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アバターシノビブレイカー_対電忍【小説家になろう版】  作者: 桜崎あかり
第62話『最終決戦の序曲』

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第62話その3

「まぁ、こうなるのは予想していたけどね」


 3人の様子を近くにある喫茶店の中から見ていたのは、レインボーローズだった。


 彼女の目的は、あくまでもARダンジョンのイベントを妨害する勢力の討伐だったが、それをあっという間に蒼影(そうえい)が討伐してしまったために……出番は奪われている。


 第3者が現れて討伐するかもしれないことは、レインボーローズにも何となく予想は出来ていたのだが……。


 あのタイミングで蒼影が現れたことに関して言えば、若干だが疑問に思っている部分はあるだろう。


 別の炎上勢力の潰しあいのような物でもなく、あの場に姿を見せたのが蒼影だったことに対して……。


「そういえば、蒼影ってオリジナルが別にいるんですよね、確か」


 レインボーローズの目の前にいるのは、月坂(つきさか)ハルカだ。


 席が別々の場所しかなかったので、目の前と言っても……隣の席に近いが。


 今回の蒼影に限って言えば、ハルカが動かしていたものではない。明らかに無人操作の物だったのである。


 第3者が乗っている可能性も否定はできないのだが、あれだけの挙動で動かせるのは一握りしかいないだろう。


「あの配信によると、そういう話らしいね」


「あれ自体、やらせと言う可能性はないんですか?」


「ないみたいよ。様々なSNSでも見たでしょ? アレが偽物だったら、企業勢のVTuberまで使って配信はしない」


「そういうものでしょうかねぇ……」


 二人としても、あの配信は疑うような内容だったのは間違いないだろう。


 しかし、その夜のSNSのまとめなどを見た限りでは……偽物とは考えにくかった。


 あれだけの規模で実はやらせだったとしたら、一大事では済まない。


 仮にあの状況で炎上でもすれば、ガーディアンが直接関与してもおかしくはないだろう。



「ブラックバッカラ事件でも似たような物だったら、その辺の事情は分かるのよ」


 レインボーローズとしては、ブラックバッカラ事件の時の状況を思い出し、何となくだが今回の件を察している。


 最悪のケースになれば、それこそ警察沙汰なのは間違いないし、規制法案などが次々と成立していくのは確実だ。


 そういった悪手を使われれば、それこそ炎上勢力の思うつぼだし、ガーディアンの敗北なのは間違いない……。


(上の人間がどう思っているかなんて、あの時と全く同じとは限らないけど)


 忍者構文に関しては、遂にリアル忍者の一族まで介入し、事態は予想以上のものになってしまっている。


 ブラックバッカラ事件と全く同じとは言えないが、それでも状況が悪化しないで、何とかなっているのは奇跡と言うべきか?


 レインボーローズは、テーブルに置かれたコーヒーの入ったタンブラーをつかみ、外の様子を見守っていた。



『これはどういうことか、説明をいただきたい』


『あの動画の内容、仮に事実とすればガーディアンとしても一大事では?』


 ガーディアンの緊急会議、そこでは一部支部の男性支部長が説明を求めているのも……理解はできる。


「言いたいことは理解できますよ。しかし、あれは事実。実際に他の勢力が配信を妨害しようとして、返り討ちをしたという話です」


 秋葉原本部の男性本部長も、この状況は理解している。


 そして、別の炎上勢力等が妨害工作をしていた様子を流し、その内容を含めて理解を求めた。


 映像の内容を見て、動揺をする支部長は多いが……。


『そういえば、草加支部は顔を見せていない様子。それに、池袋支部も』


『池袋支部と言えば、デンドロビウムが単独で出撃したとか』


『デンドロビウムが? 一体、どういう事情で?』


 テレワークで参加している支部長からは、池袋支部の支部長であるデンドロビウムが不在なことに違和感を持つ支部長もいる。


 草加支部に関しては、長い間の出禁期間もあってか、あまり指摘するものはいなかった。


『池袋支部自体、前任者が不祥事を起こしたことで交代……。しかし、デンドロビウムに支部長の刺客があるかと言われると疑問はありますが』


 この話を切り出した男性支部長の所属を見ると……まさかの展開になったのは言うまでもない。


「確かに池袋支部は、炎上勢力に利用されていたのは否定しない。目的がどうあれ、だが……」


 秋葉原本部長が、その言葉の後に指をパチンと鳴らすと、先ほどの支部の支部長が映し出されていた映像が消える。


 テレワークと言うのもあって、どのタイミングでジャミングなどが行われ、まとめサイトや炎上系配信者などが紛れている可能性も否定できなかった。


 過去に類似案件があったのを踏まえ、セキュリティは強化したはずなのだが……。


『どうやら、過去の神奈川支部と同じことが再び……のようですね』


 今のタイミングでログインしたのは、春日部支部の女性支部長のホップだった。


 何故にタイミングよく姿を見せたのか……他の支部長も指摘しようとしたが、それを行わない。


 明日は我が身と言うわけではなく、別の理由もあったからだろう。


「セキュリティを強化したとしても、万が一がないというわけでもない。セキュリティは二重三重に……という事だ」


 男性本部長はホップの発言を受け、まさかの反応を示した。


 彼としては、それに心当たりのある勢力がいるのかもしれないが……。



 しばらくして、数シーン後にエンディングテーマが流れ始める。


 このタイミングでスタッフクレジットが流れているのを踏まえると……そういう事かもしれない。


「ガーディアンのセキュリティが突破されているという外部情報があったけど、まさか事実とはね」


 草加市某所で行われていたアトラクション番組の予選会場、そこに草加支部の女性支部長であるアルストロメリアがいた。


 彼女としては、最初にガラハッドからこの話を聞いたとき……内容を疑っていたからだ。


 その際のやり取りも流れていたのだが、それでも……と言う具合はある。


 二度あることは三度ある、と言うべきなのか? 神奈川支部の一件が影響して、ガーディアンのセキュリティデータが流出したのでは、と言う声も緊急会議で聞かれた。


(そちらは向こうに任せるとして、こちらはこちらで仕事をしますか)


 アルストロメリアは単に番組へ出るためだけに、この予選会場へ来たわけではない。


 そこには……何とヒャクニチソウも姿を見せていたのだ。彼女もまた、何かの目的をもって予選に参加するのだろう。



「この番組には、過去に祈羽(おりはね)フウマも参加したことがある……」


 ヒャクニチソウはARメットを脱いでおり、その外見は眼鏡をかけた知的ともいうべき印象の女性だった。


 それが何故に、あの行動に出たのかはいまだに謎だが……伏線回収されることなく、放置されるのはほぼ確実。


 SF忍者を思わせるインナースーツはそのまま着用しているためか、周囲から見て余計に目立つかもしれないが。


(真実は……)


 ヒャクニチソウとしては、フウマが何故にこの番組に出て、祈羽一族の名前を広めようとしたのか……それが分からずにいた。


 ダンジョン配信にしても、結局は名前を広める活動とは言えない、とヒャクニチソウは考えている。


 彼女としては、忍者構文が先代によってほぼすべてが公開され、自分がやろうとしていたことに関して先を越されたことは悔しかった。


 だからこそ、この予選会に足を運んでいる。



『次回、アバターシノビブレイカー、対電忍は……』


 ナレーションは秋葉原本部の男性本部長で、このパターンの予告は久々だ。


 次回予告ではあるが、エンディングテーマは流れたままだ。


 スタッフクレジットは既に別枠で流れており、それが終わった後での次回予告でもある。



【残る敵は、まさかの祈羽一族?】


 このテロップが表示される該当のシーンは、ヒャクニチソウがアトラクション番組の予選会に登場し、実際にコースを走るシーンだ。


 予選会なので、本選と同じ障害物があるわけではないのだが、それでも似たような障害物があるようにも見える。


『まさかの予選会で、祈羽一族の忍者が、またしても奇跡を起こすのか?』


 実況の男性も、次々とコースを突破していくヒャクニチソウを見て興奮をしているようで、実況にも熱が入っているのが分かるだろう。


 その後もヒャクニチソウはコースを疾走していき、ゴールまで難なくクリアをしていく。


『そのスコアは……』


 スコア計算中の所で、別のシーンに切り替わった。


 このスコア次第では予選突破をする可能性もあるのだろうが……。



【アルストロメリア、遂に出陣へ】


 このテロップが表示されたシーンでは、アルストロメリアが同じように予選会のコースを走る姿が映し出されていた。


 しかし、その途中でフィールドに変化が発生し……。


(この変化は、まさか……ARチャフグレネード?)


 アルストロメリアは、この予選会ではARフィールドを使用していないのだが、それに類する技術でコースを生成しているのもあり、コースの変化をARチャフグレネードの影響と疑う。



 それとは別のシーンでは、蒼影が出現した忍者ロボと思わしき敵と交戦、そこに姿を見せたのは……?


【次回:『直接対決! ヒャクニチソウ対アルストロメリア』】


 サブタイテロップは画面下、まさかのガラハッドの件をすっ飛ばしての展開には驚くだろう。


 しかし、ヒャクニチソウとしては別の意味でもあとがない、と言うべき場面かもしれない。


 該当するシーンでは、ARアーマーを装着したヒャクニチソウが映し出されているが……?



【予選会と言うフィールドで、二人のプレイヤーが激突する】


【ヒャクニチソウは、祈羽一族の束縛から解放されるのか?】


 提供の上下にあるスペースでは、上に最初のテロップ、下には次の……と言う具合。


 束縛からの解放……は気になる個所ではあるだろう。


 一体、次回には何が起こるのだろうか?


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