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アバターシノビブレイカー_対電忍【小説家になろう版】  作者: 桜崎あかり
第43話『ハンゾウ、衝撃の正体』

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第43話その1

【9月14日。ダンジョン配信王決定戦、最終日】


 アバンタイトルは、ここからのスタートである。


 ダンジョン配信王決定戦の最終日、VRダンジョン部門の決勝会場で事件は起こったのだ。


 これには配信を視聴していた者たちが驚いたに違いない。



 レース開始後、二手に分かれるような道が無数あり、そのある場所で決勝ラウンドに進出した4人の配信者は二手に分かれる。


 別れ方は3人と1人で、明らかに1人の方が有利にも思えた。AR部門でも二手に分かれるルートでは2人と2人であり、こういう偏り方ではなかったのだが……。


「予想通りだ。やつは別のルートへ向かった。これで邪魔をするような配信者は誰もいない」


 青い忍装束の種子島ライフルを持った忍者は、そのライフルを忍者アバターのハンゾウに向ける。


 明らかにその目的は妨害ともいえるだろう。VR部門では武器の持ち込み自体は禁止されていない。


 その理由として、ARとは違ってモンスターのような障害物も存在し、それに対処するために使用が認められているからだ。


「致命傷にならなければ、妨害を取られることはない。AR部門ではアウトな戦法でも、こちらならば……」


 黒い忍装束の人物も、大型の太刀と言えるような武器を構え、ハンゾウに攻撃する気満々である。


 太刀と言っても、その刃はビームの刃。VR空間なので実体剣と言うわけではないのだが……AR同様に実体剣などの部類の持ち込みは禁止だった。


 実体剣でアバターを斬ったとしても、ダイレクトにダメージが配信者に行くわけでもなければ、出血するわけでもない。


 この辺りは銃刀法違反なども関係してくる可能性が高いだろう。VR空間で銃刀法もないような気配はするが、ARフィールド合わせの可能性がある。



 ダンジョン配信王決定戦では部門別に特別ルールがあり、AR部門では配信者の安全を考慮して相手への妨害行為は即座に失格となっていた。


 故意の接触は当然だが、アクシデントによるものでも審議が入り、それが故意と認定されれば失格判定を取られる。


 実際、準決勝では別の配信者が相手への妨害行為を受け、即座失格となったケースもある位だ。


 先ほども銃刀法に関して言及したが、ARフィールドで実弾や実体剣を使えば、問答無用で逮捕となるだろう。


 両部門共通で実体剣及び実弾を撃てるような銃の持ち込みは禁止されていたのは、そのためかもしれない。


 それに加え、VR部門ではチートツールがAR以上に厳密に設定されており、公式アプリであってもVRガジェットに有利と言うものはレッドカード、失格となる。


 運営が許可したアプリであれば使用は認められるが……VR部門でも何人かが不正ツールを持ち込んで失格となった。


 それは予選での話であり、準決勝ラウンドの話ではないのだが。



『まぁ、こうなるとは察していたけどね』


 突如として、ハンゾウから声が聞こえる。決勝ラウンドまで喋ったことがなかったので、尚更だが襲撃した両者とも驚いた。


 しかも、この声はボイチェンで男性声にはなっているが……と言う路線だろう。


「この声は、貴様はまさか……!?」


 黒い忍装束の人物は、声を聞いて誰なのかを察した。それが確かならば、推薦枠で出られるのもおかしくないレベルの人物である。


 その後、相手が違いすぎるという事で太刀を収めようとも考えていたのだが、それだけで向こうが許すとは到底思えない。


 向こうとしては既に敵意を向けた段階で……敵と認識しているのであろう。


「何を躊躇している。こちらは今まで隠し通していたチートツールもあるのだ。あのハンゾウにも負けるわけがない」


 青い忍装束の人物は、ここでハンゾウというよりも、この人物の地雷ワードを踏み抜いてしまう。


 これによって、ハンゾウから何かの光があふれだし、そこから見せた姿は……周囲の予想を裏切るような展開になった。


『その発言が来るのを待っていたのよ。私としては、ね』


 次の瞬間、ハンゾウのVRカムフラージュが解除され、そこから姿を見せたのは……赤いシノビブレイカーだった。


 その形状はハンゾウとはかなり外装も異なり、デザインも忍者と言うよりは本当の意味でもロボットと言える。


 シノビブレイカーに関しては全長的な意味でも、ギリギリの範囲かもしれない。


 しかし、これによって雪華(ゆきはな)ツバキのみが所持しているであろうと思われていたシノビブレイカーが、複数体あったという事になる。


 実際は配布が中止になり、複数体出来るようなパーツは残されていたのだが……予想外の展開だろう。


 では、この人物はどうやってシノビブレイカーを入手したのか?


 もしかすると、公式ホームページ掲載のスピンオフ小説などを参照の事……と言う部類かもしれないが。


 そして、オープニングテーマが流れ始めた。



 CM中、対電忍の公式ホームページを検索すると、確かに一部でスピンオフと思われるミニ漫画やショートストーリーが掲載されていた。


 そのいくつかは、まさかのガーディアン草加支部の他メンバーの日常やブラックバッカラ事件と忍者構文をつなぐストーリーもある。


 ちなみに、ダンジョン(しん)をメインとしたプロローグも公式サイトで配信されたものが由来となっていた。


 後に対電忍のテレビアニメ放送に合わせ、プロローグが放送されたのだが……。


 シノビブレイカーに関する部分は、本日の放送後に公開らしい。


 この辺りのエピソードも放送に組み込めれば、と思う視聴者はいるかもしれないが、制作委員会としては話が遠回りして進まなくなる、引き延ばし政策を行いたくない……と言う事情もあるのだろう。

 


「ついに尻尾を見せたか……アヤネ」


 この配信を池袋支部で見ていたのは、池袋支部の支部長代理の男性だ。


 支部長特権のARガジェットなどは所持しておらず、構成員の制服なので、事実上の代理と言えるだろう。


 現在、池袋支部は様々なトラブルもあってか、代理の男性が支部長をしている。


(しかし、アヤネが今まで活動していたという形跡は見られないが……どういうことだ?)


 ダンジョン配信者の一人であるアヤネ、それがハンゾウの正体でもあった。


 アヤネは配信者としては有名ではあるのだが、ダンジョン神のダンジョンが出てきてからの途中からは活動停止なのか……と言うレベルで姿を見せていなかったのである。


 それに加え、公式ホームページ掲載のスピンオフでは配信活動をしているようだが、そこからフォロワー100万人到達は、かなり難しいレベルと言えるだろう。


「これは、まさか……」


 その後、ふと気になったことがあったので対電忍の公式ホームページを検索したところ、まさかのものを発見する。


 アニメ本編中に対電忍のホームページが存在するとは、一体どういうことなのか?


 メタ的構造という意味でアニメ公式ホームページが友情出演しているのか、それとも……。



「あっちゃぁ……本気(マジ)でやっちゃったよ、この人」


 この光景を見て、頭を本気で抱えたのは配信を見ていたウェルウィッチアである。


 密かにダンジョン王決定戦を公式サイトで見ていたのだが、これには言葉を失うしかない。


 仕事中に視聴しているわけではなく、休憩時間中に見ているわけだが。


(これ、マスターが見たら本気で何かしてくるよ、きっと)


 ここで言うマスターとは、もちろんだが春日野かすがのタロウの事である。


 そうなると、ウェルウィッチアはアヤネの正体を知っていることになるのだが……それもそのはずだろう。


 彼女がこの配信を見ている場所は休憩室ではない。地下のデータベースなのだ。


 データベースでハッキングが行われたというメールを受け取り、それをチェックしていたのだが……大きなハッキングはなかった。


「しかし、このタイミングでハッキングを仕掛けるなんて、仕掛けた人も不幸だったというしかないわね」


 ウェルウィッチアは別の意味でも性格は悪い。


 過去にハッキングを仕掛けてきたハッカーに対し、カウンタープログラムを仕掛け、ハッカーのパソコンのデータを丸ごと消滅させたようなケースもあった。


 一方で、ハッカーから得られそうな情報までも消してしまったのは……ネットガーディアン内でも問題行動とされてしまったが。


 そうしたことや月坂(つきさか)ハルカの案件もあって、彼女はネットガーディアンを離れ、タロウに拾われている。


【アバターシノビブレイカー】


 おおっと、ここでまさかのCMに突入である。


 ウェルウィッチアが何を考えていたのかは、Bパートで明らかになるのだろうか?


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