第56話その2
・2025年8月5日付
TALES版移植に伴う修正。
経緯品→景品
次のシーンでは、若干のダイジェスト版という事もあり、先ほどの梅島にあるARゲームフィールドになっていた。
本編も同じシーンからのスタートだが……冒頭でもいくつかのシーンがカットという気配がするのは明らかだろう。
ダイジェストとは……そういう事かもしれない。
【『全てはひとつに』】
ここでサブタイも右下に出てくる一方で、先ほどのビスマルクはどこにいるかと言うと……。
「なるほど。ここがARゲームフィールド……」
周囲を見回し、各種ゲームを見て回るのだが、ビスマルクはフードを深くかぶって素顔を隠す。
入場時は顔を見せたものの、それ以降は問題ないと言われたので、フードで顔を隠しているようだ。
「まさか、ここにも来ていたとは。何としてもガーディアンからは隠れなければ」
一人の男性の声がビスマルクの耳に入っていたのである。この男性はSNS炎上勢力なのかは不明だが、ゲームの方には見向きもしていない。
彼がターゲットとしていたのは、クレーンゲームのコーナーの一角である。ぬいぐるみやフィギュアと言った物がある中で、彼がプレイしていたのは……。
(イラストの描かれたプレート?)
このプレートをアームでひっかけ、該当する地点まで運べば入手となる様子。ルールとしては、他所でも見かけるクレーンゲームと変わりがない。
しかし、問題はこのプレートにあったのである。プレートの正体、それは……。
「やはり、そういう事だったのか。このプレート、まさかの……」
発言が若干支離滅裂にも聞こえるようだが、彼の手にしたプレートをよく見ると、書かれているイラストではなく、彼が重視していたのはプレートに書かれている数字だった。
いわゆるシリアルコードと言うべきか? それをあるものに入力し、プレートに関してはそのまま放置している。
そして、彼はその場を後にした。周囲を気にする様子もなく、足早に去ったので何かあるとは思われるが。
(いわゆる非公式な設置物……とでもいうべきか)
ゴミ箱に捨てられていたわけではないので、それを人がいなくなったのを確認し、ビスマルクは回収する。
稀に駅のホームなどの空きスペースに設置された、クレーンゲームっぽいもの。
ものによってはロッカーの暗証番号が景品で入っており、それを入力してロッカーを開け、景品を入手と言うものもあるだろう。
これに関しては数日前から設置されたクレーンゲームで、別の機械が入荷するまでの間と言う期限付きだった。
その一方で、その期限と言うのが20日までだったという。明らかに何かがおかしい。
そう思ったビスマルクは、シリアルコードっぽいものの書かれたプレートをARフィールドの運営へ提出する。
「これはさすがにアウトでしょう。景品的な意味でも」
ARフィールドの運営スタッフの男性は、このプレートを見て、明らかにアウトな部類だと判断する。
そして、すぐに指示を出してこの機会を設置したメーカーに問い合わせを行う。
まさかのスピード展開だが、これには別の理由もある。
「アウト、と言うと?」
この場でもフードを深くかぶって素顔を隠すビスマルク。この対応に関して言えば、スタッフからも許可は得ている。
「これは公式品にも見えるかもしれないが、実際は違法なコンテンツです。明らかに第3者が炎上を目的として……」
スタッフは明らかに、これがアウトなものだと判断した。
その正体とは、大手VTuber事務所の引退したVTuberの3Dモデルをコピーしたもの……。それが拡散したら一大事では済まないだろう。
「迷宮の正体は、そういう事だったのか」
次のシーンは、まさかの後半パートだった。この台詞の主は雪華ツバキである。
ざっくりとダイジェストにしたなぁ……と言う位の話をぶった切る編集方法だろう。
しかし、劇場版と連動している話であれば、劇場版限定キャラが顔見せ程度で登場、話をさっくりと触れて終了みたいなパターンだってある。
実際の本編がどれほど触れていたのかは不明だが、規模としてはそのレベルは超えているかもしれない。
後半のシーンは、オープン寸前だったのが中止になったというARダンジョン、そこで展開されたダンジョンを舞台としたパルクールだった。
内装を見る限りはそこまでボロボロだったり、廃墟寸前みたいなものではない。
何故、この状態でオープンできなかったのか……と言う衝撃はあるだろう。
ツバキは、このARダンジョンを見て、別の意味でも驚きを隠せずにいる。
「ネット上で噂になっていた廃墟ダンジョン……。リアルダンジョンが次々と閉鎖している中、おかしいと思ったら、そういう事か」
一方の人物は、祈羽フウマだった。彼の方はARパルクールを終えたばかりだというのに……と言う気配だが。
両者ともに、新型ARアーマーは装備しているが、いわゆるパルクール仕様のパワードスーツだった。
ツバキの方は例のロボットもあるかもしれないが、高さ制限的に、ここでは使えない様子。
両者ともに共通規格に加えて共通の意匠を持ったアーマーである。
実写版でこのアーマーを見るとは予想外だが、実はアニメ版で登場するアーマーであった。
「それを踏まえれば、そういう事にも……」
ツバキの方は何か言おうとするが、ダンジョンを走っていく中で忍者と思わしき敵と遭遇し、それどころではなくなる。
忍者の攻撃を回避しつつ、ダンジョンの奥へと進む二人は何を発見するというのか?
ダンジョンのテクスチャーや様々な箇所で発見もあるであろう二人のパルクールシーンが数分流れ、奥のゴール地点が見えたところでダイジェスト版が終わった。
ツバキ及びフウマのパルクールアクションは、ある意味でも吹き替えと思われがちだが、実は違っていたのである。
スタントシーンでは別人が担当と言うケースは、特撮作品でも見られるシーンではあるが。
ダンジョンの構造やテクスチャーなどの細部を踏まえると、あちらこちらでCGを使っていることもあって、アクション吹き替えをしているのではないか……と思う視聴者はいるかも制は否定できない。
果たして、その構造とはどうなっているのか?
『最後に簡単なあらすじを……ここに』
再び春日野タロウが姿を見せ、ノートパソコンで表示している公式サイトのあらすじを読み始めた。
【梅島のARフィールドに潜入したビスマルク。彼は別の意味でも他社企業が関与している可能性のある場所へと潜入していたのである】
【ゲームに関しては、そこまで違法性があるものが存在するとは思えず、引き返そうと思った矢先、ある男性の声を聞き、その衝撃的な場面を目撃した】
【彼がプレイしていたもの、それは大手企業に所属していたが引退したVTuberのアバターモデルのコピーが景品になった、クレーンゲームだったのである】
【その詳細をビスマルクが通報し、運営側も設置したメーカーをさぐるのだが、その正体は何と某週刊誌を販売している出版社の関連会社だった】
【その一方で、廃墟ダンジョンと噂されているダンジョンへ潜入する雪華ツバキと祈羽フウマは、そのエリアの途中で衝撃的な光景を見るが……】
タロウは途中まではあらすじを読むものの、途中で切り上げてしまう。
これ以上は、ネタバレになってしまう危険性もあるのかもしれない。
『この後は後半戦。事前に告知していたメイキング映像を見ていただきたいと思う』
『むしろ、このタイミングで深刻なネタバレを公開して、第9章が途中打ち切りになったら……』
しれっととんでもないようなことをタロウが言ったような気がするが、後半は対電忍実写版のメイキングをお送りしようと思う。




