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アバターシノビブレイカー_対電忍【小説家になろう版】  作者: 桜崎あかり
第70話『あの空の先に向けて、新たなコンテンツが動き出す』

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第70話その3

・2024年9月1日付修正

会えて→あえて

当時に来ていた制服→当時に着ていた制服

 次のシーンは、まさかの秋葉原が映し出されていた。


 外国人観光客の姿も見え、それに加えて歩行者天国でARゲームをプレイする光景も見られる。


 それでも、ここには目に見えないであろう転売ヤーなどの炎上勢力が潜んでいることも否定できない。


「新宿支部長も言っていたが、これからだな」


 会議が終了し、ガーディアン秋葉原本部のビル内から景色を見ていたガンライコウは、ふと考えていた。


 まだ様々な箇所で炎上案件となりそうなものは存在する。ありとあらゆる事件が起こらない世界というのは……不可能に近い。


 しかし、事件を起こさないように各自が行動を起こして炎上案件の発生を阻止する、と言うのは出来る。


 それが300年前に起きた忍者構文の真相ともいえるのだから。


 何故に、そんなことが300年前からシミュレーションされていたのに、様々な事件が起きてしまったのか?


 それはやはり、あのシミュレーションを読んだ物の反応などが……なのかもしれない、と。


 その後、いくつかのハイライトなシーンもあったが、ここでは割愛する。


 いわゆる、テレビアニメ版のネタバレ防止の意味合いもあるだろう。メタ的な視点では、そうなるかもしれない。



(これが、例のフィールドってことか)


 SFを連想するような意匠のパワードスーツを装着したアバター、その心の声は明らかに女性声優の声だろう。


 外見こそはそれを思わせないようなスーツなのに……と思うが、パワードスーツを装着した人物の正体が、実は女性だったというのはテンプレともいえる。


 この人物、実はと言うと……対電忍の登場人物ではない。


 何故かと言うと、このタイミングでエンディングテーマではなく、何と特撮版のオープニングテーマが流れたのである。


 オープニングテーマとエンディングテーマが逆で流れる演出はよくあるが、今回はオープニングでテーマ曲が流れた形跡がないのだ。


 つまり、ここで流れるオープニングテーマは……。



「本当に秋葉原なのか、疑問は残るけど……看板を踏まえて」


 この人物が見ている光景、それは間違いなく秋葉原だ。違いがあるとすれば、店舗の看板が架空の店名であること。


 一部で実名看板はあるのだが、架空看板になっているのは権利の許諾を得られなかったか、諸事情で意図的に名称を変えているかのどちらかだろう。


 聖地巡礼と一言に言っても、トラブルが発生しているというのもゼロではない。


 それを踏まえて、一部を架空店舗にしている可能性はゼロではなかった。


 パワードスーツの人物の装備は武装の類が一切なく、何のためにバトル系に出てくるようなパワードスーツを装備しているのか……と言う気配がする。


 意図的に武装を排除しているのか、もしくは……。


「さて、このアバターのテストを兼ねて……」


 一体、この人物は何者なのか?


 オープニングはメインキャストのクレジットだったので、この人物はクレジットされていない。


 エンディングになって、キャストクレジットも流れているのだが……それっぽい人物のクレジットは、まだ流れていない。


 この人物が、前回にクレジットされていた女性声優が担当しているキャラクターなのは確実だ。



 次の瞬間、パワードスーツの人物は周囲のビルを見回し、それから何処かへと走りだした。


 脚部にブースターユニットがあるわけではないので、普通に走っているのだろう。浮遊状態でもない。


 どこに向かって走ったのかは定かではないが、方角的には上野方面だろうか?


 様々なランナーのアバターが近くのビルに入ったりしている。しかし、電車の線路には侵入できない様子。


 電車がVRフィールド内でも走っているのが、その証拠なのだろうが……。


 この人物は結局何者だったのかは明らかにならなかったが、このVR空間がダンジョンしんのダンジョンに代わる新コンテンツであるのは、間違いなかった。


 それからしばらくしてから、この人物のキャストクレジットが流れたのは。


 残念ながら、キャラクター名は不明扱いで?マークだったが、担当声優名は前回のクレジットと変わらない。


 そして、最後にこのようなメッセージで幕を閉じることとなる。



「SNS炎上勢力は、手を変え品を変え……魔の手を伸ばしてくるだろう」


 流れている場面は対電忍の名シーンと言えるような場面ばかりが流れ、そこに男性のナレーションで進行する。


 その声は、ホワイトクラッカーの声だった。


 そういえば、エンディングのクレジットにホワイトクラッカーの声というクレジットは確認できる。しかも、このナレーションが流れる前にクレジットは表示されていた。


 話し方は淡々としたもので、感情的にはなっていないが……含みはあるのだろう。


「我々がするべきこと……確かにSNS炎上をするべきではない、闇バイトなどに手を出さないのようなことは基本中の基本だ」


「しかし、それ以上に我々がするべきことはあるだろう」


「それは……悪意を様々な手段を用い、悪用しようとする集団がいることだ」


「その事例はあえて言及しなくても、分かるだろうが……分かりやすいのは承認欲求や利益を求めて炎上させるまとめサイト勢力とか、その辺りだろうな」


 その後、様々がシーンが流れる中、次のセリフで締められる。


「どのような世界においても、悪意は存在し、それが様々な事件を起こすだろう。それは300年前の忍者構文でも書かれていた」


「300年前の情報戦がどのようなものだったのかは想像もできないが、今と同じようなものなのだろう」


「SNS炎上はフィクションではない。現実に起きている問題なのだ……それを忘れないでほしい」


 そして、青空をバックに映し出されたのは、草加駅前だった。



「全ては、終わったのか……」


 切り替わったシーンでは、草加駅前のデパートから出てきた私服姿の雪華(ゆきはな)ツバキが青空を見上げる。


 ツバキがどうなったのか、その詳細が言及されたわけでもない。一部の伏線はアニメ版へ持ち越しなのだろう。


 配信者を続けていること、一連の事件が解決したことをきっかけに忍者VTuberは休業したこと、姉が実はガーディアン草加支部長のアルストロメリアだったこと……判明した部分もある。


 それでも彼は、コンテンツ炎上を企む組織が現れたら、その時こそは再び立ち上がるのだろう。それまでは……。



 ここで流れたのは、まさかのエンディングテーマの方だった。


 場所は草加駅のホームで、オケアノスへ向かうバスに乗るために電車から降りてきたゲーマー、それ以外の目的と言う人もいるだろう。


 間もなく発車と言うタイミングで駆け込み乗車をしようと言う人物はいない。コンプライアンス的な意味ではなく、本当にいなかった。


 ツバキのシーンまででスタッフクレジットは終わっているのだが、まだ続きがあるというのか?


 これ以上の言及は蛇足になるのではないか、アニメ版へ続くという事で続編商法なのではないか……そういう声もあるかもしれない。


 しかし、対電忍はメディアミックス方式だ。コミカライズやゲーム作品、ソシャゲやコンビニなどとのコラボ企画も動いているだろう。


 それを踏まえれば、対電忍が動き出したのは、本編が終わってから……今のタイミングともいえるかもしれない。



 電車が通り過ぎた所で、ホームに姿が見えたのは二人の女性だった。


 それは、まさかのレインボーローズと月坂(つきさか)ハルカである。


 彼女たちはARスーツ姿ではなく、ブラックバッカラ事件の当時に着ていた制服にも似たようなコスチュームだ。


 これが元々の……むしろ『ハッキングオブウォーゲーム』での正装なのだろう。今回はサプライズ的な意味で登場したのかもしれない。


 更に言えば、持っている武器はARガジェットの銃剣である。剣の部分はビーム刃だが……。


 棒立ちのようなことはなく、ポーズは取っている一方で、駅のホームにいる乗客などが写真を撮るような気配はない。


「コンテンツ流通は終わらない。だからこそ、炎上ビジネスも存在する」


 レインボーローズが空を見上げて一言つぶやく。


「彼らは悪意を持って炎上を続けるだろう。自分たちの利益になる物は炎上を続け……」


 次の各駅停車が来るタイミングを見て、ハルカも一言。


 彼女の場合、過去に自身のプレイが理由で炎上したこともあり、その言葉の重さは……数倍にもなるだろうか。


『今もまた、コンテンツ流通を妨害しようと動き続ける!』


 二人そろって叫び、次の瞬間には各駅停車の電車から降りてきたのは、炎上勢力の工作員だった。


 外見を見れば明らかに、雑魚クラスなのは明らかだが……。


『あの空の先に向けて、新たなコンテンツが動き出す』


 その後のバトルの後に、二人のセリフがそのまま最終回のタイトルコールとなった。


 空とは、もしかしたらコンテンツ流通のその先……と言う意味なのだろう、おそらくは。


 動き出す、新たなコンテンツとは何か? そちらは、新番組かもしれない。


 この特撮版はネット配信なので、もしかすると海外ドラマの再配信枠などになる可能性はゼロではないが、そういうことなのだろう。



 ある意味でも『俺たちの戦いはこれからだ!』エンドにはなった対電忍特撮版だが、それでも小説版でやりきれなかった要素などもフォローして好評だという話だ。


 小説版、それは確かに本編中にも出てきている。あの時を思い出してほしい。


『いい最終回だった。まだ最終回かどうかはわからないが……』


 あの場面で春日野(かすがの)タロウが読んでいた小説、それこそがテレビアニメ版及び特撮版のベースとなった作品なのだ。


 テレビアニメでは要望もあって3DCGをフルで用いた作品となり、特撮版も中堅どころのキャストを抑えての作品となっている。


 全ての起点は忍者構文と言う存在をベースに作られた、一部ノンフィクションにも等しいようなメタフィクション作品だったのだ。


 だからこそ、一部でタイムリー案件の都合で変更された部分もあれば、カットされたシーンもある。


 安易な『バズり』を目的にして、炎上したコンテンツとは……もしかすると違うのかもしれない。


 そう、対電忍は完結してからが始まりなのだ。ブラックバッカラ事件を題材とした『ハッキングオブウォーゲーム』と同じように……。


 忍者構文にも捏造が疑わしいシーンはあるものの、対電忍自体は最初からフィクションとして作られている。


 たとえ、矛盾があったとしても『考証が変わった』や『時代に合わせて脚色した』で済まされてしまう。


 コンテンツ流通も、悪意を持った炎上などを指せないような仕組み作りが求められるだろうか。


 ある意味でも地域振興、聖地巡礼などを考えていた草加市にとって切り札となったのかは定かではないが、その後の動向を踏まえれば……。



 翌年の1月、アニメ版対電忍の新シーズンも始まった。


 話の流れこそは特撮版と同じ個所もあったが、異なる部分もある。


 アニメ版と特撮版でスタッフの情報交換が行われていたのは確かの様だが、どこまで合わせたのかは定かではない。


 細かな箇所の変化をここで列挙しても、それは設定語りに過ぎないのでバッサリとカットするが……。


『前回の、対電忍はーーー!!』


 新シーズンの第1話が始まる際の入りは、まさかとも言えるガンライコウのナレーションから始まった。


 映し出された場所は、やはりというかガーディアン秋葉原本部。


 アニメ版なので入り方としては正しいのだろうが、放送としては3か月……1クール分のブランクはある。


 それを踏まえると、この入り方で本当に正しいのか、と言うのはあるかもしれない。


 いわゆる、再放送で連続2クールとなった際につながり方が不自然にならないように、と言うのもあるだろう。


 一方でガンライコウが語ったのは、アニメ版の決着、前シーズンの最終回についてである。


 さすがに、ここで特撮版も含めて語ることはないだろう。そうだったら、かなり話としても急展開と言えるからだ。


『果たして、世界は、コンテンツ流通はどう動いていくのか……それでは、本編の方をどうぞ!』


 ナレーション語りのラストは、まさかの一言でしめている。一体、どういうことなのか?


 特撮版があのラストだっただけに、テレビアニメ版がどうなるのかは不明だが……アニメ版が描く世界はどうなるのだろう。


 コンテンツ流通、SNS炎上、更に言えばまとめサイトや承認欲求を求める勢力……真の意味で平和を取り戻すのはいつになるのか?


 ガーディアンの戦いは、まだ始まったばかりなのだから。



 ここで、ある意味でもラストとなるようなエンドカードを紹介する。


 エンドカードと言うよりは、厳密に言えばエンドカード風ファンアートと言うべきか?


 描かれていたのは、祈羽(おりはね)フウマとパワードスーツの人物……あの時に姿を見せていた人物だ。


 お互いにハイタッチをしている場面なのだが、何故にフウマを描いたのかは不明である。


 フウマの方は私服ではなく、ARスーツとなっているが、メットの方は被っていない。


 フウマに関しては素顔も分かる一方、あのパワードスーツの人物は素顔が不明だ。


 第一、メットだって外していないのである。それを踏まえれば、こうなるのもやむ得ないか。


 果たして、この人物が主人公となるのかは不明だが……我々は、続報が来るのを待つしかないだろう。


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