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アバターシノビブレイカー_対電忍【小説家になろう版】  作者: 桜崎あかり
第9話『雪華ツバキ、初配信します』

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第9話その2

 雪華(ゆきはな)ツバキは、転売ヤーの根絶のために初配信をしようと思った。


 しかし、目的としては初配信の理由がそれでいいのか……というのはある。


 炎上させようと転売ヤーを擁護する勢力が動くのは明白だし、それにダンジョンの配信ガイドライン的にアウトなのでは……というのもあった。


 それでも転売ヤーの行為に対して困っている人物はいる。それも少人数ではない。それこそ、忍者ガイドラインに該当するような案件なのは間違いないだろう。


『忍者とはありとあらゆる炎上を阻止するために存在する、対電脳の刀。忍者とは悪意ある闇の全てを斬る存在でなければならない。彼らが斬るのはあくまでも悪意ある炎上であり、それ以外のものを切り捨ててはならない』


 忍者構文でも冒頭で悪意ある闇の全てを斬る存在を忍者と明言している。


 転売ヤーのような悪意ある炎上を展開するような勢力を擁護してもプラスにはならない。むしろ、マイナスともいえるだろう。


 そして、ツバキは決断する。初配信とは別枠で転売ヤー根絶のために動こう、と。


 そんな中で、彼は試しにダンジョン(しん)のダンジョンへ向かう事にした。


 理由はダンジョン配信をするにしても、試しにどこかでリハーサルをする必要性があるだろう、と。


 中にはダンジョン初見配信者がダンジョンに挑むというような内容の動画や配信もあるが、危険度という意味合いではリハーサルをした方がいい。


 忍者VTuberをやる以上は、リアルダンジョンではなくバーチャル空間のダンジョンで配信をするのがよいだろう、というのもあるだろう。



「何だろう?」


 ダンジョンにログインし、エントランスに到着したツバキは、人の集まっている場所を発見する。


 そこは装備類の販売するコーナーであるのだが、店主と思われる男性も困惑をしていた。


 集まっていた複数人は、明らかに転売ヤーであり、どのような話をしているかも……容易に察することは出来る。


 そんな中、乱入してきたのは忍者のコスプレをした人物だった。



「転売ヤーのブラックリスト入りしている人が、何故この場所に?」


 明らかなくノ一を思わせるアバターなのだが、違和感がある。


 声はボイスチェンジャーを使用しているのが誰にでもわかるようなレベルだ。おそらく、中の人は男性だろう。


 武器を持っているような様子はなく、数人が襲い掛かろうとしていた雰囲気もあった。


「貴様、忍者構文の……」


 何かを続けて言おうとしていた次の瞬間、くノ一は瞬間的に姿を消し、転売ヤーの一人を沈黙させる。


 何を使ったのかも気づかせないレベルで次々と撃破していくので、周囲のギャラリーも驚いていた。


(まさか、あれが忍者構文の忍者……)


 ツバキはくノ一の動きが微妙にだがわかっている。使用している武器は忍者刀に見えるが、明らかに刀の部分がビームになっていた。


 むしろ、持つ部分を含め、気のようなもので生み出した忍者刀……と言った方が適切かもしれない。


 しかも、それをくノ一アバターの人物は使いこなしている。かなりのスキルがなければ不可能だろう。


 ゲーマーとしての勘とまではいかないが、くノ一の人物はかなりの腕前の持ち主なのは間違いない。


「転売ヤー、お前たちに存在が許されるフィールドなど存在はしない!」


 最後の決め技は、まさかの居合いである。右手には刀でさえ握られていない。


 左手に握られていたのは、まさかの鉄パイプに見えるような棒である。


 まさかの決め技に対し、驚いていたのはツバキだけで一般アバターなどは言葉を失い、何も言葉を発することができなかったという。


 その居合いによって、直撃した転売ヤーのアバターは一瞬でポリゴンの塊となって消滅。


 しかも、それが数十人単位……明らかな戦力の読み違い、と言えるだろう。


 それを見て自分たちの過ちに気づいた、一部の転売ヤーは、この場を逃げようとするのだが……逃げ場など最初からなかったのである。


 逃げ遅れた転売ヤーは、ダンジョン神のダンジョンで運用されているセキュリティーロボットが回収をしていく。


 おそらく、ダンジョン神がガーディアンに引き渡すのだろう。


(あのロボットは……そういう事か)


 くノ一の方はロボットに回収された転売ヤーまで追う必要はない、と判断する。


 向こうは向こうで何とかするだろう、と思ったのかもしれない。



「あなたはもしかして、祈羽(おりはね)……」


 その一方で、ツバキはくノ一の人物に話しかけた。店主の人物は装備の販売に戻ったし、他の野次馬も別の所へ向かっている。


 近辺にいるのは、騒ぎを知らない冒険者数人とツバキ位だった。


 この動きは明らかに一般人のそれではないと思い、忍者の末裔と言われているリアル忍者の祈羽フウマだと考えて、話しかけたのだが……。


「祈羽フウマ、確か祈羽一族の末裔……だったか。残念だが、私は違う。こちらもその名前は別所で知っているだけだ」


 くノ一は普通に祈羽の名前を聞いて、はっとする場面もあったが……別人らしい。


 一方で、祈羽一族の事はSNSで知っているだけ、とも付け加える。


「それだけの動き、忍者構文の忍者でなければ不可能のはず」


「どうして、忍者構文の忍者以外にも忍者が存在する、と考えない? 忍者構文だけが忍者と考える、その思考判断は危険だ」


 ツバキの質問に対しては、思わぬ回答が飛び出す結果となった。


 明らかに、このくノ一は忍者構文とは無関係、と言いたそうな反応ともいえる。


「それに、忍者構文は確かに情報ソースとして役に立つことはある。しかし、鵜呑みにすべきではない」


 くノ一の方は、明らかにツバキが忍者構文に依存しているのではないか、というような反応をしている。


 それは自分にも言えなくもないようなことなのだが……。


「私の名はタケ、くノ一のアバターではあるが、忍者構文とは無関係だ」


 しばらくして、タケと名乗った人物は姿を消す。どうやら、ダンジョンの方に向かったのだろう。


 それに、あの目つきは明らかに……ツバキに対して敵意を向けているような目をしていた。


 転売ヤーと同類まではいかないが、タケ自身で思う個所もあったのだろう。


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