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アバターシノビブレイカー_対電忍【小説家になろう版】  作者: 桜崎あかり
第57話『野望の渦巻くリアルダンジョン』

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第57話その1

『やあやあやあ、久しぶりだねぇ……ホップだよ』


 唐突に画面に出てきたのは、どこかのファミレスにあったようなコスチューム姿のホップである。


 彼女はコスプレイヤーではなく、ガーディアン春日部支部の支部長だ。この外見ではあるが、支部長である。


 ガーディアン自体、制服が固定と言うわけではなく、北千住支部のパフィオペディルムやアニメ版の秋葉原本部の本部長のガンライコウなどの例外もあった。


 場所はガーディアン春日部支部の支部長室ではなく……イベントルームである。


 イベントルームとは言いつつも、ここで行うのは主に春日部市のイベント関係の告知とか宣伝がメインなので、そこまで派手ではない。


 むしろ、ホップのコスプレの方が浮くくらいだ。


『君たちは、とある発言を覚えているだろうか? 忍者構文が二つある、と言う発言を』


『本来言及されるはずの忍者構文はAの忍者構文であり、Bではない。それなのに、いつのまにかAとBが組み合わさったCという忍者構文が生まれていた……』


『別の意味でもびっくりですよ。ガーディアンで追っていた忍者構文はBのはず。それなのに、いつの間にかCを追う結果に。タケが追っていたのはAであり、Bはおまけだった……と言うのもあるけど』


『そうか。忍者構文のAとかBとか言っても、読者に伝わるわけはないか』


 そこでホップが用意したのは、例によってフリップだった。


 長方形のフリップには2つのワードが書かれている。


【Aの忍者構文:祈羽(おりはね)一族の歴史としての忍者構文】


【Bの忍者構文:平成終盤から判明した、SNSのネットスラングとしての忍者構文】


 おかしくないだろうか? 先ほど、ホップはCの忍者構文があると言及した。


 それなのにCの記載がないのである。あくまでAとBのみ。


『おっと、これは肝心なものを……』


 フリップを改めて確認し、何かが抜け落ちていると認識する。そして、マジックペンで何かを付け足していく。


【Cの忍者構文:制作委員会が進めようとしている物語としての忍者構文】


 これによって、3つの忍者構文が存在することになった。一体、どういうことなのか?


『詳細をここで言うと、ネタバレを通り越してここの話は冒頭だけチェックすればいいという展開になるので、あえてざっくり解説で……』


『その前に一つだけ。タケと言う人物は、過去にガーディアンのスパイ的なポジションで現れた初代の方を指します』


『これは言っておかないと、後の方で色々と複雑化してしまいますので』


 複雑化とはどういうことなのか?


 それが何を指すのかは本編で分かるという事だろう。


『Aの忍者構文は、今回ではなくて別の回で改めて言及されます。そこまでは、こういった構文があるという事を認識していただければ、と』


『Bの忍者構文が今回言及される忍者構文だったりします。今まで言われていたのは、ほとんどこちらと思っていただければ』


『Cに関しては、これでもざっくり説明なのですが……言ってしまうと、ネタバレすら通り越してしまうので』


 ホップの方は……色々と思考錯誤しつつ説明をしようとするが、下手に説明してしまうと、これに関してはネタバレだけでは済まないだろう。


『Aに関して言えば、忍者構文と言えるかどうかは謎なんですよね。古文書とか、そういった部類。そっちに近いのかもしれません』


 ここで言う祈羽一族は忍者の末裔と言うべきような存在でもある。


 それが、何故に今回の忍者構文に関係してくるのか? 謎は深まるばかりだ。


『それでは、実写特撮版アバターシノビブレイカー、対電忍の本編をどうぞ!』


 他のメンバーとは違い、ホップはやけにあっさり気味なので逆に……と言う具合はするかもしれない。


 どのような含みがあるのかは定かではないが。



【9月21日】


 まさかの日時が進んでいた。何と、21日である。30日まで、残りタイムリミットは……と言う具合だ。


 そして、日時に黒バックのシーンの次に出てきた場所、それは何と竹ノ塚駅近辺だったのである。


 竹ノ塚は様々なARゲームの聖地と言う認識もあってか、ここ数年は観光客が多くやってきていた。


【本作はフィクションですが、忍者構文は実在します】


 画面の下のテロップには、毎度の一文が表示されている。先ほどのホップの発言を踏まえると、そういう事なのか……と思えてくるのだが。


 竹ノ塚駅にやってきた男性、彼はARゲームよりも竹ノ塚近辺のARダンジョンを探しているというべきか。


 彼の服装は完全に地味な私服ではあるのだが、彼を敵視するようなギャラリーはいない。


 下手にもめ事を起こせばガーディアンが目を光らせている、と言うのもあるが。


「貴様、ダンジョン配信者だな?」


 そんな彼の目の前に姿を見せたのは、明らかに炎上系配信者とも言えるような人物だった。


 数シーン後には倒されるのは、確定的に明らかだが。口調や外見などもそういったフラグを確定させているのだろう。


「ダンジョン配信者? 確かにダンジョンで配信は行うが……そういった専門配信者ではないな」


 彼は一呼吸を置いて話すのだが、向こうが聞く耳を持っているのかは……。


「単調直入に言う。お前は雪華(せっか)ツバキか?」


 この発言をした人物に対して、ダンジョン配信者の方は困惑している。


「一体、これはどういうことだ? 自分は雪華(ゆきはな)ツバキではない!」


 話がかみ合わないとはこのことか。


 次のシーンでは、それを聞きつけたガーディアンの一人が、対応するのだが……結果は同じである。



(どこかで似たようなデジャブに覚えがあるのだけど……)


 電車から降り、竹ノ塚駅構内でトラブルを起こしていると思わしき配信者を見かけたのは、一人の私服の女性だった。


 彼女は学生カバンに学生服っぽいコスプレをしている。学校のマークなどもないので、明らかにコスプレイヤーだというのは分かるかもしれないが。


「そこの配信者の人、危ないから早く逃げた方がいいと思うよ」


 彼女は、早速男性配信者の方に話しかける。彼女の方は既に別の人物がARフィールドを展開したことに対し、おそらくは……と考えていた。


 この男性はすぐに自分の事か、と認識して避難を始めたのだが……相手の方が彼に用があるらしく、追跡を行おうとしている。


『これよりARバトルが展開されます。バトル展開エリア範囲にいるプレイヤー以外の人は、直ちにフィールド外へ避難してください……』


 駅構内に、まさかのアナウンスが流れ、駅を利用していた人もエリア外へと歩いて避難していく。


 フィールド展開には若干の猶予もあるのだが……向こうがそれを許すかどうかは定かではない。


「久々にガーディアンなども関係なさそうだし、これは……」


 彼女の正体、それは自称プロゲーマーのレインボーローズだった。


 ある意味でもARゲームでは実力者であり、それこそ……と言う人物でもある。


 つまり、この炎上系配信者は戦う相手を間違えた、と言ってもいい。



『対電忍、それはありとあらゆる炎上を阻止するために存在する、究極の切り札』


『彼らの存在がSNS炎上を阻止し、今のネット環境があるものだと、誰もが錯覚した中で、事件は起きた』


『SNS炎上阻止を目的として動く忍者と、承認欲求などのために炎上を行う勢力との対決を描いた……物語』


『それが、アバターシノビブレイカー……後に対電忍として語られる都市伝説、もしくは忍者構文である』


 ナレーションは秋葉原本部長の男性によるもの。ガンライコウではない。ただし、ガンライコウも登場するが。


 そして、このナレーションの後にオープニングが流れ出した。


 演出などは実写版とアニメ版では違う個所もあるだろう。


 オープニングにおけるクレジットの流れも、最初は原作で、次に表示されるのは脚本担当……アニメ版とは違う。


 アニメ版と同じと言えば、一部のスタッフも同じである。特撮で背景制作……というと、あまり聞かないだろう。

 

【配信者:○○○】


 今回の異色ともいえるのは、実在する配信者がゲスト出演をしているという事である。


 特撮作品でも、一部作品で実在するお笑いコンピ、大御所俳優などが実名で出演をしたこともあった。


 そう言った事例を踏まえると、今回のケースはかなりのイレギュラーなのだろう。


【デンドロビウム】


 今回も例によって一番最後にクレジットされていたのはデンドロビウムである。


 その前にも一部ガーディアンは出演し、レインボーローズの名前も確認できた。


 一体、何が始まるというのだろうか?


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