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アバターシノビブレイカー_対電忍【小説家になろう版】  作者: 桜崎あかり
プロローグ『その名はダンジョン神』
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プロローグその1

『忍者とはありとあらゆる炎上を阻止するために存在する、対電脳の刀。忍者とは悪意ある闇の全てを斬る存在でなければならない。彼らが斬るのはあくまでも悪意ある炎上であり、それ以外のものを切り捨ててはならない』


『忍者が存在するのは、電脳空間にあるダンジョンと呼ばれる場所。今の時代はダンジョン配信が急成長し、SNSの動画サイトでは様々なダンジョン配信動画を目撃できる』


『一方でリアル空間にも出現したダンジョンでは、迷惑系配信者によるアフィリエイト目的の配信で次々とダンジョンが消えていき、気が付けば一部の企業が運営するダンジョンのみが残る展開になった』


『その中で、人々は願った。SNS炎上を続ける悪意ある勢力の根絶を。そして、彼は現れた。SNS炎上を根絶するために』


『これは、ある意味でもダンジョン配信が覇権コンテンツという事で様々なところで拡散した結果、起こってしまった事件といえるだろう』


『世界は、ダンジョンはどうなってしまうのか?』


『ダンジョン配信、それが日本のコンテンツ業界を変えるかどうかは、まだ誰にもわからない』


 この動画は忍者に関して語られている動画だという。


 しかし、これはリアルの忍者ではなく、バーチャル空間の忍者……対電忍(たいでんにん)に関して語られたものらしい。


 果たして、ダンジョンで活動する対電忍とは? それがダンジョン配信と何のつながりがあるのか? 



 時間は若干巻き戻り、令和となって数年が経過した6月のある日まで戻す。



 電脳空間に存在するデータを見て、色々な意味でも悩む男性がいた。


 彼のいる場所は電脳空間内に作られた、とある一室。一室といっても、この空間には家具などは一切置かれておらず、ダンボール箱などが積まれているわけでもない。


 本当に何もない空間だったのである。窓もなく、自分が入ってきた入り口のドアがあるだけの、何もない空間だった。


「ダンジョン配信、か。コンテンツという意味では、まだ目新しいように見えるが」


 彼は少し小型のノートパソコンを片手に、様々な配信動画をチェックしている。


 その外見は白いスーツ姿の一方で、顔はフルフェイスを装備していてわからない。


 アバター未設定なのでフルフェイス、というわけではなくフルフェイスは最初から被っているというべきか。


 彼が立ったままで配信動画を見ているが、アバターなので疲れというものを感じることはないだろう。


 一方で、様々動画を見ていてモチベーションは保てるのか、というのはあるが。


「しかし、日本でやるには都合がいいか」


 今の環境はどうあれ、日本でやるにはダンジョン配信というコンテンツは都合がよい環境ができている、のかもしれない。


「新たな時代を開くのは、我々だ」


 彼が指を鳴らすと、次の瞬間にはダンジョンの設計図らしきものが周囲に出力されていく。


 そのスピードは人間が想像をする以上、それこそ機械の手を借りたかのようなレベルだったという。



「あえて、ダンジョンの名前だけを付け、他のプレイヤーが来るのを待つのも手か」


 ダンジョンの高さは5メートル規模、エリアは合計5つ、広さは……あまり考えず、彼はダンジョンを製作に着手する。


 基本設定さえ完了すれば、彼の高性能な精製能力を踏まえ、1時間もたつことなくダンジョンを完成させるのは容易だった。


 彼の正体は高性能アバター、それも生み出されたのは300年以上前。令和の時代でもオーバーテクノロジーの塊である。


 制作されたダンジョンは『ダンジョン神のダンジョン』と名付けられた。名付けたのはダンジョンを作ったアバター、ダンジョン(しん)である。


「このダンジョンを利用し、コンテンツ業界に風穴を開けてやる」


 彼は謎の自信を持って発言するが、それを聞いている人物はいない。最低でも、このフィールド内では。



(ダンジョンは出来上がったか。リアルフィールドでは、迷惑配信者の関係で損だけをする危険性もある)


 埼玉県内某所にある会社、その誰もいないような会議室でノートパソコンを見ているのは、スーツ姿の身長は170に満たないような一般男性だった。


(まさか、偶然発見した設計図からアバターを復元したら、こういう事になるとは)


(このAIには、まだ逆転のチャンスが残っている、という事か)


 この男性は、イベント会社の社員であり、ネットサーフィンをしていたところで偶然、ダンジョン神のベースとなったAIの設計図を発見していた。


 その設計図をチェックしただけでAIは瞬時にインストールされ、気が付けばダンジョン神というアバターが誕生していたのである。


 最初こそ困惑はしたが、この男性もイベント会社を何とかしたいがために、悪魔に魂を売った……と言えるだろうか。



『忍者とはありとあらゆる炎上を阻止するために存在する、対電脳の刀。忍者とは悪意ある闇の全てを斬る存在でなければならない。彼らが斬るのはあくまでも悪意ある炎上であり、それ以外のものを切り捨ててはならない』


『令和の時代、動画サイトではダンジョン配信が急成長し、それこそダンジョン配信ラッシュともいえる状態になっていた』


『ダンジョン神と呼ばれる彼が動き出すのは、それからしばらくたってからの事である』


『彼は迷惑配信者などがダンジョンで暴れることを防ぐため、様々なガイドラインを設定した』


『これに従わないものは、無条件でアカウント凍結をするという厳しいルール。それでも問題行為を起こさなければ凍結はされないので、一般プレイヤーには関係ない』


『むしろ、問題視されるのはまとめサイト勢力や『バズり』勢力による……』


 冒頭の一文をそのままに、それ以降の文章を作り出してSNS上に拡散する行為、それがここ最近は増えていた。


 男性配信者が語っていたのは、その『忍者構文』をまとめた小説だったのである。


 これがどのタイミングで拡散したのかは、誰も知らない。


 気づいたときには『忍者構文』がSNS上で拡散し、ハッシュタグにもあった位には浸透していたといってもいいだろう。 


 この『忍者構文』を解説した動画が勢いよく拡散し、そこから思わぬ勢力に悪用され、そこから忍者が本当にリアルで現れることになったのは、後の話である。


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