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アバターシノビブレイカー_対電忍【小説家になろう版】  作者: 桜崎あかり
第34話『もう一つの世界へ』

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第34話その1

 本日は9月2日、アレの日まで1か月を切っている。今日も天気は晴れで、ここ一週間は晴天が続くという天気予報まで出ていた。


 その一方で、ガーディアンの一部支部では晴天とまでいかないような支部も存在している。


 目に見えてわかりやすいのが、アバターシノビの調整を続けていた新宿支部だ。


「アバターシノビの調整は、進んでいるか?」


「調整自体は9割がた完了済みです。しかし、一か所だけ、どうしても……」


 新宿支部長であるシノビ仮面もタイムリミットが迫っているのは知っているため、何としても調整を早期に済ませたいのはある。


 しかし、9割の調整は完了しているのに最後の個所でエラーが発生する状況は変わっていない。


 そういったこともあるため、ここ最近は急用以外では、新宿支部でアバターシノビの調整に立ち会う事になった。


 動作関係は特に問題はないのだが、ある部分で不具合があるため、仮に起動が出来たとしても暴走などのリスクが伴う。


 暴走で同士討ちなどが展開されれば、それをSNS炎上勢が悪用して炎上させるのは容易である。


 だからこそ、調整は必須なのであった。


 部品に関しては新宿支部で量産できるので、その点に問題はなかったのだが……。



「やはり、あの部分か。例のブラックボックスの……」


「そうですね。あの部分なのは間違いないです。それ以外は全て問題がないようですので」


 シノビ仮面は、どこでエラーが発生しているのかを把握済みだ。


 テスト運用でも特に動きで不具合があったり、武器の使用でエラーが出ることはない。


 しかし、いざとあるシステムを使おうとするとエラーが発生するのだ。


 システムを切った状態で使う事は可能かもしれないが、そうなると運用に制限時間が発生してしまう。


 あのアーマーは制限時間ありになってしまうと、余計に対策を取られやすいリスクがある。


 長期戦になってしまえば、ガーディアンが不利になるのも目に見えていた。


「別の忍者でも似たようなブラックボックスはあるのでしょうか?」


 アバターシノビを調整しているガーディアンメンバーのふとした疑問に対し、シノビ仮面はふと……。


(まさか? アバターブレイカーとシノビブレイカーが存在していたのは……)


 ある『表記ゆれ』と思われる存在であるアバターブレイカーとシノビブレイカー、それらが実は同じものからきているのでは……と考える。


 しかし、仮にそれをつなげたとしても、蒼影(そうえい)に関して言えば別物であり、関連性はないかもしれない。


(そうなると、全てをつなげればアバターシノビ……)


 ここでシノビ仮面はふと、ひらめく。そして、とある指示をスタッフに出し、それ通りに入力させる。


 そして、シノビ仮面の予想は見事に的中した。


「なるほど。表記ゆれの正体、そういう事だったのか」


 アバターシノビ、シノビブレイカー、アバターブレイカー、似たような存在に見えたのは当然の話であり……それらのオリジナルは別に存在していたのだ。


 その正体こそが、対電忍と呼ばれる、いわゆる忍者構文の忍者……。



「これは、まさか……」


 雪華(ゆきはな)ツバキは、自室でダンジョンで使用するシノビブレイカーの調整を行っていた。


 ここ最近はシノビブレイカーを使用できるダンジョンで配信を行っていなかった事もあり、若干放置状態だったのだが。


 調整を行っていたある日、隠しコマンドが存在するらしい話を見つけ、調べていたのだが……それが解放される気配はない。


 逆に隠しコマンドなしで今まで不具合なしで動いていたのが奇跡と言う、そんな気配さえ感じていた。


 隠しコマンド自体、つい最近まで知らなかったといえるだろう。実際、SNS上の噂を耳にして、調べたわけだが……。


(そういえば、SNS上でアバターシノビと言うパワードスーツの忍者が現れたことがニュースになっていたな)


(ニュースと言っても、もしかするとマッチポンプもあり得るが……)


 色々と思う部分はある。


 ガーディアンのやっていることを踏まえれば、確かにSNS炎上と言う事件は減りつつあったが……別のジャンルで炎上と言う具合だ。


 ダンジョン配信で炎上するケースは減っていたのだが、今度は違うジャンルが炎上している状況は、転売ヤーが別の商品に切り替えるような展開を連想させる。


 やはり、ダンジョン配信ではなく本来の目的に切り替えるべきなのか……と思う個所もあったが、まだ様子を見ている形だ。


「この画面で……」


 隠しコマンドの入力を促す画面を表示し、そこにあのキーワードを入力する。次の瞬間には……。


【キーワードを認識しました。アバターシノビブレイカーモードを解禁します】


 アバターシノビブレイカーモード、それは何なのだろうか?


 モード自体には興味がなかったものの、その名称は別の意味でも驚きを感じるものだった。


(そういえば、動画で姿を見せていた忍者のパワードスーツがアバターシノビと言われていた。そして、シノビブレイカーにアバターブレイカー……)


 ツバキは色々な疑問は思い浮かぶものの、現状では様子見するしかない自分に対して悔しさをにじませていた。


 こういう時に限って、ジャンル外の向こうで起きている出来事に何とかしようと手をさし伸ばそうとしても、その手を払うものもいる。


 手を取ったように見せかけ、失敗したらその人物のせいにして逃げる者もいる、それをネタにして炎上させ、自分は遠くから見てアフィリエイト収入を得る者だっていた。


(まさか、裏で動く存在は……) 


 ツバキも何となくだが、今回の一連の事件にはSNS炎上勢力のような物とは違う存在が動いているようにも、感じている。


 単純に炎上勢力、まとめサイト管理人とか迷惑系配信者が組んでいるようなケースで有れば、あれ位のSNS炎上は容易にできるかもしれない。


 一方で、秋葉原の騒動に代表される大規模なもの、SNS上でしか聞き覚えはないが松原団地の一件とか……あのレベルになると、何者かが資金提供している可能性は否定できなかった。


 それもテレビ番組で言うところのスポンサーである。あの規模の事件を複数起こすのであれば、下準備も必要だし……お金だって必要だ。


 様々な裏工作もあるかもしれないが、様々な事件を警察に悟られず起こすというのは……よほどのことかもしれない。



(このシステムは……そういう事か)


 とあるシステムの存在、それはダンジョン(しん)の方にも気づかれていた。


 あの時に配布されるはずだったロボットのパーツは、転売ヤー問題もあって中止にはなっていたが、後に実施できることになった時を考え、パーツ自体の量産は続けている。


 しかし、実際には違っていたことが明らかになる。


 ロボットのパーツはアバターブレイカーとシノビブレイカーの2つで分かれており、シノビブレイカーは初期の数個のみ、アバターブレイカーは量産を続けていた。


 実際にふたを開けてみると、両方ともパーツの規格は全く同じであり、微妙なカラーリング違い以外では、特に違いがないものだ。


 それに目を付けたダンジョン神は、ある事実に気づき始める。


(アバター、シノビ、ブレイカー……という事か)


 本来の想定されていた運用とは別の所で、こういった運用がされていた事実……それはダンジョン神も想定外……と思っているかもしれないが、実際は違っていた。


(この程度のシナリオ変更、向こうがやってくるなど想定の範囲内……修正などいくらでもできる)


(こちらを失望させるようなことがないようにしてもらいたいものだな……制作委員会どくしゃあるいはしちょうしゃは)


 ダンジョン神の見ている先、それはダンジョン配信をしている配信者に向けられたものではない。


 むしろ、このダンジョンをさらに盛り上げてほしいというのは本心なのだろう。


 しかし、それは……第四の壁の先に向けられているのかもしれない。全ては、対電忍と言うネットミームを広めるために。


 もしかすると、忍者構文自体、制作委員会(せいさくいいんかい)が仕込んでいたものとは違った挙動を見せ始めていき、気づけばダンジョン神が全権を握る……という。


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