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アバターシノビブレイカー_対電忍【小説家になろう版】  作者: 桜崎あかり
第37話『出陣! ロウ・アバター』

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第37話その3

「店の方もひと段落したと思ったら、今度は……」


 春日野(かすがの)タロウが店に戻ってきて早々、まさかの展開になっていた。


 ウェルウィッチアの言っていた店に大量の客が……というのは、駆けつける前に減っており、そこまでの客足ではないだろう。


 駆けつけている間に何とかバイトの皆様が協力をして応対した、ともいえるかもしれないが。


 むしろ、ゲーミングパソコンの品定めをしている人の半数は、大体がダンジョン配信で使用するパソコン目当てなので、常駐しているバイトでも十分かもしれない……という考えがタロウにはあったのだろう。


 それなのにタロウが呼び戻される羽目になったのは、何故なのか? あえてオケアノスから追い出しておく必要性があったのか?


「こちらの方で……」


 店の裏口から入ったタロウがバイトに案内されたのは、まさかの地下ルームである。


 そこには一部のバイトメンバーも、ここにいたのだが……まさかの展開になっていた。


(これは、まさか?)


 タロウがスマホの着信音に気づき、その画面を見ると……依頼が入っていたのである。


【オケアノスに現れた松原団地支部を名乗るガーディアンを討伐してほしい】


 この書き込みを見て、追い出された理由に関して何となく察し始めていた。つまり、そういう事だろう。


 オケアノスとしては、完全中立であり、どこかの勢力を支援するようなことはない。


 それは解散したネットガーディアンが関係したブラックバッカラ事件でも同じであり、そのほかの事件でもそれは崩さなかった。


 あくまでもオケアノスは会場提供のみであり、それ以上のこともそれ以下の事もしない。


 こうした距離を取る理由に関しては、様々なSNS炎上案件が理由と思われるが……。


「この情報だけで見つかるのか?」


 タロウは疑問を抱くのだが、その一言に対し、予想外の反応をしたのは……。



『問題ないですよね? これ自体、ある意味でもARゲームの一環ですよ』


 タロウの目の前のモニターには、すでに準備を整えて松原団地駅に姿を見せていたレインボーローズと月坂(つきさか)ハルカの二人が映し出されていた。


 今の発言はレインボーローズのものであり、それにはタロウも苦笑いである。


「ああ、確かにそうだったな。埼玉県草加市はARゲームを地域振興及び聖地巡礼の目玉にしている……すっかり忘れていたよ」


『そういう事です。ARダンジョンも、ARロボットバトルも……安全が全て確保されたうえで展開されている、いわばイースポーツとも言える存在』


 ハルカの方もすでに臨戦態勢、と言うべきか。さすがに、今回に限って言えば蒼影(そうえい)は使えないが……。


『私たちがゲーマー人生を賭けてまで守り通したもの、それを再びSNS炎上や特定勢力に悪用されてはいけないもの!』


 ブラックバッカラ事件を解決に導いたのは、AIの思考速度でさえも予測できなかったゲーマー魂。レインボーローズの発言が、ある意味でもそれを物語る。


 プロゲーマーに匹敵する磁力を持ちながらも、プロと名乗らなかったレインボーローズ……。


 かつて企業所属プロゲーマーではあったものの、ふとした出来事がSNSで炎上したことでプロゲーマーを引退した月坂ハルカ……。


 二人はふとした出来事をきっかけに巡り合い、不正ツールを使用するゲーマーたちを討伐していき、やがては高性能AIアバターであるブラックバッカラにたどり着いた。


 そして、最終的にはブラックバッカラを凌駕するスキルで見事に勝利をしたのだ。 


『ゲームフィールドは守ってみせます。日本のコンテンツ流通の正常化のためにも』


 ハルカの決意とも言えるような発言を聞き、タロウは安心をした。


 自分が力を振るわなくても、この日本にはAIすらも超えた英雄がいるではないか、と。


 実力で言えば、タロウは二人に並ぶくらいのスキルは持っているだろう。


 しかし、勝利フラグなどで言えば彼女たちの方がよっぽど上だ。


 例え、今回の事件が制作委員会よりも上の存在による介入があったとしても……彼女たちにかかれば、それさえも解決できる。


 だって、今回の事件自体がARゲームの延長線上で起こっている出来事なのだから、当然と言えば当然だ。


「頼むぞ、レインボーローズ、月坂ハルカ。ゲームの未来を、守ってくれ」


 一息入れた後にタロウはつぶやき、二人に指示を出すことに……。


 全てはコンテンツ流通の正常化のために。



「これでよし、と」


 あるアカウントを発見し、そこに書き込みをしたのは月城(つきじょう)アサギだった。


 彼女自体、このアカウントを発見したのはつい先ほどであり、本来であればガーディアンに通報も考えていたのだが……知名度もないような自分の名前を出したとて、信用してくれないだろう。


 そこで彼女は噂のガーディアンとは違ったSNS炎上を阻止する組織があるという話を耳にして、このアカウントを発見する。


 そして、書き込みを行ったのだ。このアカウントに書き込めば即日には解決するという話は明らかに都市伝説レベルで信用はしていないが……。


(あとは、向こうに任せるか)


 アサギとしては、自分に無関係な事柄にも突っ込むという事はしない。


 むしろ、興味がないジャンルはどうなったとしても……という感じである。


 実際、この書き込みから30分足らずで、彼らが偽のガーディアンを鎮圧したのだが……この辺りはOVAか劇場版辺りで触れられるだろう。


 あくまでも本編中では言及されない部類であるのは間違いない。


 あの事件は実際に目撃した人物からは「テロかと思った」と言う声もあったくらいだ。


 負傷者数人は出たものの、一般市民からのけが人が出ていないという信じがたいような結果には、これがいわゆるARゲームだからと言う理由で片づけられる。



「想定外と言うのは、こういう時に起きるものか」


 SNSで情報収集をしていたガーディアン新宿支部のシノビ仮面は、なりすましガーディアンによる炎上行為のニュースを目撃した。


 以前に北千住支部を名乗る偽物がいたのだが、今度は松原団地支部という存在しない支部名をでっちあげていた。


 架空の都市名を支部名称にすることは原則不可能であり、それを踏まえてまだ存在しないであろう松原団地の名前を使ったのだが……それが裏目に出たのは言うまでもない。


「どちらにしても、今回の一件は……」


 SNSで存在するデータを調べ、ある事実をシノビ仮面は発見していた。


 おおよそ、読者や視聴者は察していたのかもしれないが、300年前にAIアバターは存在しなかったのである。


 更に言えば……。



 このタイミングでエンディングテーマが流れるのだが、エンディングムービーが一緒に流れたり、黒バックでスタッフクレジットと言う流れではない。


 次の場面で映し出されたのは、まさかのガーディアン草加支部のあるコンビニだった。


「やはり、早い時期でばれてしまったみたいですね」


 ガーディアンの支部内で動画の編集作業をしているのは、忍者構文の動画編集をしていた動画投稿者の男性だった。


 彼もまた草加支部のガーディアンであり、本番組のナレーションを担当している。


(これを作った人物自体は、まだバレていないようですが……時間の問題でしょう)


 忍者タイプのAIアバター、それと一緒にあったのが忍者構文だったのだが、思わぬ箇所でトリックが暴かれることとなってしまう。


 元々、これのコスプレやコピー品が出回ってしまい、更にはそれを転用したハンゾウが生み出された段階で……色々とあるのかもしれない。


 それ以外にも別の要素もあって、そこからからくりを読まれてしまったのもあるだろう。


(300年前にAIがあったら、それこそ世界大戦の規模も変化し、地球は文字通りの火の海……そういったことも分からず、一点だけで拡散してしまう……)


 自分も忍者構文絡みの動画投稿をしていなかった当時、こういった飛躍したような出来事をベースにした構文を投稿していた時期もあった。


 今でこそ拡散して話題となっている忍者構文に似たようなものも、当時に投稿していたのである。


(あの時には人々も理解していなかったものが、こういうタイミングで拡散される……これも宿命か)


 ある意味でも忍者構文はネットミームとなり、制作委員会の想定した挙動なのだろう。 


 しかし、時としてネットミームは様々なジャンルに飛び火していき、それこそ特殊詐欺などに転用されることだって、あり得るのだ。



『次回、アバターシノビブレイカー、対電忍。ダンジョン配信王決定戦(前編)』


 今回も、CM明けに次回予告のロゴが表示された。バックに映し出されているのは、レインボーローズと月坂ハルカの二人である。


 何故にダンジョン配信には若干無縁そうな二人が次回予告に出ているのか? 服装はいつもの任務時に着用しているものとは違い、両者ともに私服だ。


 レインボーローズの方は、いかにも某有名店のロープライスな服の上下セットだし、ハルカはとあるソシャゲ作品に出てきたヒロインのコスプレで、学園バトルもののイメージだろうか?


 服装などを含め、人選も疑問はあるかもしれないが、サブタイトルには堂々と前編の文字が表示されている。


 つまり、次回と次の話である第3クールラストとなる第39話は、まるごとダンジョン配信王をやるというのだ。


 どのような内容になるのだろうか?


 ナレーション担当はレインボーローズと月坂ハルカ。


 二人そろって「せーのっ!」みたいな感じで読むわけでもなく、やはりというか真剣に読み上げた。前編の部分のみはレインボーローズのみだが。



 今回のエンドカードは、ゲーミングパソコンショップの店長こと春日野タロウとロウ・アバターのツーショット。


 ロウ・アバターは白ベースのトリコロールにも近いようなカラーリングだが、それが本来のカラーリングなのかは定かではない。


 デザインもひと昔の戦隊ヒーローを思わせるデザインではあるのだが、所々でゲーム的なデザインやガジェットも特徴として出ている様子。


 タロウの方は、ARスーツを着ているわけでなく、いつものゲーミングパソコンショップの店長としての服装だ。


 バックもそのパソコンショップなので、何故にこの背景でタロウとロウ・アバターなのか……という読者及び視聴者もいるだろう。


 バックのパソコンショップの入り口には『本日、午後1時より開店します』と言う看板が立てられており、写真を撮影しているとおもわしき女性も、入り口のマジックミラー的なギミックの仕様で確認できる。


 顔は映し出されておらず、制服姿なのでモブキャラかもしれないが……もしかしたら、彼女がタロウも何度か言及しているウェルウィッチアなのかもしれない。


 この写真自体、ショップに飾る予定のものと言うわけでもなく、どういった意図で用意することになったのかも謎だが……ショップ用のカレンダーで使うつもりだろうか?


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