第65話その1
『忍者とはありとあらゆる炎上を阻止するために存在する、対電脳の刀。忍者とは悪意ある闇の全てを斬る存在でなければならない。彼らが斬るのはあくまでも悪意ある炎上であり、それ以外のものを切り捨ててはならない』
全ては、この一文から始まった忍者構文。
ふたを開けてみれば、それは様々な思惑をもって拡散していたネットミームだという事も判明した。
悪意ある炎上、つまりはまとめサイトや炎上系配信者などの炎上行為、そういった物を切り捨てていく存在……それが対電忍と言われている。
そして、それらに振り回されていたのはガーディアンやインフルエンサー、WEB小説サイト、アニメ版及び特撮版のスタッフだけではないだろう。
中には振り回されたという感覚のない人もいるかもしれないが……そういう人もいるだろう、と言うだけにすぎない事を……ここでお断りを入れておく。
一方で、日本はどうだろう?
世界ではブラックバッカラ事件から続く「ありとあらゆる紛争が禁止された世界」が続き、今も人の命を奪うような紛争は起きていない。
日本自体がこの件に関して無関心だったわけでなく、色々な意味でも日本が独自路線を走りすぎており、意図的にスルーしていたとも言われている。
中には、某テレビ局が周囲が報道特番の中で別番組をやっている伝説のように例える人もいるが……。
これに関しても、一連の事件をフェイクニュースの類と炎上させていたインフルエンサーが、虚偽情報拡散の罪でガーディアンに拘束されたのが3月位の話である。
しかし、そのインフルエンサーはすぐに釈放されたという話もあった。不可解すぎるとは思わないだろうか?
彼を釈放した理由は明らかにはされておらず、週刊誌でも稀に特集されることもあった。誤認逮捕の類で有ればガーディアンが謝罪をするはずだろう。
もしや、忍者構文自体がフェイクニュース、つまりはネットミームを拡散させるために仕向けられた……。
「忍者構文の考察サイトは、全てが閉鎖されたわけではない。今も、一部は顕在か」
先ほどのネット記事を閲覧し、チェックしていたのはホワイトクラッカーと言うクラッカーの人物である。
何故に忍者構文に興味を持っているのかは不明だが、個人的にも気になっている要素があるのだろう。
300年前から存在した祈羽一族、そして、彼らが隠してきた戦力のひとつである蒼影……全ては未来に現れるであろう敵への対抗策として作られていたのかもしれない。
だからと言って、300年前からAIのようなものがあったりしたのだろうか? 一説によれば、蒼影のサポートメカが封印されていた部屋とそれを形成するダンジョンが……と言う話もある。
どこまでが真実で、どこまでがフィクションで、どこまでがネットミームとして尾びれが付いた話なのか……判断が分かれる部分ではあるだろう。
「先代の配信で蒼影が300年前にいたのは事実、そこから実験を繰り返していたことも事実、その技術が転用されかけていたことも事実……」
先代の言葉がどこまで憶測なのかは分からないが、博物館にある資料から、300年前に蒼影がいた、起動実験が繰り返されていた、その技術が転用されようとしていたのは事実らしい。
転用に関して言えば、ブラックバッカラ事件のブラックバッカラもAIアバターの類だという話があるのだが……あのAIアバターは何処から来たのか?
そう思ったホワイトクラッカーは、秋葉原にあるとあるサーバー管理会社へと足を踏み入れることにした。
その場所は、2024年に閉鎖が決まったとある焼肉店のビルの近辺にある……。
『前回の、対電忍はーーー!!』
次のシーンでは、まさかのナレーションで始まることに驚いた。実写版なのに、アニメ版のガンライコウのナレーションで始まる。
これ自体は何度かあったはずであり、これが初ではない。
それなのに驚く人がいるのは、もしかすると……?
『ガーディアンのメンバーが、様々な炎上勢力等を討伐していく中、ビスマルクは別の行動をとっていた』
『ビスマルクがガーディアンではないのは周知の事実ですが、どういう意図をもって行動しているのか』
流れている映像はビスマルクのシーンの実で、ガーディアンの炎上勢力を撃破していくシーンは割愛された。
まさかの炎上勢力は、かませですら……と言う状態と言えるだろう。
【本作はフィクションですが、忍者構文は実在します】
対電忍のアニメ及び特撮版はフィクションである。
いわゆる、ご当地ヒーローが活躍するドラマを連想すれば、話は早いだろうか?
もしくは歴史の史実を題材にしたドラマ辺り……が近いかもしれない。
忍者構文は実在するが、この作品の内容自体はフィクションなのである。
これが真実であれば、ガーディアンの使用しているガジェットがリアルで存在することになり、それが戦争の火種になることだって否定はできないだろう。
『それでは、本編の方をどうぞ!』
やけにあっさりとオープニングトークが終わった。どういうことなのか?
確かに、前回のラストシーンは……だが。
「今、ガーディアンと言ったか?」
背後から何者かが来ることを瞬時に把握し、ビスマルクは収納していた大剣を瞬時に展開して相手の剣を弾き飛ばす。
剣を弾き飛ばされたことで、炎上勢力のアバターは瞬時に戦闘能力を失い、即座に消滅。
次々と敵勢力を撃破していくビスマルクだが、その場所は秋葉原駅構内だ。
これには別の意味でも驚く声は出てくるだろう。
実際、駅を利用している会社員などの姿も散見されており、その中でバトルが展開されている。
(この調子で敵を撃破しても、本命が来るかは……)
ビスマルクが狙っているのは別であり、炎上勢力ではない。彼らがビスマルクをターゲットにしているのには別の理由がある。
一つは彼をガーディアンと認識している誤情報をつかまされた勢力が集まっていること、もう一つは……。
「お前は、まさか……?」
その人物が遂に姿を見せる。それに関して言えば、ビスマルクは想定外だった。
戦闘態勢は崩していないので、明らかに味方と言うわけではない。
次回予告と同様に、足しか映っていないシーンであり、その足もガジェットを装着しているようなものではなかった。
アーマーはあるかもしれないが、ARガジェットとは計上も異なる。
そして、特撮版なので特撮版のオープニングテーマが流れ始めた。
キャストに関してはほぼレギュラーは残っている一方で、気になるクレジットもあったのである。
【???の声】
【???】
前者の声に関しては、とあるキャラの声と言うべきか? キャスト表記を見ると、今まで出てきていた声優とは異なる人物が担当している様子。
後者の人物に関しては本当に男性キャストがクレジットされているが、本人扱いの出演ではないので?表記なのだろう。
一体、このクレジットの意味とは……?
【デンドロビウム】
最後はやはりというか、デンドロビウムがクレジットされており、彼女が相変わらずの……と言うポジションらしい。
しかし、いわゆる同じ作者の登場人物でデンドロビウムが複数人……スターシステムの類で登場しているかと言うと、それも違っていた。
いわゆるデンドロビウムが主役の『不正破壊者の我侭姫』のデンドロビウムと、対電忍のデンドロビウムは名前が同じだけの別人だ。
実際、作者も名義が異なるし、花の名前を使った登場人物がいる作品は創作だけでも探せば多く見かけるだろう。
つまり、名前が同じだけの偶然、と言うものだ。




