そこで配信は中断された。
他の視聴者もこの状況に疑問を持つ者もいるのだが、発言内容からしてガーディアンに敵意をむき出しにしていたので、通報ＲＴＡになっていたのかもしれない。
ある意味でもガーディアンへの敵対心を煽るような言動をすれば、即座にガーディアンが駆けつけて拘束されるのは確実だった。
実際、この男性配信者も迷惑系配信者としてリストアップされており、わずか数分でガーディアンが駆けつける事態となる。
通報からわずか１０分足らず、ガーディアンに通報された迷惑系配信者はあのような発言をしていたにも関わらず、抵抗することなく拘束されたという。
この迷惑系配信者は、転売ヤーを扇動していたインフルエンサーでもあり、発言が矛盾しているといえる。
もしかすると、今の情勢で転売ヤーは正義と発言して炎上するよりは……という可能性も否定できないが。
その一方、ダンジョン神のダンジョンの開かずの部屋、そこに若干の反応が確認された。
この反応に対し、ダンジョンに潜り込んでいる冒険者たちは反応していない。
開かずの部屋は開かずの部屋であり、そういった仕様である……と認識されている証拠か？
しかし、この反応に関して動く存在がいた。
それこそが、蒼影である。
蒼影が動くという事では、大きな動きのある証拠……なのかもしれない。
