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アバターシノビブレイカー_対電忍【小説家になろう版】  作者: 桜崎あかり
第48話『炎上の裏で、暗躍する存在』

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第48話その2

『アバターシノビブレイカー、ブルーレイ、発売するよ!』


 その後のCMで流れたのは、対電忍のブルーレイBOXのCM。


 ナレーション担当は、ガーディアン草加支部の支部長ことアルストロメリアだ。


【各巻12話収録。各4話収録×3枚BOX仕様】


【同封ブックレットは、デジタルバージョンのダウンロードコード付属】


【映像特典あり。BOX1はオープニング及びエンディングのノンテロップ版とCM映像及び特報映像を収録】


 各特典は初回限定ではなく、永続特典になる模様。その他にも映像特典などもあるようだが、そこまで量が増えるようなものではない様子。


 CMのパターンはもしかすると、現在放送されている範囲+αな気配もするかもしれない。


 今回のCMでは第5話と第6話の映像が集中的に使われていた。さすがにディレクターズカットとは書かれていないので、新規シーンなどはない様子。


 他のすでにCM済の回から引っ張っている可能性はあると思うが、先の話に関しては……入っている様子はなかった。


『BOX1は11月1日発売!』


 値段の方もBOX1で9800円(税別)。税別1万円弱で全12話を……と言うのも非常に大きい。



「あなたの些細な発言が切り取られ、様々な炎上に悪用される場合があります」


「悪意ある発言が拡散する速度は、予想できるようなレベルを超えているのです」


「AIですら計算できないSNS炎上の規模、そこから起こるであろう犯罪の数々……皆さんはどう対応しますか?」


 まさかのナレーションと、テレビ画面に表示される様々なまとめサイト……これらのサイトは架空のものだが、内容はかなりの範囲で生々しいものだ。


 いわゆるトラウマ系CMと言うわけではないのだが、まさかの対電忍の枠で、こうしたCMが流れるというのも異例中の異例だろう。


 スポンサーがいなかったわけではなく、スポンサーの不祥事で降板、と言うわけでもない。


 これは意図したものなのだ。


【SNS、炎上しない。炎上させない。炎上に加担しない】


【今月はSNS炎上予防週間です。炎上により失われるものは、ふとした承認欲求で得られるような物よりも大きいのです】


【失われたものを取り戻すのは、計り知れない時間がかかることもあります。それを瞬間で崩壊させるSNS炎上はやめましょう】


 ある意味でも、これらのテロップに関して言えばトラウマと思う人物はいるだろう。


 しかし、ブラックバッカラ事件や以前のガーディアンが鎮圧してきた事件と、ささいなSNS炎上は同じと言える。


 そこからの教訓として、SNS炎上は犯罪行為であり、大規模なテロ行為と同義である……という事を小学生の時から義務教育で教えるような活動も平成末期から始まっていた。


 それを踏まえれば、この30秒CMが何を伝えたいのかは、何となく分かるだろう。



 この他にも様々なCMが入り、CM明けには、まさかのシーンからスタートする。


「これで、ひとまず一通り……かな」


 上野駅近辺、そこでレインボーローズが見ていたのは周囲に倒れている忍者だった。


 実はCM突入前にも戦っていたりはしていたのだが、やはりというかバッザリと内容が簡略化されている。


 相手が相手なので、どうしようもないのは確実なのだが……。


 フィールドは解除されており、バトル自体が終了したことを意味しているのだろう。


「やっぱり、か」


 倒した忍者がポリゴンの塊になって消滅するのを確認し、月坂(つきさか)ハルカも別の意味で驚いている。


 何に対して「やっぱり」なのかは、以前の秋葉原襲撃などを重ねたのだろう。


(同じようなことを繰り返して、何を考えているのだろう)


 ハルカは、ふと秋葉原襲撃の事を思い出す。


 回想シーンでも、その時の映像が流れていた。今回は、いわゆる総集編と言う意味合いもあったのである。


 そのシーンでは、確かにある存在が駆けつけていたのだ。それが蒼影(そうえい)、忍者構文に存在するであろう伝説の忍者……。


 蒼影に乗り込んだのも、ちょうどこのタイミング。それから、話は流れるように進んでいく……のかもしれない。


 しかし、今回に限って言えば蒼影は姿を見せていないので、そこまで事態が大きくなっていない、と判断した可能性は否定できないが。


「どうしたの?」


 考え込むハルカの表情を察したレインボーローズは、ハルカの顔を見つめる。


 特にハルカが、この行動で驚く様子はないものの……。


「ごめん、ちょっと考え事を……」


 顔には見せないものの、ハルカは何か嫌な予感を今回の状況に重ねていた。


 明らかにブラックバッカラ事件と被るような、何かが忍者構文の事件には存在している。



『ここ数日、報告がなかったようだが……事情を聞かせてもらおうか?』


 ガーディアン秋葉原本部、そこでは一部のテレワーク勢の支部長がある人物に詰め寄ろうという場面があった。


 その人物とは、渋谷支部長ことリーガルリリーだったのである。会議にはリモートで出ていたこともあったが、ここ数日は不在が多い。


 新宿支部はシノビ仮面の計画が進んでいることは秋葉原本部長も把握しているが、リーガルリリーの方は定時報告もなかった。


『こちらとしても金を出しているだけ……では、周囲の人物が納得しないのはわかるだろう』


『ガーディアンの支部長である以上、それ相応の結果を出してもらわなくては』


 他の支部長も似たような発言しかしていないが、それだけリーガルリリーの行動に関してはしびれを切らせている可能性が高い。


 実際、前の渋谷支部長は渋谷区長との癒着とも取れなくもないようなケースが報告されたことで、解雇されている。


 それを受けての後任だったが……。


「前の渋谷支部長がやっていたことを踏まえれば、確かに言いたいことはわかるでしょう」


 リーガルリリーのいる場所は渋谷支部の支部長室で、ARメットは装着してのテレワークとなっていた。


 この場面で過去のエピソードが流れ出す。やはりというか総集編の……。


『バーチャルシブヤで利益を上げるために、ハロウィンや年末のカウントダウンもバーチャルシブヤで行い、そちらへ誘導する……』


『一連のハロウィン暴走を踏まえて、バーチャルシブヤへ誘導する動きは、確かに悪いものではなかった。むしろ、推奨されるだろう』


『しかし、前支部長はあまりにもやりすぎたのだ。彼は、別の意味でもリアルイベントを全てバーチャル空間へシフトさせ、そこで利益を得ようとした』


『リアルイベントが全て悪だと決めつけたうえで、ありとあらゆるイベントをバーチャル空間で行おうという暴挙に出たことは感心できない』


『それでも渋谷区長は渋谷周辺で事件が起きるよりも……という事でバーチャルシブヤプロジェクトを進め、あの結果になったのだ』


『ある意味でもガーディアンが行おうとしていたプロジェクトを、あのような形で売り込むこと自体……政治利用と言われても当然の結果だ』


 他の支部長からは前支部長に関する批判的な意見が多く聞かれた。


 ガーディアンの技術を政治の駆け引きで使うのは禁止、としている事を忘れ、自分自身の地位を維持するために、あのようなことが続いていたかと言うと……。


「それと似たようなことは、すでに池袋支部でも行われようとしていました。それに、ARチャフグレネードも……」


 リーガルリリーがテレワーク勢に見せたもの、それは200ミリリットルのペットボトル位の大きさの空き缶だった。


 今までは、もう一回り大きいものも存在し、小型化と言う意味では100円ライター位の大きさのものもある。


 小型化は出来ても性能が同じようなレベルでは、到底だが実用段階とは言えないだろう。


 その中で、リーガルリリーが今回見せているものは……。  


【アバターシノビブレイカー】


 このタイミングのCMとなった。


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