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アバターシノビブレイカー_対電忍【小説家になろう版】  作者: 桜崎あかり
第4話『忍者VTuber、始めます』

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第4話その2

【君の探しているダンジョンを知っている】


 このメールを見て該当するバーチャル空間へ向かう(ゆき)ツバキは、さっそく自身のアバターを準備、バーチャル空間用のセット一式も起動させ、該当エリアへ。


 バーチャル空間のアバター一式は、配信を始めようとした際にしれっとそろえたものだ。姉もバーチャル配信者をやっている関係だろうか?


 しかし、バーチャル配信者よりもゲーム実況の方に興味があったので、そちらをすることになったのだが。


 その外見は、ある意味でも忍者。それこそ、忍者構文のテンプレに使われそうな忍者と言える外見だった。


 さすがに蒼影(そうえい)の一件もあるので、カラーリングは黒ベースの忍装束、武器は未所持と……ある程度は察している。



 該当エリアへ向かう道中で、ツバキはとある人物に遭遇した。


 向こうからツバキを発見したような反応ではあるのだが、ツバキは彼の事を知らない。


 全く知らないような人物に話しかけられたら、それこそ裏バイトの勧誘や特殊詐欺などを疑うような情勢ではあるのだが……。


「君も、あのダンジョンをお探しかな?」


 金髪の男性で、白いスーツ、ネクタイはしていないようだが……服装はそこそこ配慮しているような人物である。


 バーチャル空間で服装をそろえるのも、なかなか難しい話ではあるのだが。


 彼の口調を踏まえると、明らかに何かを知っているような口ぶりでもある。


「あのダンジョンというと……」


 ツバキは、ふと言葉を濁す。知らないような人物にダンジョン(しん)のダンジョンの事をさらっと話していいのか、というのもあるが。


「特に隠さなくていいよ。こちらも色々と言われ慣れてしまっている」


 警戒していたツバキに対し、この男性は警戒を解いてほしいと発言した。


 一体、彼は何者なのか? たずねようとはしたが、それに関しては「聞かないでほしい」とのことだった。


「君の探しているダンジョンは、これだろう?」


 彼がノートパソコンを片手に見せた画像、それはダンジョン神のダンジョンである。


 一体、彼は何を知っているのか? あえてツバキは突っ込みをしなかったが、向こうもそれを察している。


(いわゆる突っ込み待ち……なのか?)


 ツバキはふと思うが、あえて発言をすることはしなかった。


 理由は自分の外見もあるのだが。


「このダンジョンは装備を整えられる武器屋と防具屋、道具屋といった店も近日オープン予定だ。気になったら来るといい」


 まさか、バーチャル空間のダンジョンで武器防具を購入するのか、と指摘したい所だったが、彼はツバキが武器を未所持というのを踏まえて、こういう発言をしたのだろうか? 


「どうして、これを?」


「ここ最近は多くの冒険者が来ているようだが、妙な事件が起きていてね。それも忍者がらみで……」


 ツバキの問いに対し、彼は忍者がらみで様々な事件が起きていることを話す。


 本当に、彼には危機管理というワードがあるのだろうか……という位には、色々と話すことに対してツバキは警戒をせざるを得ない。


「おっと、もうこんな時間か。長話をしてしまって、申し訳ない」


 最後は彼が長話をしたことに関して謝罪をし、その場を去っていく。


 去り方は徒歩だったため、もしかするとセールスだったのでは、とも思い始める。


 実際、他のアバターにも話しかけていたので、そういう路線だった可能性も否定できないが。



「色々と情報が集められたか」


 金髪の男性は、ある程度の情報を入手できたことを判断し、誰も見られていないような場所でバイザー付きのメットを装着する。


 装着は手にメットを持ち、それから被るというものではなく、瞬時装着されるタイプだ。


「しかし、いまだに忍者構文の全貌は明らかにならない。忍者構文とは……」


 その男性の正体、それは何とダンジョン神だったのである。


 普段は第5エリアでモニタリングをしているような人物が、他の彼とは無関係なエリアで情報を収集する……これはいったい、どういうことか?



 最終的にツバキはダンジョン神のダンジョン近くにあるギルドで、知人と合流を果たした……と思ったが、そこに姿はない。


 ギルドの受付に問い合わせたところ、既にダンジョンへ向かったとのこと。


 しかし、しばらく待っていると通信アプリが起動し、そこでサウンドオンリーだが知人と連絡が取れた。


 そこでダンジョン神のダンジョンについて詳細を知ることになるが、すぐにエントリーすることはなかったのである。


 そして、彼は改めて忍者構文の詳細を知るのだが……。


「最初の一行以外が、すべてでたらめ……だと?」


 ツバキもさすがに、これには困惑をせざるを得なかった。


 忍者構文、一部は全文でフェイクが仕込まれている場合もあるが、そもそもがフェイクニュースだったのである。


『忍者とはありとあらゆる炎上を阻止するために存在する、対電脳の刀。忍者とは悪意ある闇の全てを斬る存在でなければならない。彼らが斬るのはあくまでも悪意ある炎上であり、それ以外のものを切り捨ててはならない』


『……この冒頭以外は、すべてがユーザーによって作られたフェイクというわけだ。いわゆる構文になったり、場合によっては大喜利の題材に使われる事だってあるだろう』


 このアプリ自体、ダンジョン神のダンジョンで使用している。


 さすがにノイズなどで通信が切れたりはしないが……。


「忍者構文は分かったが、あの蒼い忍者はいったい?」


『アレに関しては、動画サイトでは蒼影(そうえい)と名付けられている。正式名称なのかは疑わしいが』


 他にも情報は得られたが、今回はあの人物との長話もあったので、この辺りでログアウトとなった。



 一方で、別の配信者の女性がアクセスした情報、そこにも偶然だが蒼影に関して書かれていたのである。


(これが、忍者?)


 見た目は明らかに忍者ではあるのだが、デザインベースにはロボットと言えなくもない。


 このデザインを見て、彼女はふと何かを思い始める。


 ロボットの動かせそうなダンジョンを探す予定が、まさかの忍者ロボットを作ってみよう、と。


 一方で、彼女はこの忍者の漢字読みを蒼影(あおかげ)と思っていた。漢字の読みとしては、あながち間違いでもないのだが……。


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