クリスマスケーキ⑥
6話 もしかして…
毎日一緒に繭と家にかえる。
あのケーキの事、夜に脅された事、このままでは僕達の身に危険な事が起こるのかも知れない…豪の連絡を待とう。
家に着いた頃、僕の携帯に電話がなる…
「非通知?」
「だれ?」繭は不安そうに僕の携帯を見る。
「警察かな?」
しばらく鳴り続ける携帯、僕は意を決して「もしもし」出た。
テレビとかで聞くプライバシーの保護などで使われる電子音の様な高い声で「俺はお前達を許さない!」
僕は少し怖かったが、勇気を出して怒鳴った。
「どうして、僕達にこんな嫌がらせをするんだ!」
「お前達だけ幸せになるなんて俺は許さねぇ!」と電話が切れた。
僕達はこの人に何をしたのか…怒らせる事をしたのか、待った検討もつかない…でも、このまま黙っていては何をされるか分からない…
「繭…僕、明日警察に行って話してくるよ…豪にも行って放してくる。」
翌日の朝、お父さんに会社を休む事を伝え警察に向かう。
昨日の事もあり警察に行く途中、豪の店に伝えようと寄った。
開店したばかり…まだ客もいない店の中、豪の姿がいない。
「いらっしゃいませ…あっ、上野さん!いらっしゃいませ。」
挨拶をしたのは臨時バイトの山下 朋美さん。
「あれ、豪は?」
「あっ、店長は何か用事があると言って、留守を頼まれました…他の店員さんも買い物等でいませんよ!」
「そっか…豪いないのか…」
と店を出ようとしたところ
「あっ…店長、多分警察かも」
「豪も警察に!」
「何か…面倒くさい事に巻き込まれた…とか、一茂の奴…ぶつぶつ言って」
「えっ豪が?」
「後…大分前だけど…あいつは良いよ!黙ってても会社の社長になれるし…とか、あいつだけ幸せになるなんて…て、言ってましたよ」
そんな事を言ってたのか。
僕は豪の店を後にして警察署へと向かう、豪の店から警察署まで徒歩で10分位の所にある入り口付近で豪と合う。
「一茂!…一茂の事と俺のケーキの事で今話してきたよ」
「あっ、ありがと…昨日もちょっとあって…」
「ちょっと…って?」
「イタズラ電話みたいな…」
豪の顔は少ししかめた。
「イタズラ電話!…一体誰が?」
頭の中で朋美さんの言った言葉が思い出した。
「いやっ…何でもないちょっと僕も警察に話したいことがあってね…豪…ありがと店で朋美さんが待ってたよ!」
「あっ、そうだね早く戻らないと…警察と話した事、また後で話すから…店寄ってくれ!」
と別れ僕は警察署の中へと入り警察官と今までの事を話した。
警察官の人はハットした顔で
「あれ、この話し…斉藤さんと言い方が友人の上野さんの事を相談しに来たのと内容がおなじですね!もしかして、上野さんはあなたの事でしたか…斉藤さん、物凄くあなたの事を親身に話してくれてました…前のクリスマスケーキの事も聞いてます…」
そうだったのか…豪がちゃんと話をしてくれてたのか。
「友人とは言え、あなたの事をどうか助けて下さいと 必死に言ってましたよ…最初は、ただのイタズラと思いましたが、事件性があると思いますので、こちらでも捜査したいと思います!任せて下さい。」
と約束をし警察署を後に、その足で豪の店に行く。
「どうだった?」
豪は心配そうな顔をして僕の話を聞く
警察官に話したことを豪に話し、昨日の非通知の電話があったことも話した。
「非通知か、何で一茂なんだろうな…」
僕は朋美さんの言った事をふっと思い出した。
「豪…何か僕に隠してる事ある?」
「隠してる事?…いや…別に…まっ、まさか俺を疑ってる?」
そうだよな…本人を目の前に本当の事は言えないよな。
「いや…警察署に行く前に店に寄った時、山下さんがいて、少し話をしたんだ。」
「ああ、今日ちょっと支払いと仕入れで忙しかったからね…1日だけ頼んだ」
「豪が僕の事をあまり良く言ってない言い方をしてた…でも、僕はそんなのは信じてないけど…」
本当は少し…疑ってるのは間違いないけど
「朋美ちゃんが?…何て?」
「めんどくさい事に巻き込まれたとか、僕だけ幸せになるなんて…とか…」
「えっ!俺が?!朋美ちゃんにはそんな事を言ってないよ!」
「大丈夫!信用してるから」
少し、ひきつった笑顔で豪を見た。
「本当!本当だから」
僕の顔を見て信じてないと思ってるんだね。
7話へ続く