第69話その3
晴天の秋葉原、様々なARゲームでイベントが開かれていた。
当然だが、ARバトルフェスタの会場となっているARゲームフィールドでもイベントは実施されているが、それとは別にイベントを開催している場所だってある。
いわゆる便乗とはことなり、秋葉原襲撃などの関係で延期していたもの、偶然に開催日が被ったもの……事情は様々だ。
それを踏まえれば、そういう事なのかもしれないが、そういう事なのだろう。
「思いっきり、ここで戦っちゃいますかなぁ、と。覚悟してくださいね、レインボーローズさん、月坂ハルカさん!」
次の場面では、レインボーローズと月坂ハルカの目の前に足だけが見える状態である人物が姿を見せる。
その場所は、秋葉原のARゲームフィールド。丁度、FPSのエキシビションマッチが行われるところでもあった。
この声の主、ボイチェンなどをしていなければ、フェア・リアルという事になるが……。キャストクレジットにあっただろうか?
クレジットなしのサプライズキャストは何度かあるかもしれないが、フェア・リアルに関して言えば何度かクレジットされているので、今回だけ外されたわけでもないだろう。
もしかすると、クレジットの見落とし……かもしれない。
このエキシビションマッチ、まさかの秋葉原のARフィールドの他にも一部の歩行者天国も使うらしい。
別の意味でも驚かされる展開ではあったが、該当エリアは通行止めになっている。準備自体は行っていた様子。
「えっ、フェア・リアルさん?」
フェア・リアルの姿を見て驚くのは、ハルカの方だった。レインボーローズの方は、リアクションがない。
もしかすると、向こうはフェア・リアルが来ることを知っていたのだろうか?
どちらにしても、気づいていなかった人物は……という事かもしれない。
その一方で、フェア・リアルとパートナーを組む人物は誰なのか?
配信経由で見ていた視聴者なども、そこに注目はしていた。ゲーム配信もフェア・リアルは行っているので、そこまでプレイが下手と言うわけではないだろう。
事務所の企画でARゲームをプレイしたこともあったので、未経験と言う訳でもない。
なお、この場面ではエンディングテーマは流れていないので……この場面で終わる気配はない様子。
(うーむ、こっちはプロゲーマーなのに、相手になるのかなぁ……)
レインボーローズはバトルをするのには反対はしないし、エキシビションなので気にする様子もない。
それでも、フェア・リアルの実力が未知数なので相手になるのかどうかは不明だろう。
彼女自身はゲーム配信も行っていることは把握しているので、完全なタイアップを比重に置いた人選ではないのは確実だ。
それを踏まえて、1対2で成立するのか……と言う不安もある。
ゲームによっては1対100みたいな鬼ごっこ系ARゲームもあるし、1対1でアイテムを回収して早く脱出した方が勝ちの脱出ゲーム系もあるだろう。
どのゲームで勝負するかは、まだ明らかになっていないので、焦りは禁物か?
「お困りみたいだね」
どこかの特撮作品を思わせるような台詞で姿を見せたのは、メイド服姿のデンドロビウムである。
これにはフェア・リアルの方もメット経由だが驚きの表情を見せ、目の前にいるレインボーローズとハルカも驚いていた。
ARガジェットの方は、両腕に装備した篭手ではあるのだが、形状的にガーディアンの装備であるアガートラームではない。
「あなたは……!」
別の意味でも驚いたのはハルカの方でもある。
デンドロビウムの正体が公式コスプレイヤーであることは、一部しか分からないような細かすぎて伝わらないようなケースではあるのだが……。
「色々な所で知っている人物もいるみたいだけど……まぁ、そういう事で」
デンドロビウムの方は、その辺りの説明を割愛する。
他人には説明しづらいような事情もあるので、下手に説明するよりは……と言う具合か。
他にも様々なやり取りがあったようだが、バトルは始まった。
この流れで、まさかのエンディングテーマが流れている。
もしかすると、このバトルシーンでエンディングという事なのだろうか?
バトルに関しては3分間、先にライフゲージを0にした方が勝利であるが、ライフゲージは2名で共通のもの。
似たような形式のアクションゲームも存在するので、ゲーマーにとっては見慣れているというべきかもしれない。
すでに画面の下段にはスタッフのクレジットが流れているため、エンディングが始まったというべきなのだろう。
「まさか、こういう形でプロゲーマーと戦えるなんてね」
フェア・リアルの方は、アサルトライフルの片手持ちで対応するのだが、レインボーローズに当たる様子がない。
その原因はレインボーローズの回避能力が高いわけではなく、フェア・リアルが意図的に乱射スタイルでアサルトライフルを撃っている為……なのだろう。
「こちらも、VTuberとメタバースのような空間ではない場所でゲームをするなんて……思ってなかったけど」
レインボーローズも、別の意味でこのプレイに関しては驚いていた。
オンラインゲームなどではVTuberと一緒にプレイすることもあっただろうが、ARゲームではそういったことはない。
よほどのケースではなければ実現しないであろうセッティングを、まさか実現させるとは……と言う意味で。
「こういう形で対決することになるとは……ね」
デンドロビウムは特に重火器を持っておらず、まさかの素手で挑むという展開になった。
その動きは、ガーディアンの時と同様に隙がない。むしろ、彼女がこの場にいること自体が……と言う具合にも見える。
対戦格闘であれば色々と戦略もあるかもしれないが、これはあくまでもFPSなので戦略は必要だが、そのジャンルに応じたものが求められるだろう。
(この動き、狙いが定まらない!)
ハルカは別の意味でも精密射撃に自信はある一方、デンドロビウムの動きには対応しにくいこともあり、外すことも稀にあった。
過去にはあまりにも強すぎたこともあり、大会によってはチートを疑われるほどには実力もあったハルカだが……。
そのバトルを別の場所で観戦している人物がいる。
試合結果だけチェックすれば……と言うわけではなく、普通にモニターを見ているようだ。
その場所は、草加駅の近くにあるセンターモニターだった。過去には別作品でロケ地になったことがあり、聖地巡礼の場所としても有名だろう。
『これが、ガーディアンの求めていた……』
ARメットを装着し、その映像を見ていたのはヒャクニチソウだった。
彼女も特撮版とアニメ版では立ち位置が異なり、場合によっては出番がない。その中で、まさかのサプライズ登場となった。
試合が終わってからは、そのまま駅を後にしたようだが……。
【時は流れて12月のある日】
このテロップが表示されている場面では、クリスマスのイベントに向けてのガーディアンが描写されていた。
彼らが行っているのは、いわゆるイベントの設営及び周辺警備と言う具合である。
場所は秋葉原、ある意味でもすべてが始まって、ある意味でも忍者構文の一連の事件が終わった場所でもあった……。
エンディングテーマはそのまま流れているので、ここも次回予告か……と思われた、少し違う様子。
一体、これが示すものとは何なのか?
「これが、ガーディアンが求めていた答え、か」
その光景を見て驚いているのは、首から上の描写がないので驚く人物もいるかもしれないが、ヒャクニチソウだ。
くノ一を思わせるインナースーツは着用したままだが、右手にはARメットを持っている。
つまり、このシーンではメットを脱いでいるという事になるだろう。
彼女がいた場所は秋葉原駅が見えるものの、駅前とは限らない……と思われるが、詳細は不明だ。
先ほどのシーンのデジャブとも取れるようなシーンだが、それが示すものとは、いったい何なのか?
【日本は変わる。新たな可能性を示して】
この場面には、春日野タロウの姿があった。彼の目の前にいるのは、ガーディアン渋谷支部の支部長であるリーガルリリーだ。
対立しているというわけではなく、周囲の場面を踏まえるとARのダンジョンと思われる。しかし、何故にこの二人なのだろうか?
シーン的にはバトルをしているような様子はなく、ダンジョン探索をしているというべきかもしれない。
「世界は変わる。新たなコンテンツ流通のラインを構築し、確立させれば……」
この発言は該当シーンにいる人物ではない。ガンライコウのセリフである。
まさかともいえるナレーション語りが予告で切り取られるような展開と言うべきなのか?
「時代が求めるのは暴力ではない。争いはなくならないかもしれないが、それは悪意を持ったものであってはいけないのだ」
これもガンライコウのナレーションである。シーンの方はダンジョン探索が続いているようだが……。
【その状況下で、新たな勢力が動き出す?】
このテロップが表示されている場面、それはダンジョン神のダンジョンなどに例えられるようなダンジョンではない。
見た目こそ秋葉原には見えるのだが、ここは何とメタバース空間なのだ。
そこにガーディアンの姿はなく、新規オープンを祝うかのように様々なアバターがメタバースの秋葉原を見ているのだろう。
(これが、例のフィールドってことか)
SFを連想するような意匠のパワードスーツを装着したアバター、その心の声は明らかに女性声優の声だろう。
外見こそはそれを思わせないようなスーツなのに……と思うが、パワードスーツを装着した人物の正体が、実は女性だったというのはテンプレともいえる。
しかし、その装備は武装の類が一切なく、何のためにバトル系に出てくるようなパワードスーツを装備しているのか、疑問に残る仕様でもあった。
「さて、このアバターのテストを兼ねて……」
一体、この人物は何者なのか?
オープニングのクレジットには人物名表記なしの女性声優が1名クレジットされるのは確認済み。
この人物が、その女性声優が担当しているキャラクターなのは確実だろう。声を聞けば、ファンならば即わかる声の持ち主なので、キャスト名だけは公開したのかもしれない。
一方で、該当人物が対電忍の公式サイトに記載されていないのも事実だ。
いわゆる、戦隊シリーズなどの新戦隊へのバトンタッチイベントが用意されているのかは不明だが、それを連想するような展開だろう。
ここで言及されているテストとは、いったい何なのか?
『次回、アバターシノビブレイカー、対電忍……最終回』
ラストのナレーションは、秋葉原本部の本部長の男性だった。
エンディングテーマは、このナレーションが流れているタイミングでは流れていない。
『あの空の先に向けて、新たなコンテンツが動き出す』
サブタイの読み上げを行ったのは、レインボーローズ、ハルカの二人だった。
対電忍の主役は確か……と言いたい所ではあるが、最終回だから主役が必ず読み上げに参戦するという法則はない。
画面の方もエンディングテーマが流れ終わった辺りでは、すでに黒バックとなっている。
つまり、ある意味でもネタバレが徹底的に……と言う具合だろう。
使われているフォントは、そこまで堅いようなものが使われているわけではないので、内容の方はそこまでシリアスではないのは読み取れるが。
【時は流れて、12月】
【クリスマスシーズンの中、あるサプライズイベントが動いていた】
提供テロップが別の意味でもメタ発言を展開している。
まさかの12月まで時間が進むというのだ。
確かに、今回のエピソードで9月30日の意味が言及はされている。
一方で、いくつかの謎は残る部分があるだろう。一体、最終回に何をやるつもりなのだろうか?
秋葉原のメタバース空間は、間違いなくサプライズイベントの類とも考えられるが……。
今回は次回予告が特撮版仕様なのだが、ここでアニメ版の没エンドカードを紹介しよう。
没エンドカードは彩色されておらず、白黒ではあるのだが……ガーディアン勢オールスターである。
ガーディアン勢の集合イラスト自体は既に……という一方で、こちらには一部メンバーで特撮版や別メディアミックス版のメンバーも含まれていた。
その一方で、ガンライコウがいるにはいるが、その外見はいつものスマホの着ぐるみではないのも、違う個所だろうか?
こちらのエンドカードは特撮版の設定が微妙に調整中と言う中で書かれたものらしく、こちらとは別のエンドカードがアニメ版では使われることになったのである。
没になったメンバーの中には、テレビアニメ版未登場のガーディアンメンバーもいる様子。
これを踏まえると、特撮版の方がアニメ版よりも後に企画されたように見えるが、本当にそうだろうか?
次回予告に登場した謎の人物、仮にそれが新番組の人物だとしたら、対電忍で明らかにならなかった伏線は向こうに引継ぎされる可能性もゼロではないが……。
どちらにしても、全ては次回で明らかになるのかもしれない。
【次回もお楽しみに】




