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アバターシノビブレイカー_対電忍【小説家になろう版】  作者: 桜崎あかり
第7話『この世界のダンジョン事情あれこれ』

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第7話その2

 真夏日が続きそうな8月は3日目となり、熱中症に関する注意がアナウンスされる位には外の気温は……という具合である。


 ARダンジョンでも冷房は使用されているが、雰囲気を損なわないように使っているケースが多い。


 一方で、暑すぎてもサーバー類にダメージがあるので適切な温度で冷房を動かしているわけだが。


 リアルダンジョンの方は入り口に「熱中症対策のため、冷房を使用しております」などの注意書きが貼られている。


 場所によっては「気温が30度以上となってしまったため、本日の営業は休止といたします」という場所もあるらしい。


 ダンジョンアプリでも臨時休業などが分かりやすくなっているが、それでもすべてをフォローしているわけではなかった。



 ARを使用したダンジョンの方は冷房完備ではある。その点は、炎天下の外でプレイするリアルダンジョンよりは……という具合かもしれない。


 それでも、ダンジョン配信でメインとなっているのはリアルダンジョンであるケースが多かった。


 割合としては全体の3割で、半数には満たない。次に多いのが、ここ最近に増えたバーチャル空間タイプで2割強ある。


 ダンジョン配信と言いつつもダンジョン探索型ゲーム配信にダンジョン配信タグをつけているようなケースもあるためか、集計が正確ではないというのも流行とはいかない理由の一つか?


 それに加えて、ARダンジョンでは配信可能エリアが限定される、もしくは配信不可能のどちらかであることが多いためにダンジョン配信がメジャーの域には達してないともいえる。


 現在も拡散し続けている脱出系のような謎解き要素はないのだが、この辺りは大手メーカーが運営しているのも理由の一つだろうか?


 しかし、配信制限はないものの、リアルダンジョンの場合は迷惑配信者の影響で炎上することが多いのもある。


 更に言えば、施設の関係で大雨や猛暑などの悪天候を理由に休業もあるだろうか。


 そのため、気が付いてみるとリアルダンジョンは現存するダンジョンの中では一番少なく、配信制限のあるARダンジョンが増えるという状況になっていた。


 それでも他のジャンルよりは「配信の数が多いジャンルより、少ないジャンルの方が客寄せがしやすい」などの理由でダンジョン配信を行う者もいる。


 様々事情も合わさった結果として、ダンジョン(しん)のダンジョンがピックアップされ、思わぬブレイクをしたのかもしれない。



【ここ最近のダンジョンは?】


【リアルの方は、また閉鎖告知が出ている。原因は迷惑配信者で間違いない】


【彼らのやっていることが、そろそろダンジョン配信に風評被害を発生させていることを自覚するべきだ】


【一方で、リアルダンジョンの跡地にARダンジョンができたという話もある】


【どういうことだ? テレビのニュースでは特にやっていないが】 


【当然だろう。テレビの方は転売ヤーの摘発を多く取り上げている。そちらの方が視聴率的には良いのだろうな】


【しかし、別のお店を立てる予定が不祥事などで空き地になっている場所があった。そこの買い手も……】


【そこまでの話はない。リアルダンジョン閉鎖で赤字が出るのを防ぐために、ARダンジョンの運営に売却、というのが有力だな】


【プレスリリースも出ていない以上、それは憶測でしかないのでは? リアルダンジョンの方は企業ではない個人が勝手に運営しているパターンが多い】


【確かに、そこを突かれて迷惑配信者が暴れている……というのが正しいかもしれないが、どちらも憶測でしかないだろうな】


 つぶやきサイトをガーディアンの事務所に置かれたパソコンでチェックしていたタケは、様々情報を見て……ダンジョン配信の周囲を探っている。


 コンテンツ的な意味で大きなビジネスチャンスとなれば、様々な企業が進出しそうではあるのだが、進出している企業はわずか数社だ。


 ガーディアンとしては警戒している企業は存在しないものの、とある大手が動くというニュースも耳にしている。


 今回はアバターとしてログインをしていない。ダンジョンに関して現地を見るのも重要だが、それ以外の情報を集めるのも重要だからだ。



(確か、オケアノスを運営している大手も……)


 オケアノスとは草加市にある大規模なゲームを取り扱うショッピングモールだ。


 その規模はかなりのもので、ここを1日で回るのは物理的にも不可能ではないか、と言われるほどに広い。


 扱うゲームもレトロゲームや家庭用ゲーム、ソーシャルゲームのグッズ、ARゲームのフィールド完備……ある意味でもゲームのテーマパークだ。


 平日に地方から遠征に来るゲーマーや海外の観光客が来るのも当たり前の光景となっているのだが、オケアノスを巡っても様々な事件が発生している。


 そのオケアノスが、新規ARゲームビジネスとしてARダンジョンに参加するというのだ。


 既にARダンジョンはオケアノス内でもいくつかは存在するが、それは他社開発の作品であり、自社作品ではない。


 オケアノスが自社作品を作れば、他社作品の必要性はなくなり……となりそうだが、そういったライバルつぶしのために立ち上げるのではなかった。


【自社でダンジョン配信をさらにスムーズ化できるようなコンテンツを提供し、配信者の収益につなげたい。それが我々にできることだ】


【さすがにこのジャンルでプロゲーマーを育成するのは難しいが、新たなコンテンツとして広めていければ……】


 今回のオケアノスのARダンジョン進出に関して、プレスリリースでは、こう語っている。


 草加市は公認プロゲーマーも多く、ゲームに関しても聖地巡礼的な意味でオケアノスが中心となって貴重な観光資源となっていた。


 そのオケアノスがダンジョン配信に本腰を上げるという事は、様々なガイドラインが作られ、それこそ迷惑配信者を減らせることを意味している。


(炎上の脅威となるような迷惑配信者が減れば、こちらとしてもありがたいが)


 タケは、炎上のきっかけとなる迷惑配信者の減少がガーディアンにとっても有利にはなる、と思いつつも何かが引っかかっていた。


「忍者構文の忍者は、この件に関して動くのだろうか?」


 対電忍(たいでんにん)はSNS炎上の元凶となりうる悪意ある存在を斬る存在。


 しかし、この件に関して姿を見せていないという事は、オケアノスの今回の件に関しては最低でも『悪意ある存在』と認識していない、というべきか。


 この場合の『悪意ある存在』は、どちらかというとリアルダンジョンを閉鎖に追い込んでいる迷惑配信者の方が該当するかもしれない。


 タケは様々情報をもとに、ダンジョン神がどう動くのか……様子を見ることにする。


「いずれ、直接介入する可能性はゼロではない。今は、そうなる可能性がないことを祈るか」


 ガーディアンの直接介入でダンジョンを変えてしまうのは出来るかもしれないが、そこまでやれば仮にガーディアンでも非難は避けられない。


 それでは迷惑配信者などと変わりがないのでは、と思う。変えるとしても、そこに悪意を感じるかどうか……。


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