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アバターシノビブレイカー_対電忍【小説家になろう版】  作者: 桜崎あかり
第4話『忍者VTuber、始めます』

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第4話その3

 7月も残り1日、そんな中で大きな動きがあった。それはガーディアン側の動きである。


「一部のアフィリエイトサイトで、やはりというかこれか」


 ガーディアンの男性メンバーがネットで発見したもの、それは以前にも事務所を摘発した時に発見された拡張現実ゲーム用の缶型チャフグレネードである。


 しかも、それが画像付きで通販されているという現実は、別の意味でも驚きを隠せないものだった。


 ウイルスと呼称するにしても電子的なサイバーウイルスが一般的なため、ガーディアン側でもこれをチャフグレネードとすることにする。


 原理も缶の中に入っている物質を空気中に散布し、システムを一定の時間だけ不具合を起こすという物なので……。



「やはり1つを摘発しただけでは、同じことの繰り返し。製造工場の摘発が最優先か」


 やはりというか、アフィリエイトサイトでこのアイテムを扱っている場所が多く、それを一斉摘発するにしても時間がかかりすぎていた。


 その中で、突如としてガーディアンに大きな動きがあったのは、忍者構文の存在があったからである。


『忍者とはありとあらゆる炎上を阻止するために存在する、対電脳の刀。忍者とは悪意ある闇の全てを斬る存在でなければならない。以下略……』


『ガーディアンは我々まとめサイトに対して、強硬策でサイトを閉鎖に追い込もうとしている』


『数兆円をわずか30分足らずで稼ぐような我々に対し、恩を仇で返しているのだ』


『ガーディアンの存在は許されない。我々は、彼らに対して宣戦布告を宣言する』


『それこそが、新たな忍者の存在の……』


 文字は途中で途切れているものの、これを書いたのはまとめサイト側である。


 最初の冒頭までも改ざんされている以上は、確実に釣り記事やフェイクニュースの類……に見えるかもしれないが、それでもガーディアンに対しての挑戦状には変わりない。


「この段階で釣り記事の類なのは百も承知だが……」


 ガーディアンの男性メンバーの一人は、記事に書かれていた場所へガーディアンを向かわせようと準備をしていた。


 しかし、それが急転したのは……記事を見てから1分もたたない時間に、あるニュースが報道されたことである。


「このニュースは……何かの間違いでは?」


 ガーディアンメンバーも疑うそのニュースとは民放の報道バラエティーではなく、国営放送のニュースで報道されていた。


 このレベルは、もはや大事件といってもいい。


 テレビを見ていた一部のガーディアンメンバーは、そのニュースの内容に言葉も出なかった。


 この場合、先手を打たれたというよりは……別の事情もあるかもしれないが。



『たった今、入ったニュースです。埼玉県内で違法なツールを転売していた業者を一斉摘発したと、警察で発表がありました』


『摘発された業者の入ったビルでは……』


 このニュースを見た一部のガーディアンメンバーは悔しがった。


 警察が摘発したのは、別の一件もあったのかもしれないが……目的の業者は同じだったので、ある意味でも先手を打たれたと認識している。


 しかし、警察が摘発した理由はガーディアンとは違っていた。


 ニュースの続きを見ると、違法なツールは一連のチャフグレネードではなく、チップにも似たようなものである。


 このチップをパチスロなどに取り付け、別の装置と一緒に使い不正に当たりを操作できる……というものらしい。


『警察では引き続き、同様の転売業者が国内にいると考えており、調査を進めております』


 アナウンサーの話し方や言葉を選んでいるところから、警察が動いた理由は拡張現実ゲーム関係ではなかった。


 そもそも、拡張現実ゲームの一件は警察も手を出せないはず、なのだが……。


「この件は他のガーディアンにも情報共有を」


 他の指揮官クラスのメンバーにも、転売業者の一件に関して情報共有を指示する。


 彼は、この一件がすぐに終わるとは思っていない。全ては、まだ始まったばかりなのでは、と。



 一連のニュースは様々な人物が見ていたが、興味を示さない人もいれば、この一件で何か動きが起きるのでは……と思う人物もいた。


「転売ヤーといっても、これですべてが滅ぶわけではない。まだまだ、氷山の一角」


 草加市所属のガーディアンは、ニュースと一連のデータを見て、思う部分があった。


 他のジャンルの転売ヤーを摘発しても、それとは別ジャンルに乗り換えられてしまえば……というのもあるだろう。


「さて、これを使う時が来たかな」


 彼が用意していたもの、それはくノ一をベースにしたアバターである。


 ガーディアンの潜入捜査用で用意して使う予定だったが、違う用途で使うのもありだろう、と。


 パソコンの画面には、既に完成済みのアバターが表示され、そこにはタケという名前もあった。



 その一方で、ログアウトして情報整理をしようとした(ゆき)ツバキにも、転売業者のニュースに関して耳に入っていた。


「特定ジャンルで荒稼ぎをしようという人物は、ここにも……」


 ツバキは今回のバーチャル空間へ行った際のアバターを使用して何かできないか、ふと考える。


 姉みたいなバーチャル配信者をやるにしても、そのノウハウはないだろう。


 姉に聞きながらやってみるという手もあるが、さすがに姉に迷惑をかけるわけにはいかない。


 彼女は企業勢ではないにしても、そこそこの知名度があるバーチャル配信者というのもあるからだ。


「やってみるか。バーチャル配信者」


 そして、ツバキはSNSの現状を何とかしようとするため、バーチャル配信者を始める決意を固めたのだが、すぐには始められない事情もある。


 どのジャンルでやるのか……という点は、あくまでゲーム以外という事は間違いないだろう。


 迂闊にゲーム配信者の雪ツバキと同一人物である、というバレが拡散するのを防ぐ狙いもあるのだが。


 雪ツバキとしての活動を継続しつつ、バーチャル配信者をやるには難しいかもしれないが……どうなるかは、まだわからない。


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