第41話その1
オープニングはオープニングテーマからのスタートではなく……。
『これまでのアバターシノビブレイカー、対電忍はーー!』
前回にもあったナレーション、担当しているのはガーディアン浜松町支部長である。
一応、いつものナレーションの人も……出てくるとは思われるが。
『ダンジョン配信王決定戦も2日目、その一方でガーディアン浜松町支部に姿を見せたのは、秋葉原本部のメンバーだけでなく、まさかの池袋支部のメンバーまで入り込んでいた』
『その一方で、今の池袋支部の支部長だったのは、まさかの元新宿支部の支部長。そのうえ、彼は新宿歌舞伎町で何かをしていたという事実も判明する』
『池袋支部を追い詰めたのは、何と渋谷支部長ことリーガルリリー。更にはレインボーローズの姿まで!?』
『そこで明かされたのは、何とリーガルリリーがネットガーディアンのメンバーだったこと』
『果たして、池袋支部はどうなるのか?』
『引き続き、本編の方をどうぞ!』
映像では先週の映像が流れ、ナレーションも挿入される「これまでのあらすじ」のようにはなっているのだが……。
とあるカットに限って言えば、明らかに該当シーンは先週になかった。
つまり、そのシーンは『存在しない』という事になる。
果たして、池袋支部のやろうとしていた事とは何なのか…。
【9月11日。ダンジョン配信王決定戦、2日目】
今回は、カウントがそのままで2日目からの開始の様子。
場所は前回も登場したガーディアン池袋支部の支部長室だ。
「まさか、あの時のインフルエンサーの残党が、ガーディアンの支部長になっていたとは、ね」
渋谷支部長ことリーガルリリー、彼女は密かに通信をジャックし、そこに割り込みをかけていた。
池袋支部長が感じたノイズと言うのは、リーガルリリーによるハッキングだったのである。
それに加えて、姿を見せたのは、潜入捜査時のコスチューム姿のレインボーローズだった。
レインボーローズと月坂ハルカ、彼女たち二人がブラックバッカラ事件を解決に導いた英雄なのは、すでにレポートなどで把握済である。
しかし、それがガーディアンの協力者になったというのは全く聞いていない。定例会議などでも言及されたようなことが一度もない……はずだ。
「こちらとしては、お前たちと組むのはあれ以来……とは思うがね」
リーガルリリーの正体、それはネットガーディアンの元メンバーの一人。
ガーベラが偽名を名乗っていた類ではなく、厳密にはリーガルリリーの名前でネットガーディアンの活動に参加していた……構成員の一人。
実際、彼女はこの当時で言えば活躍の場など非常に少なく、隠密活動をメインに行動していたのだ。
『やっぱり、渋谷支部の地下はビンゴだったようね』
別エリアにあるARチャフグレネードの押収をしていたのは、ハルカだった。彼女の方も目的が完了したといってもいい。
インカム経由の連絡で作戦が成功したことを告げられたレインボーローズは、ビームブラスターの形状をしたARガジェットを用意し、それを池袋支部長に構える。
「我々ガーディアンに挑むというのか、ブラックバッカラ事件の英雄よ」
池袋支部長の男性は、もはや開き直っているとしか思えないが……。
「相手がただの私人逮捕系配信者なら、話は別。全力で排除するまで」
レインボーローズはビームブラスターの引き金を引くが、それも不発に終わる。ビームが発射されないのだ。
(……っと、ARチャフグレネードが展開されているのか。それじゃあ、ARガジェットは動かないか)
そして、レインボーローズは別の銃を背中の学生カバンから取り出す。その銃を見た池袋支部長は、ある意味でも言葉を失う。
「私たちにケンカを売ったこと、後悔するといいわね」
そして、オープニング主題歌が流れると同時に、そのままガンアクションが展開され……最終的に池袋支部長は倒される。
オープニング自体は前回の放送のエンディングで一部流れたパートの補完と言う意味合いもあってか、一部で追加アクションは存在した。
それでも、尺としてはオープニングテーマが終わるまでであり、そこまでには決着はしている。
オープニングは確かに特殊オープニングではあったものの、オープニングアニメーションのクレジット以外は、ほぼすべてのクレジットがそのまま表示された。
その後、CMに入った。
CM後、ガーディアン新宿支部のメンバーが池袋支部に突入をし始める。
ARチャフグレネードの押収に関して言えばハルカと協力者によるものだったのだ。
間違っても草加支部や春日部支部、足立支部の助力は受けていない。
渋谷支部のメンバーは参加していたが、それでもリーガルリリーの指示を聞いていたに過ぎないだろう。ハルカが話を聞いても、それに応じる仕草はなかったのである。
「警察だと!? 一体、どういうことだ」
オープニングのガンアクション終了後、CM明けには警察官が入ってきた。
これには池袋支部長だけでなく、視聴者も呆気にとられているだろう。
しかし、伏線自体は既にあった。フラグは既に立っていたというべきか?
池袋支部の前にパトカーが出動していたこと、ニュースで報道されたインフルエンサー逮捕のニュースを自分の事のように思っていたこと……。
「先ほど緊急逮捕したインフルエンサーが、ある人物の指示を受けた……と」
警察官の制服を着た女性が、池袋支部長……だったインフルエンサーに告げる。
「警察と言えど、ここまで最速の逮捕……2時間ドラマもびっくりな展開になるはずがないだろう。それこそ、リアリティーがないと炎上するのは間違いない!」
ARチャフグレネードのジャミングも効果が切れ、今度こそARガジェットの魔法少女のロッドが火を噴く……寸前だった。
「誰が警察官と言った? ARチャフグレネードのジャミング、それは時間稼ぎの一環に過ぎなかったわけ」
リーガルリリーは、自ら自身の正体を隠すARメットのスイッチを押し、メットの展開を解除する。
次の瞬間に見せた素顔を見て、逆上するのは池袋支部長の方だろう。
「貴様は……ウェルウィッチア! お前たちが全て仕組んでいたというのか?」
黒髪にロングヘアーと言う女性、それはレインボーローズとハルカが知っている人物でもある。
リーガルリリーと名乗っていた人物の正体、それは春日野タロウのゲーミングパソコンショップのバイトである女性、ウェルウィッチアだ。
しれっとだが、ウェルウィッチアとリーガルリリーは担当声優が同じで、それを踏まえたメタ的な入れ替わりトリックを利用し、池袋支部へと侵入していたのである。
彼女は元々、ガーベラのいた時代のネットガーディアンに所属していたが、ハルカの処遇を巡るいざこざでネットガーディアンを去り、タロウに拾われたといってもいい。
そんな彼女が、何故にこの場にいたのか? それは単純なことである。池袋支部にARチャフぐれねーが置かれていたから。それに尽きる。
「本物は、こっち。騙される方が悪かった、と言うべきね」
警察官の女性、彼女はウェルウィッチアから渡されたヘッドフォンにも似たようなガジェットを耳に装着し、そのスイッチを押す。
次の瞬間には警察官の制服もARインナースーツに変化し、ヘッドフォンもARメットに変形する。
つまり、この衣装や変装も全てはリーガルリリーのARガジェットによるものだったのだ。
「渋谷支部から、今回の件を聞いたときには、さすがに驚いたけどね」
ウェルウィッチアも渋谷支部にリーガルリリーがいたことには驚いていた。
確か秋葉原本部にいたのでは……と言う意味でも。
後に渋谷支部である事件の真相を知り、そこから様々な支部に存在するインフルエンサーを討伐する必要性を感じ……。




