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アバターシノビブレイカー_対電忍【小説家になろう版】  作者: 桜崎あかり
第58話『ダンジョン配信と言うコンテンツ』

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第58話その2

【『ダンジョン配信と言うコンテンツ』】


 サブタイが表示された次のシーンは、先ほどのARダンジョンではなかった。


 ガーディアンの秋葉原本部である。その会議室……場所の広さは、それこそ数十人が会議をするような広さではない。


 ここで行われる会議は基本的にテレワークで行われていた。つまり、そういう事だろう。


『こちらをご覧ください』


 ある人物が見せた映像、そこには竹ノ塚で展開されているリアルフィールドパルクールの様子が映し出されていた。


 この場面に関しては中継と言うわけではない。いわゆるプロモーション映像だろう。


 プロモーション映像なので、いわゆる実際の場所でやっているわけではなく、CGによる合成とも見て取れるような個所はあった。


 リアルでARゲームの運営を止めてまで撮影するにはスケジュールなども足りなかった……のかもしれないが。


 ちなみに、このプロモ映像を流している人物は男性である。


 実際、足立区は『パルクール・サバイバー』と言う作品の影響で、パルクールを始めたプレイヤーも実際にいるし、聖地巡礼で足立区へ訪れる観光客もいた。


 それを踏まえれば、パルクール自体に何の違和感もないだろう。


『足立区ではARダンジョンよりも、リアルフィールドでのパルクールの人気が高いのは明らかかと』


 映像は引き続き流れており、それを他の支部長もチェックしている様子。


 このフィールドを走るランナーは、ARパワードスーツを装着している。


 ARパルクールでは、パワードスーツ必須の流れなので、この流れは普通なのだが……。


 生身のパルクールではけが人が出かねない、という懸念からARパワードスーツを使用したARパルクールが生まれ、更に言えばそれを題材とした小説がヒットした。


 それが『パルクール・サバイバー』である。この人物は、おそらく……似たような二匹目のドジョウを狙っているのかもしれない。



『確かに、今のダンジョン配信の現状だと、一部の名のある配信者のみがピックアップされていて、トータルバランス的にはよろしくないだろう』


『ダンジョン配信王決定戦、あれを定期的に開催できれば良いが、また炎上勢力に悪用されては同じ事か』


『だが、どうやってARダンジョンとARパルクールを融合する? 単純な足し算で解決するような案件ではないだろう?』


 同じくリモートワークで参戦している幹部勢が、彼が提案した案に関して意見する。


 ダンジョン配信が若干下火になっているのは、プレゼンをしている彼も自覚はしているだろう。


 配信王決定戦は別の意味でも妨害が入って、あの結果にはなったが……SNS炎上勢力の組織を表舞台にさらしたという意味では、行った価値はあったのだろうか。


 ARダンジョンとARパルクールを融合させるという話に関して言えば、他の支部長からも半信半疑だという意見も出ていた。


 それに加え、ARダンジョンにリズムゲーム要素を足したり、狩りゲーと呼ばれるジャンルの要素を足したりした作品もロケテストが行われており、それを踏まえても時間が足りないのでは……とも。


『確かにそう思うでしょう。いずれ、状況が変わるという意味でも……』 


『しかし、ダンジョン配信はダンジョンしんが生み出したわけでもなければ、一部の炎上勢力がマッチポンプ的に用意したものではない』


『懸念要素はあるでしょう。しかし、安易に炎上勢力やバズり勢力に便乗するのは……と言う考えの人もいるでしょうか』


『それでも、ARパルクールには……まだ未開拓の可能性がある!』


 このプレゼンをした人物、それは新宿支部の支部長だった。アニメ版を知っている人からすれば、シノビ仮面と言えば……分かる人はいるだろう。


 彼のプレゼンは単純にゴリ押しをしているような話し方ではない。力説している箇所はあるだろうが……。


『この映像を見て、ダンジョンは自由である……そう確信したのです』


 先ほども単純な足し算ではない、と言う指摘はあったはずなのだが……新宿支部支部長は力惜しで何とか納得させようとしている。


 この発言からしばらくして、周囲は沈黙に包まれていた。リモート組も声が出ないという状態になっているのだろう。



「これは何とも愉快なことを! 確かにリアルフィールドをダンジョンに仕立てたパルクールも……アリと言えばアリだがな」


 その沈黙を破ったのは、まさかの秋葉原本部長だった。立ち上がって発言するわけでもなく、普通に拍手をしての発言である。


「ARゲームも様々なジャンルが存在するが、そこで流行るジャンルは非常に限られているのを踏まえれば……こういうパターンもありだろう」


 本部長は、この案に関しては賛成する様子だったのだが、反対する支部長がいるのは当然だろう。


 ARダンジョンが拡散している中で、他のジャンルの要素を入れて失敗したら、それこそ炎上だけでは済まない。


 下手をすれば、ARゲームのジャンルそのものの存続も危ういだろう。


「試してみるがいい。新宿支部長」


 秋葉原本部長は、新宿支部長に自信があるならば試してみろ、と発言した。


 周囲が動揺したのは言うまでもないだろう。実際、他のガーディアン支部長からは反対意見もいくつか出たからである。



「あの忍者は……?」


 竹ノ塚の通行止めエリア、その近辺では忍者の目撃情報が出ていた。


 忍者と言ってもすべてが敵と言うわけではない。その証拠に……。



「このBGMは……まさか?」


「早すぎる。このタイミングで蒼影がくるなんて」


 周囲の忍者アバターも驚くしかない。襲撃をしてからわずか5分も経過しないタイミングで、それはやってきたのだ。


 専用BGMが流れ、どこかの道路から走ってやってきたそれは……まさしく忍者である。


 外見こそはロボットと言えるようなもので、全長も2メートル辺り。巨大ロボットと言うほど大きくはなく、更に言えば……。


「すでに半数以上が倒されている? どういういう事だ」


 忍者アバターの1体が、周囲を見回すと、数百レベルでいたかもしれない忍者アバターは瞬時に倒されていたのである。


 まるでマップ兵器でも使用されたかのように、大量のアバターが瞬時にしてポリゴンの塊となって消えていく光景は……周囲も驚くしかない。


 その後も、体勢を立て直す以前の話で忍者アバターを倒していく蒼影(そうえい)は、正に……と言う気配だ。


(これが忍者構文の正体なのか……)


 ガーディアンの制服を着た人物までも、攻撃されている光景を見たギャラリーの一人は、あのガーディアンも実は同類だったことを把握する。


 実際、彼らのやっていたことは忍者アバターと戦っていたのは事実だが、他のARダンジョンにも戦果を広げていたので、結局は……という事だろう。



 わずか数分のバトルシーン描写があったが、そこで蒼影は一切喋ることはなかった。


 蒼影が撃破したのは忍者アバターと、明らかにマッチポンプだったガーディアンの一部メンバーのみ。


 一部メンバーの正体が、炎上系配信者だったのを踏まえると……蒼影の目的が何かと言うのもすぐに分かるかもしれない。


 SNS炎上勢力を一掃する、それが蒼影の目的でもあった。


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