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アバターシノビブレイカー_対電忍【小説家になろう版】  作者: 桜崎あかり
第40話『ダンジョン配信王、その裏で』

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第40話その3

・2025年7月28日付

TALES版移植に伴う誤植修正。


そこの声→その声

「私人逮捕系配信者の大量逮捕は、ブラックバッカラ事件の後ですよね……確か」


『どちらかと言うと、それこそ劇場版とか、スピンオフとか……そっちの流れだよ』


「ぶっちゃけすぎませんか?」


 着ぐるみは脱いでいたガーディアン浜松町支部長も、草加支部長であるアルストロメリアの発言に対し、何となくは理解する一方で、突っ込みもしたくなるが……我慢はしていた。


『全ての事件を触れるとなると、それこそ小説では100万文字単位にもなるだろうし、他作品にも及ぶ。だからこそ、ブラックバッカラ事件は……』


(本当に、これが一連の事件の真相だったりするのだろうか?)


 その後もアルストロメリアの話は続くが、浜松町支部長は話を聞きつつも一部はスルーしていた。


 ブラックバッカラ事件の真相には諸説あり、一部のインフルエンサーが真相とする動画をいくつか投稿しているが、その内容は薄っぺらく、大体が勧誘セミナーへの誘導だろう。


 そうしたセミナーの中には、転売ヤーが儲かるというものやFX投資を薦めるような危険な物だってあった。


 全てがそういう動画ではないと思うが……。



「どうだった? 浜松町支部は?」


『特に問題視するような個所はありません。池袋支部長、それは考えすぎでは?』


「こちらとしては歌舞伎町の件もある。迂闊に例の秘密を拡散されるわけにはいかないのだ」


『ブラックバッカラ事件、今ではプロゲーマーの二人が世界を救ったというカバーストーリーが拡散はして……』


「歌舞伎町の件は、未だに警察も不自然な箇所を疑っている。だからこそ、なのだ」


『そこまで歌舞伎町にこだわるという事は、もしかして新宿支部の件を……』


 浜松町支部に現れたのは秋葉原本部から派遣されたメンバーだけではなかった。しれっとだが、池袋支部のメンバーも混ざっていたのである。


 彼らも他の支部の情報を収集し、それこそ独自で新宿支部のように行動を起こそうとしていた。


 しかし、池袋支部長としては過去に新宿支部において歌舞伎町の一件に関与していたこともあり……その個所を気にしている。


 なお、池袋支部の男性メンバーはサウンドオンリーで、顔は表示されていない。それに加え、このメンバーは浜松町駅近くで支部長へ連絡をしていた。


「このことは、すでにマスコミも探っている以上、下手な動きを見せれば炎上は確実だ。くれぐれも……」


『わかっていますよ。これを私人逮捕系動画配信者などに聞かれれば、即アウトですからね』


「そういう事だ。こちらとしては、ガーディアンが些細な炎上で機能不全になる方が危険だ……?」


 池袋支部長は、池袋支部のビルの下でパトカーらしき車両がいくつか止まっているのをビルの支部長室から確認し、何かを察する。


 池袋の場合、別の事件でもパトカーを目撃することもあり、支部長が過剰反応をしているようにも見えるが……。


「貴様、まさか警察に通報したのではないな?」


『私は何も連絡はしていません。最低でも……』


 何かを喋ろうとしたところで、何かしらのノイズ音が入り、そこで通話は途切れる。


 一体、これはどういうことなのだろうか?



『池袋支部長、いいえ……元正義主義のインフルエンサーさん? もしくは元新宿支部長と呼んだほうがよいのかな?』


「その声は、まさか……あり得ん! ネットガーディアンは解散したはずだ!」


 声を聞いた途端、脊髄反射をするかのように池袋支部長は……思わず支部長室のデスクを叩いた。


 ある意味でも何度か聞いたことのある声だが、ネットガーディアンは『表向き』には解体されている。ネット上のニュースでも解散と明言されていた。


 その支部長であったガーベラもネットガーディアンの解体後には消息不明となり、ガーディアンでも敵視する必要性は失っていた。


 危険性レベルも0という事で、敵対の必要性なしとまで秋葉原本部長も太鼓判を押している。


 そのネットガーディアンに所属していたであろう人物の声に、池袋支部長は恐怖していた。


 女性の声であるのは確かなのだが、若干のボイスチェンジャーを使っている形跡があり、地声ではない。


 そのはずだが、池袋支部長の手の震えは止まっていなかった。


『確かに表向きにもネットガーディアンは解散、使っていた場所にはガーディアン春日部支部が入っている。復活はあり得ない』


「そうだ。復活はあり得ないのだ」


『しかし、実際にはネットガーディアンも名前を変えて活動していたとしたら?』


「それこそあり得ない! あってたまるか!」


『それでも、目の前の現実を受け入れられない自分がいる。違う?』


 通話している人物は煽っているわけではないのだが、池袋支部長には煽っているようにしか聞こえなかった。


 そして、このタイミングでエンディングテーマがバックで流れ始め、キャストクレジットも表示されている。 



「まさか、あの警察のパトカーは?」


『あれはさすがに違うわよ。別の関係とか、そっちの事件じゃないの?』


 その後、止まっていたと思われたパトカーも、池袋支部の前からは引き上げていく。引き上げたのは数十台集まっていた内の数台であって、少数は残っていた。


 もしかすると、周辺の通行止めをするためかもしれない。


 このパトカーの目的は、池袋支部の近所にある別のビル……そちらに用があった様子。


 そちらのビルの前ではテレビ局の方も集まりつつあった。野次馬の方は集まっていないが、時間の問題と言える。


『速報です。先ほど、ある団体による虚偽情報を拡散した件で、有名インフルエンサーが逮捕されました』


 支部長室のテレビを付け、チャンネルをニュース番組に回すと、ちょうどいいタイミングで池袋の中継映像が出てくる。


 女性アナウンサーを確認し、その直後に池袋支部長はビルの下で起きている光景が中継と同じことを確認した。


『この有名インフルエンサーはガーディアンと名乗る組織を騙り、百万人以上から合計1兆円近くに及ぶ資金を集め、それらの資金を自身のFX投資に……』


 自分とまる被りな状況ではないか……とニュースの内容を見て驚く。


 しかし、実際には別のインフルエンサーがやったことであるはずなのに、何故か自分とも被るようなニュース内容に言葉を失っていた。


「もう、わかるでしょう。あなたがやったこと、それは現実でも起こりつつある……」


 何と、支部長室に無断で入ってきた人物、それは渋谷支部長であるリーガルリリーだった。


 ガーディアンの支部がお互いに争う事は禁止されているはず。何故、彼女がここにやってきたのか?


「貴様は、渋谷支部長……! そういう事か、全ては……」


 リーガルリリーが支部長室に入ってきたと同時に、自身のデスクに隠していた支部長専用のARガジェット武器……池袋支部は魔法少女ものに出てくるようなロッドを構える。


 しかし、それが起動することはない。まさかの支部長室がジャミングを受けていたのだ。それも……。


「すでに池袋支部は、こちらの管理下に入っている。悪いけど、あなたのやったことは到底許せるようなことではない」


 リーガルリリーの手にあったもの、それは何とARチャフグレネードだった。それも、池袋支部に隠されていたものである。


「ガーディアン同士の争いは禁止されている。それでも、貴様は戦うというのか?」


 池袋支部長の問いかけに対し、リーガルリリーは答えないが……スマートフォンを取り出して、どこかと連絡を取っていた。


「あなたと戦うのは、ガーディアンではないわ。自分が戦ったら、それこそガーディアン同士の争いを禁止した部分に引っかかる。あなたが正義を主張するインフルエンサーだとしても……」


 リーガルリリーが全てを喋り終わる前に姿を見せたのは、まさかの人物だった。


「まさか、あの時のインフルエンサーの残党が、ガーディアンの支部長になっていたとは、ね」


 そこに姿を見せたのは、レインボーローズだった。これには渋谷支部長も驚くしかない。


 下の方というか、別エリアにあるARチャフグレネードの押収には月坂(つきさか)ハルカが担当しており、すでに制圧は完了していた。


「こちらとしては、お前たちと組むのはあれ以来……とは思うがね」


 リーガルリリーの正体、それはネットガーディアンの元メンバーだった。


 ガーベラが偽名を名乗っていた類ではなく、リーガルリリーの名前でネットガーディアンの活動に参加していた、と言うべきか?


 その後、レインボーローズとハルカによるガンアクションが披露され、あっという間に決着したのは言うまでもないだろう。



『次回、アバターシノビブレイカー、対電忍。ダンジョンしんはバラバラにできるか?』


 CM明けに次回予告のロゴが表示された。まさかのひらがな表記まじりであるのだが、ダンジョン(しん)がらみである。


 意図的にひらがなで『しん』と記述したのには、何か理由があるらしく……今回の次回予告フォントは8ビットゲーム風のフォントが使われていた。


 つまり、今回の次回予告は『次回予告』のフォント以外は独自フォントの関係で漢字が使われていないことになる。


 これの為だけに、わざわざ……と言う具合もあるかもしれない。


 しかし、バックに何かしらの人物などが登場しそうな雰囲気もあるのだが、今回はそれもなかった。


 バックは黒バックではないのだが、他の回でも汎用バック画像として蒼影(そうえい)が使われている。


 それもなく、ガーディアン草加支部のコンビニが背景に使われていたので、ある意味でもネタバレに関して徹底的に予防線を……と言う具合だ。


 ナレーション担当は、エンディングのキャストクレジットを見て『!?』と思った人もいるであろう、春日野(かすがの)タロウだ。


 今回に関して言えば、次回予告ナレーションという役名で表記されている。


 真面目に読み上げているため、ある意味でも尚更ネタバレ防止の意味合いが強い。


 次回予告の担当をダンジョン神にしなかったのは、こういう理由もあるのだろう。ダンジョン神はオープニングで見せ場があるのだが……。



 今回のエンドカードは、ガーディアン浜松町支部のスマートフォン型着ぐるみキャラのみと言う異例のエンドカードだ。


 特にポーズをとっているわけではなく、着ぐるみの構造的な事情でも棒立ちなのだが外見のインパクトもあってか、目立たないという事はないだろう。


 バックには浜松町支部があり、入り口にあるデジタルサイネージには、例の家電量販店の法被を着た萌えキャラのポスターもある。


 クレジット表記を見ると、これの為だけにわざわざ許諾を取ってエンドカードに使用したという具合だろう。


 実際、同じ家電量販店のSNSアカウントでも対電忍にエンドカードが掲載されることを報告していたので……拡散度合いは予想以上だ。


 別の意味でも対電忍の宣伝としても予想以上の成果を上げているというか、そんな気配。


 アナウンスした店舗は、一部でガーディアンと同じ地名の店舗もある。これは、あくまでも偶然だ。


 渋谷、池袋、秋葉原、大宮……さりげなくだが北千住にもあり、草加や春日部にもあった。


 まさか、そこまで被るとか……予想外ともいえる。


 対電忍では、この会社は店舗名で協力はしていないので、該当する店は実名で登場していなかった。実名で出るのは違う店舗だ。


 しかし、浜松町にはこの萌えキャラの担当イラストレーターが所属している店舗があり、そこと協力して今回の登場が実現したという具合に。


 本来であればライバル企業同士なのだが、こういう形でまさかの共演……なのだろう。


 さすがに全員が登場しているわけでなく、現在も活動中のアカウントに絞って登場したのかもしれない。


 前回のエンドカードを踏まえると、ある意味でも180度真逆なエンドカードなので、驚くのも無理はないが。



【次回をお楽しみに】


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