第66話その1
『前回の、対電忍はーーー!!』
今回はいきなりのナレーションで始まる。アニメ版のガンライコウのナレーションを担当……ももはや、だった。
『ビスマルクの正体、その顔はまさかのホワイトクラッカーにそっくり……衝撃の事実ですよ』
『更に言えば、それを目撃したブラックローズのリアクションも、何かの含みを知っていますよね、アレ』
流れている映像はビスマルクのシーン。それも、草加支部のメンバーであるブラックローズとの遭遇シーンである。
ガンライコウはビスマルクの正体を把握しているのかは不明だが、あの口調だと……予測はしているが、それで正しいかは別問題なのだろう。
【本作はフィクションですが、忍者構文は実在します】
対電忍のアニメ及び特撮版はフィクションである。一方で、忍者構文は実在する。
繰り返すが、忍者構文は実在する一方で、この作品の内容自体はフィクション。
ブラックバッカラ事件などは調べようがないのだが、忍者構文の一件は事実なのだ。
しかも、リアルタイムで起きている……?
リアルタイム? 脚色を含むフィクションであれば、一歩間違えるとフェイクニュースを疑われるのは確実だ。
それなのに、リアルタイムとはどういうことなのか?
『それとは別にレンタルサーバーってありますが、どういうことでしょうか?』
『ダンジョン配信で使われているVRダンジョンも、メタバースを使用したダンジョンも……このサーバー経由とか?』
『さすがに、この辺りはコミカライズとかソシャゲ版とか……その領域ですかねぇ、と』
次に出てきたのは、ホワイトクラッカーがレンタルサーバーの置かれたビルへ潜入する光景の様だが、どう考えても実写版で取り扱っていない画像もある。
その映像の中には、ダンジョン神のダンジョンや他社のVRダンジョン、メタバース空間に作られたダンジョンも映し出されていた。
つまり、これが意味するものとは……?
『コミカライズとかソシャゲとか、ゲーム版とか……メディアミックス化されていないと分からないですよね、この辺りの背景』
『実際、対電忍自体、忍者構文を中心としたノンフィクションの世界がメディアミックスされたら……みたいなコンテンツ流通のテストケースをやってるみたいなものなので』
『ダンジョン配信はダンジョン神がやろうとしていた事なのは事実みたいなのですが、どこまでが忍者構文で扱われているかは定かじゃないんですよね』
様々な画像も流れているのだが、この内容を見てもガンライコウは全貌を把握はしていない様子。若干困惑している口調なのが、それを物語る。
しかし、炎上勢力もフェイクニュースを悪用し、様々な誘導を行っているため、この辺りは……と言えなくもないが。
『それにしても、ホップも大胆な作戦を展開しますよね……確かに草加支部には大手VTuber事務所に所属した企業勢のVTuberが実際にいましたし』
『彼女がどういった作戦を展開し、炎上勢力をどうしていくのか。色々と気になる所ではありますね』
次の映像は、ホップがVTuber事務所で指示を出すシーンなのだが……さっくりと解説して終わっている気配がする。
ガンライコウも作戦を知らないのだろうか?
『それでは、本編の方をどうぞ!』
やけにあっさりとオープニングトークが終わった。どういうことなのか?
今回、何故にこのやり取りがここで入っていたのかには理由がある。
彼女が隠している事実、それは……。
【本作はフィクションですが、忍者構文は実在します】
次に表示されたのは、秋葉原のVTuber事務所である。しれっとだが、ガンライコウの語りのナレーションは本編に未収録だったのだ。
そのため、このテロップが下に表示されているのは……そういう事なのだろう。
「フェア・リアル、リミッターを解除する。炎上行為がテロとイコールする事実を海外に向けて配信し、それこそ炎上行為が無駄だという事を、思い知らせな!」
ガーディアン春日部支部の支部長であるホップの口調が変化し、フェア・リアルに指示を出す。
そして、遂に作戦は実行されることになる。ある意味でも秋葉原最終決戦だろう。
お気づきだろうか。前回は最終決戦ではなく、採集決戦と記載されていたのだが……別の意味で通ってしまう事実に。
炎上勢力を討伐し、そこから得られる情報を採集するための最終決戦、それがホップの計画していた作戦である。
『ちょっと配信準備に時間がかかりますので、その間の時間稼ぎをしていただきたいのですが……』
『こっちも事務所公式で動く関係上、色々と手順を踏まないと正当性が得られないので』
まさかの反応に対し、ホップは別の意味でも無言で握りつぶそうとしたが……それは止める。
炎上勢力が秋葉原に集中して現れている、と千葉支部や神奈川支部、群馬支部から連絡を受けたばかりだというのに……。
「こうなったら、ここでオープニングテーマを流して物理的に尺稼ぎをするのよ!」
ホップの指示で、まさかのオープニングテーマが流れ始めた。
しかも、流れ方がテレビアニメ版基準となっていて、オープニングの語りなどは入っていない。
別の意味でもまさか……と言う状態になったのは間違いない。
【ホワイトクラッカー】
オープニングでメインメンバーのクレジットに混ざり、ナレーション及び声優枠のクレジット前に1名が新規で追加されていた。
前回のあの人物が、正式にホワイトクラッカーとしてクレジットされていたのである。
つまり、あの時は仮名称に過ぎなかったのが正式に……という事になるだろうか。
【ビスマルクの声】
そして、声優枠の方ではビスマルクの声があり、あのビスマルクなのでは……という展開となった。
何故かと言うと、担当声優が女性だからである。つまり、ここからはじき出される事実は……。
しかし、この段階では声での出演だけなので、もしかすると別枠のナレーションとか回想シーンのみと言う可能性はあるだろう。
つまり……このビスマルクがいわゆる別作品のビスマルクかと言うのは、不明と言ってもいいだろうか?
【デンドロビウム】
例によって、最後にはデンドロビウムがクレジットされている。
つまり、重要な軸となるキャラは、未だにデンドロビウムという事になるだろう。
【ヴァーチャルレインボー計画】
【〇〇VTuberプロジェクト】
キャストクレジット後、何故か見覚えのあるクレジットがスペシャルサンクスに入っていた。
これって、まさか……と言う状態である。
仮にビスマルクのキャストがあちらのビスマルクと同じ声優だった場合、そういう事にもなるだろう。
最近は、他社のキャラを紛れ込ませるにも無断では出来なくなり、それこそ許諾を取ってから出てくるというケースがほとんどだ。
昭和から平成、令和に移っていくにつれて、いわゆるパロディなどの面が厳しくなったのも……と言えるか。
一次創作の小説サイトが盛り上がり、そこからの書籍化やコミカライズ、アニメ化なども盛んにおこなわれているのは、その証拠かもしれない。
時代は二次創作よりも一次創作の方が……。コンテンツ流通と言う意味でも、一次創作の方がやりやすいのは、そういった事情もあるのだろう。
【秋葉原決戦、遂に決着!!】
【フェア・リアルの奥の手が遂に……】
提供のテロップでは、まさかの一文があった。
フェア・リアル自身は商業VTuberでも有名であり、実はと言うと本人出演にも近いだろう。
さすがにハッキング能力や彼女が披露したスキルは、彼女のアイディアで劇中に採用されたもの、と言えるかもしれないが。
それ以上の奥の手とは一体? 次回予告でも少し触れていたが、ヒーローショー宣言からの……アレだろうか?
ある意味でも、大きな戦いのひとつが決着するのは間違いない。




