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アバターシノビブレイカー_対電忍【小説家になろう版】  作者: 桜崎あかり
プロローグ『その名はダンジョン神』
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プロローグその2

 リアルフィールドで作られたダンジョンは新規でデザインされたものもあり、そうしたものの一部はサバゲーなどに転用されている。


 それを踏まえたデザインにしていたものは特に炎上の被害にあっていない。むしろ、そちらは他の迷惑系配信者が入り込む余地がない、という具合か。


 問題があったのは、いわゆる廃墟などを使用したもので、企業などが整備したものではなく放置されたものをユーザーがリサイクルしようとした事例だ。


 こうしたダンジョンを悪用して配信し、炎上したケースが後を絶たない。


 失敗は成功の母とはいうが、彼にとって失敗はコンテンツ流通的にも敗北を意味していた。


 ライバル企業に先を越されるくらいならば、彼のやっていることはトレンドになりつつあるという証明にもなる。


 問題は、SNS上でいわゆるアフィリエイト勢力や『バズり』勢力、承認欲求を求めるユーザーなどが炎上させることだ。


 様々な動画を見ていくうちに、ダンジョンに必要なものが何かを学習し、次に必要なものを把握する。



「これらの対策には……」


 ダンジョンの設計も重要だが、炎上して全てが無駄に終わってしまう方が痛手だった。


 そうしたガイドラインなどを作る場所も、ダンジョン(しん)は自分のダンジョンで作っていた。


 目的の達成をするためにも、コンテンツが炎上するのはあってはいけない。そういった意味でも失敗は許されないのだろう。


 ダンジョン神は、こうしたことを考えてダンジョン内でガイドラインを設定する。


「リアルのダンジョンとこちらのダンジョンでは、色々と勝手が違うのも……あるのだろう」


 ダンジョン神のいるエリア、それはオフィスともいえるような状態になっていた。唯一違和感を持つ箇所があるとすれば、彼しかいないことである。


 入り口だけだったような広いエリアにも、サーバー機器なども置かれ始め……ダンジョンの中心部ともいえる存在になったといえるだろうか?


 このエリアがエリア5として拡散することになるが、それは後の話である。



 ダンジョン神がダンジョンを製作している一方、一般男性の会社員はリアルダンジョンの一つへ向かおうとしていた。


 大手のダンジョンやダンジョン脱出をメインとしたコンテンツ以外、ほぼ壊滅気味といっていいほどに数か月でサービス終了が多い。


 それが迷惑配信者によるマナー違反や民度の低下といったケースであるのが大半であり、今から向かおうとしている場所とは……事情が違っていた。


「なんと、こういう事情なのか」


 たどり着いたのは、東京都の足立区にある地下鉄の駅。


 地図アプリによると、ここでダンジョンが展開されていたという事だったが、古い地図なのだろうか?


「ここでダンジョンが運営されていたという話を聞いたのですが……」


 今は午前中という事もあって通勤客も多いのだが、彼が事情を聞こうと考えたのはスーツ姿ではない人物だった。


 その外見は、明らかに現代日本とはかけ離れた西洋ファンタジー風の冒険者である。


 このエリアに関してはダンジョンが複数あったことでコスプレも許可されているため、こうした人物も見かけるのだ。


「ダンジョン? そういえば、この辺に複数あったが、今はこの駅を出た所の1個だけと聞いている」

 

「1個? ここではなく?」


 冒険者の男性の一言を聞き、会社員は驚くことしかできなかった。


 地図アプリにはあったはずなのに……バージョンも最新版ではないが、その1つ手前で5月段階のダンジョンをフォローしたアプリである。


 それなのに、どういうことなのだろうか?


「確かに、駅が完成するまでの間、ここはダンジョンになっていたな。専用のバス停もあって、通勤客に混ざるコスプレイヤーもニュースになっていた」


「そのダンジョンがここ、だったと」


 今は地下鉄の駅になっており、ダンジョンではなくなっていた……というのが真相らしい。


 実際に、彼は会社員にスマホで撮影した当時の写真を見せてくれた。間違いなく、画像はアプリにあるキャプション画像と一致する。


「確かに地図アプリにあるダンジョンの画像と一致している。何故、このダンジョンがなくなったのを通知していなかったのか?」


「その地図アプリなら、別企業に買収されてサービスを終了したという話だ。今は違う地図アプリがあるはず」


 冒険者の男性は、会社員に別の最新版地図アプリがあることを教える。どうやら、この辺りでも企業同士のバトルが行われているようだ。


 このダンジョン自体は地下鉄の完成までの間で運営されていた。


 地下鉄側としても、駅の完成が延期していたので何とか利益を確保しようと、あるダンジョン運営会社に連絡を取り、一時的にダンジョンとして開放していたのである。


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